>> ホーム
 >> 会社概要
 >> 事業内容
 >> ソフィアートの研修
 >> 代表者プロファイル
 >> 研修雑感・コラム
 ソフィアート・ガーデン物語
  >> 序 「案内係のMです」
  >> 第91話〜第100話へ
  >> 第101話「冬の到来」
  >> 第102話「木の愛」
  >> 第103話「火の力」
  >> 第104話「灰の話」
  >> 第105話「車」
  >> 第106話「星に願いを」
  >> 第107話「冬の恵み」
  >> 第108話「美について」
  >> 第109話「お茶の時間 11」
  >> 第110話「音楽に遊ぶ」
  >> 第111話〜第120話へ

 >> 連絡先
 >> Coffee Break


ソフィアート・ガーデン物語    >>前の物語へ >>次の物語へ

■第101話 「冬の到来」 2012年12月1日

すっきり 毎日の最低気温がマイナス5度を下回るようになってきました。この週末の予想最低気温はマイナス8度、パウダーシュガーのような粉雪も降り始めました。

これから12月末にかけて、ぐんぐん気温が下がり、軽井沢ではマイナス10度以下になることもめずらしくありません。

最高気温でさえ零度を超えない、いわゆる「真冬日」も多くなります。うっかりすると水道管が凍結のため破損して、家が水浸しになることもあります。

そうならないように、軽井沢のような寒冷地では、水道管は凍結防止帯という電熱線の入ったカバーで保護されています。ある温度以下になれば自動的にヒーターのスイッチが入り、水道管を温めて凍結を防ぐ仕組みです。

自宅は断熱性能を高めた設計施工ですので、幸い水道管の破損の経験はありませんが、ソフィアート・ガーデンの小屋や多くの標準的なつくりの別荘では、12月から4月ごろまでは水道管から水を抜いて空にする「水抜き」作業をする必要があります。(第69話「お茶の時間 7」を参照)

厳しい寒さは、屋外にある小鳥の水飲み場も凍らせます。夜から明け方にかけての冷気で凍った水は、日中に溶けてきますので、それを待って小鳥たちは水を飲んでいます。

こおりさわ(=軽井沢の由来のひとつ)です 小鳥たちが困るといけないので水を入れて氷を溶かしますが、もうすぐ、日中のもっとも温かい時間でさえ氷点下になる頃には、水を入れるそばからすぐに凍りついてしまいます。

陰陽五行では、時間変化を木火土金水の諸要素で表した場合、秋の「金」に続き、冬は「水」とされます。春の「木」に季節が変わるまで、これからは「水」を中心として陰の極みの中で静かに季節が巡ります。

この週末はガーデンの小屋で音楽でも聴きながら、静かな熾き火のストーブの上で煮物でもすることにしましょう。

パートナーが聴いているCDからは、レスピーギの第3組曲が流れています。 『イタリアーナ』や『シチリアーナ』など、バロック音楽の舞曲のゆるやかなリズムと美しい哀愁のあるメロディーは、この季節によく似合います。私はこの、すべてが去りゆく季節の寂寞感がとても好きです。

大きなイチョウです 12月の初旬は日の入りが最も早くなり、中旬には冬至となります。今やすっかり冬枯れのソフィアート・ガーデンも「陰」の季節です。しかし、終わりは始まりに通じ、陰は極まって陽に転じます。

夜が明けると、たくさんの陽気な小鳥たちが庭に訪れ、枝や木の葉から糧を探して食べます。小鳥たちは「陽」の化身であり、冷えて静かな「陰」の極みにあるガーデンを賑やかに温めます。こうして陰陽のバランスをとってくれることで、季節のめぐりは新たな始まりを予感し、次なる春へと向う先を定めます。

私どもは軽井沢に雪が降るようになると、ヒマワリの種を少し多めに籠に入れて枝に掛けておきます。すると、私どもの姿を見つけて、四方の森から小鳥たちが賑やかに集まり、あっという間に籠が空になってしまいます。

