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■第71話 「夏の恵み」 2012年8月9日
立秋を過ぎ、心地よい風の向こうに秋を感じる日が増えてきました。出張や所用で都心に向うと、アスファルトと強い日差しで残暑が厳しく、とても「立秋」を実感できないのですが、軽井沢に戻れば室温も22、3度程度です。日中は窓を開けて風を通していますが、日も暮れる頃になると、半袖では少し肌寒いこともあります。本来は、涼しさを演出するはずの近所の風鈴の音に、季節外れの違和感を覚える日もあります。
8月に入り、庭には野鳥たちが徐々に戻ってくるようになりました。初夏の営巣から子育て期間を経て、忙しかった野鳥たちも、そろそろおなじみのエリアで過ごすようになります。
そして今年の新顔である幼鳥たちも、未だに甘えたようなかわいい声で鳴きながら、大人に負けじと、きょうだい同士の集団行動で私どもの庭を賑やかに飛び回っています。特に水場は人気で、
何羽もの幼鳥たちが我も我もと水浴びする様子
は、いつ見てもかわいいものです。
そして8月の半ばは、軽井沢で休暇を楽しむ人々で町中も別荘地も一年で最も賑やかです。
子供たちの花火や、ご先祖様にお供えするお線香の香りが風に漂い、久しぶりの家族団らんを楽しむ声とともに、小鳥たちの声も賑やかになってきます。今年の8月は出張などで忙しく、軽井沢で過ごせる時間が少なくて、少々もったいない感じです。
何とか時間をやりくりして、久しぶりにソフィアート・ガーデンに行けば、車が小屋の側に止まっているのを見つけた仲良しのヤマガラがどこからともなく飛んできて「ニーニーニー」と鳴いて合図します。
庭に出て、ヒマワリの種が数粒入った小さな籠を、いつもの木の枝に掛けると、小鳥との社交用に出した数粒のヒマワリの種を特に食べる様子もなく、なにもせずに、空を見たり木の枝を見たり、こちらを見たりしながら小首をかしげてじっとしています。
ヤマガラは羽のない友人たち(私ども)がガーデンに居ることに満足したのか、すぐ目の前の枝にとまり、羽を広げて羽繕いをしたり、まあるく羽毛をふくらませて眠そうにしたり、心底くつろいでいるように見えます。
私どもにとって、野鳥の安心した姿をガーデンで見ることができるのは、大切なお客様から最高の評価をいただいた証であり、嬉しいプレゼントです。なぜなら、そのためにこそ、ソフィアート・ガーデンをつくっているのですから。
先日、近隣にある別荘の、灌木のない広々とした明るい芝庭で、鷹に襲われて小さな野鳥が連れ去られたという話を聞き、私どもと仲良しの小鳥は大丈夫か心配していたのですが、こうして遊びに来てくれた仲良しのヤマガラくんはいつもどおり元気で、少しほっとしました。
自然豊かな場所では、さまざまな野生動物が生息しておりますので、食物連鎖の中で野鳥たちが、ヘビやキツネ、猛禽類や雑食性の大きな鳥の犠牲になることも少なくありません。特に、巣立ったばかりの幼鳥たちは、猛禽類から身を隠す場所がない状況では危険にさらされます。
だからこそ、ソフィアート・ガーデンは、灌木や中低木など、
小鳥たちが安心できる木
を植えて、小鳥が捕食者から逃げ込めるシェルターとなる場所をつくるわけです。
こうして、私どもを見つけて仲良しの小鳥たちがいつもの木に飛んできて、「こんにちは、遊びに来たよ!」と合図をしてくれ、顔を合わせて時間を共有できる場をつくることができたことを、何よりも誇りに思っています。
夏は一般的に、人間と野鳥が、1年間のうちで最も距離感のある季節です。野鳥にとって良質の栄養源である虫が豊富にある夏は、彼らにとって人間は無縁で邪魔な存在と言えます。第一、自然界の中で営巣や繁殖に忙しく、人間にかまう暇もメリットも彼らにはありません。
こうした夏という季節でありながら、仲良しの小鳥が「特別に」遊びに来てくれることが、私どもにとっては何よりありがたい、夏の心の恵みです。
ところで「夏の恵み」といえば、やはり果物と夏野菜でしょう。
買い物をしようとスーパーや農産物直売所に行けば、もう溢れんばかりの人、そして夏の恵みの数々に圧倒されます。
特に果物は、信州産ブルーベリー、白桃や黄桃、ネクタリンなどの桃、桃とネクタリンの掛け合わせの長野県産品種ワッサー、プルーン(早い時期に出回る品種で甘味と酸味のバランスが良いアーリーリバー、実の色が薄めのオパール)、太陽、ソルダムなどのプラム類、巨峰などのブドウ類、といった果物が次々と店頭に並びます。
長野県民は固い桃が好きなようで、他の生産地も同じ傾向があるようですが、それこそリンゴのように「パリッ!」と歯ごたえのある桃に人気があります。長野県産の「おどろき桃」という、驚くほど固い(甘い)桃さえあるほどです。少し柔らかくなって、皮がするりと手でむけるような桃は人気がなく、安く売られます。私は少し柔らかい過熟ぎみの桃が好きですので、好みの桃を安く買えて満足しています。
そして、なんといっても大好物のトウモロコシ。高原のモロコシは種類も豊富ですし、何より甘くておいしいのです。有名なピーターコーンの他、サニーショコラ、ゴールドラッシュ、バイカラコーンなど、さまざまな品種を食べ比べるのも楽しみです。晩成のピュアホワイトという白いトウモロコシはフルーツより甘く生で食べられます。
収穫の時期のトウモロコシは、毎日大量に安く売られ、どんどん食べないと追いつきません。なるべく髭が黒くて実が穂の先までつまった重い実を選び、皮をむかずにそのままガスコンロの魚を焼くオーブンで上下強火で焼けば、皮は焦げますが中の実の甘みを逃さずおいしい焼きトウモロコシが簡単にできます。
塩をふれば甘味が一層増します。いつも何本か焼いて置き、おやつに食べたり、出張の際にも皮ごと焼いたトウモロコシを車に積んで移動中の軽食代りにしています。
カボチャもインゲンも、ツルナも、ブロッコリーも地物の夏野菜はどれもおいしく、シンプルに温野菜で味付けもほとんどなくても最高です。
この時期は、地元民も別荘住人も観光客もこぞってバーベキューや焼き肉を楽しむのか、お肉売り場は大盛況です。お盆を過ぎて、もう少し人の波が収まるまでは、私どもはもっぱら夏に旬のお魚やイカなどとともに、豊富で新鮮な野菜、果物という夏の恵みを楽しむことにします。
ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4
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メモ(本文とは直接の関係はありません)
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