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■第97話 「秋の恵み」 2012年11月13日

浅間に二度目の雪 立冬を迎え、軽井沢の秋はすでに晩秋へと彩度を落としています。

浅間山には二度目の雪が積もり、白の山頂と秋色の裾模様がおしゃれな色合いです。当地では「浅間に三度雪が降ると里にも雪が降る」と言われます。雪虫もフワフワと漂い、こちらも雪を意識させてくれます。

離山はまだ秋色ですが、そろそろ常緑のモミを残して落葉樹は裸枝の色が目立ち始めました。

軽井沢の木々も、鮮やかな紅葉は散りはじめ、今度は大地が紅や黄に染まってゆきます。仰ぎ見るカラマツの黄葉は、夕暮れにはいっそう濃い鬱金色となり、雲ひとつない高い空をまばゆい黄金の光が縁取ります。

ソフィアート・ガーデンの三原色 今日のソフィアート・ガーデンは風もなく静かですが、常にサラサラサラという柔らかい音が聞こえてきます。これはカラマツ(落葉松)が黄金色の小さな葉を落とす音で、私が大好きな音のひとつです。カラマツの葉は、大地の乾いた落ち葉や小屋の屋根の上に、また流れる川面に、そして私の上にも絶え間なく静かな雨のように降り落ちています。金色の雨は、いつ止むともなく降り続きます。

この時期ガーデンを歩くと、足元からカラマツやカツラの落葉の香りが立ちます。月桃(サンニン)の葉に似たスパイシーさが混じる、お茶を焙じるような香ばしい香りです。月桃の葉で包んだ甘い沖縄の餅(ムーチー)を思わせるおいしそうな香りとも言えます。

秋は、木の実の収穫時期です。リンゴも真打ちのサンふじが店先に登場し、本格的なリンゴの季節に入りました。今年収穫されたばかりのクルミも販売が始まりました。

この時期はクルミを買い求めに東御(とうみ)の道の駅に行くのですが、この休日の午後一番に行くと、その日の分はとうに売り切れて棚は空っぽでした。

クルミは人気があり、棚に並ぶとすぐに売切れてしまうため、観光客などの多い人気店では、朝早くに行かないと手に入りません。

別の店に行くと幸いまだ在庫があり、当面の分を2、3キロほど確保できました。クルミを混ぜて小女子の佃煮を作ったり、自家製パンに入れて焼き上げたり、もちろんそのまま食べたり、とクルミは私どもの食卓に欠かせない秋の恵みです。

週末はこうして、東御や上田、小諸、佐久、御代田など、軽井沢近郊の農産物直売所をまわって、クルミやリンゴの他にも、いろんな果物や秋野菜をまとめ買いします。長野県の東信地方は標高が高く秋冬の訪れが早いので、平地では冬が旬の野菜も早い時期から手に入ります。

秋の恵みいろいろ 収穫後しばらく置いて甘みの増したカボチャは、丸のまま買えば長期保存ができますので、たくさん並ぶこの時期はまとめ買いできます。白菜やホウレンソウ、キャベツなどの葉もの野菜、大根や特産の白土ジャガイモなどの根菜、各種の豆類など、魅力的な野菜を車に満載にして帰ります。たくさん買っても安くて安心です。

新鮮な野菜は、毎日の食事や朝夕のフレッシュジュースにして味わいます。一度に食べきれない分は湯がいて小分けにして冷凍し、また薄切りにして薪ストーブの上で干し野菜にして保存すれば時間がないときでも野菜料理を楽しめます。

ガーデンに大量に落ちてくる山栗や、パートナーの郷里から送られる大栗は秋の恵みの代表です。新鮮なものを楽しんだ後は、冷蔵庫のチルドルームで甘みを増した後に茹でて、薪ストーブの上でカチカチに乾燥させ、「勝ち栗」にして保存しています。

食べるときはそのまま食べたり(石のように硬いので歯に注意)、皮をむいて一晩水につけてフレッシュジュースに混ぜたり、栗ご飯にしたりと一年中楽しめます。

そして、晩秋は落ち葉の季節です。ガーデンでの落ち葉掃除は私にとってスポーツのようなものです。かなりの根性と体力を必要とします。大量にありますので、一度に力任せに片付けようとすると腰を痛めます。気が向いたときに少しずつ、歌でも歌いながら楽しく落ち葉掃除すると、けっこう楽しめるものです。

落ち葉掃除の季節です 落ち葉は量がまとまると重いので、腰を落として、気合を入れてレーキで大量の落ち葉をかき集めます。集めた落ち葉の山を眺めるときは、達成感と豊かさをしみじみと味わうひと時です。

ソフィアート・ガーデンは自然園ですので、私は落ち葉を財産だと思っています。もちろん、捨てるなんてとんでもない、落ち葉は邪魔にならない場所で何箇所かに小山にしてまとめ、焼いたりせずに自然に土に還します。一年もすると、微生物やミミズがせっせと分解して肥沃な土になります。

人の多い住宅地では落ち葉が近隣の迷惑になることもあるため、放置するのは周りが許さないかもしれません。その点ソフィアート・ガーデンは、なんといっても山の中なので気が楽です。

落ち葉は、森の小動物たちにとっては冬の温かく柔らかいフトンとなり、またガーデンのエゾエノキを食樹とする国蝶オオムラサキの卵のゆりかごになります。

落ち葉の山は、ソフィアート・ガーデンから森の生きものたちに贈るプレゼントのひとつであり、これも秋の恵みといえるでしょう。

ガーデンの中で落ち葉を掃除するのは、歩くのに邪魔になる場所や駐車場だけです。ほとんどのところは落ち葉はそのままにしています。特に春になると山野草やスミレが芽吹く場所は、落ち葉をあえて残します。落ち葉は土を温め、木の根を保護する役割を担います。そのため厳冬期に雪が降っても、落ち葉のある土は温かいのか比較的すぐに雪が溶けて、黒い地表が現われてきます。冬場、ツグミやホオジロなどは雪で閉ざされた中でも、こうした土を頼りに落ち葉に潜む虫を探して食べますので、落ち葉は野鳥の大事な食料庫でもあります。

大地が紅葉 そのかわり春はさっさと落ち葉のフトンを片付けてあげないと、山野草が重そうに困り顔で芽吹いてきます。

春の訪れを告げるアズマイチゲなどのスプリングエフェメラルがひょっこり顔を出す頃には、急いで落ち葉かきを済ませなければなりません。

この土地の植生にあう樹木100種、500本をめざして、パートナーと私の二人で植えてきた木々は、とうに目標数を達成してしまいました。

ガーデンのまわりに広がる雑木林を含めると、幾千もの木々が次々と葉を落とします。この無限に舞い落ちる葉が財産だと思えば、秋はそれだけで豊かで満ち足りた気持ちに浸ることができます。

幾万、幾億と天から舞い落ちる秋の恵みに、箒を手にしてため息をつきながらも、深い感謝を捧げるスタッフMです。

ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4



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