彼らにとっては、こうしたプレゼントは命の糧です。あてにされる以上、私どもの責任は重大です。待っている彼らの元へ、軽井沢にいる日はできるだけプレゼントを持って行きます。出張続きでガーデンに行けないときには、小鳥たちのことが気になりますが、野鳥は強い生きものです。出張から戻って急いでガーデンに向うと、小鳥たちは元気いっぱいの姿を見せてくれ、私どもの心配は杞憂にすぎないことがわかります。

低木の植え込みが小鳥の隠れ場 今週、東京に何日か滞在した折に、私の好きな場所である北の丸公園を散歩しました。

イチョウやクスノキ、ケヤキなどの大木がゆったりと枝を広げ、ソメイヨシノの紅葉や、ニシキギ、クロモジ、トサミズキなどの雑木の紅(黄)葉がきれいでした。カエデも見頃を迎えつつあり、軽井沢でいえば5、6週間ほど前(10月後半)を思わせる色づきでした。

じっと静かに見ていると、ヤマガラ、シジュウカラ、スズメ、メジロ、ヒヨドリ、ジョウビタキなどが次々と集まり、周りの地面や木の枝を探しては何かを食べています。カラスが多いのがちょっと気になりますが、カラスも木の実を食べています。小鳥たちはカラスを視野に把えながらも、あまり気にしていない様子です。

皇居の御苑や北の丸公園には、危険を察知した小鳥たちがすぐに逃げ込める「安心できる木」がたくさんあります。よく手入れされた生け垣の刈り込みは、大きな鳥や動物が入り込めないため、小鳥たちにとっては安全な場所です。危険を感じたときは、このような潅木の茂みに身を隠したりして、うまく共存しているのでしょう。

スズメの羽毛の配色は田畑で保護色です 田畑の多い田舎では「鳥追い」などという行事もあるほど、(本当は農作物の虫を食べるため味方ですが)農作物の敵と見なされて追い払われるスズメも、都会では優しい人々に慣れきって近寄ってきます。動かずにじっとしていると、私の靴の上に乗らんばかりです。

「あまり油断すると危ないよ」と声をかけると、ピョンピョンと跳ねて行きました。都会のスズメたちは、人が危険な存在ではないと何世代も後天的に学習した結果、人に緊密な関係になるのでしょうか。

ガーデンには里とは違ってスズメはいません。山の野鳥はどうしても野生が勝って、どんなに仲良くなったように思えても人間には無防備に近づきません。

スズメは里の鳥で人の近くでしか生息できませんが、田舎のスズメは人をとても怖がります。しかし人との関係が深い分、人の態度が変われば、他の野鳥より人慣れしやすいのかもしれません。

ふくら雀が二羽仲良く 皇居の御苑以外でも、丸の内や大手町などの街路樹では、スズメの他にシジュウカラやヤマガラをよく見かけます。都心では一昔前より、野鳥は増えているのではないでしょうか。

私は長年の趣味の成果で、街の喧噪の中で微かに聞こえる「ッッ」や「スッ」という小鳥の小さな声で、たいていの場合は姿を見なくとも鳥の種類が判別できますので、余計に見えない鳥の存在に気づくのかもしれません。

大都会の真ん中で豊かな自然が育まれ、そこでバランスよく生きるたくさんの野鳥たちに会うことができるというのは、決して「当たり前」などではなく、本当にすばらしいことです。

東京から氷点下に冷え込む軽井沢に戻ると、さぞかし寒いと思われましょうが、ソフィアート・ガーデンでひとたび小鳥たちの陽気にふれると、ほんわかと心が温まります。マイナス10度だって(小鳥のようにダウンジャケットを着れば)、南国仕様のスタッフMでも案外平気です!

ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4


関連する物語
  >> 第1話「安心できる木」  >> 第69話「お茶の時間 7」 
 
 
Copyright (C) 2003-2012 Sophiart Inc. All Rights Reserved.