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■第109話 「お茶の時間 11」 2013年1月7日

1月7日は七草がゆの日です。今年の健康を祈って食するという行事ですが、凍りつく大地を見渡してみても、冬の軽井沢には七草どころか草はひとつも生えていません。

小鳥の水飲み場です 4月から6月はソフィアート・ガーデンの野草や山菜を摘んで毎日のように味わう私どもですが、今の季節の青物野菜はもっぱら温暖な地域で生産されたものが頼りです。青果売り場にならぶ野菜の豊富さに、日本列島の気候の多様性のすばらしさを実感します。1月は旬の白菜や春菊、ネギやレンコン、大根が中心です。最近は近くのスーパーで京野菜が店頭にならぶようになり、凍る大地の軽井沢にいながら手に入る野菜の種類はたいへん豊富で、ありがたいことです。

いよいよ仕事が忙しくなりますので、アクセルを踏み込みながらも体調を整えていかなければなりません。どんな時でもお茶を飲むぐらいのゆとりは必要です。 今日のお茶の時間は、この時期ならではのお茶請けで楽しみましょう。

いえいえ、その前にまず庭に出て、お茶より先に、ガーデンの小鳥たちにヒマワリの種をプレゼントをしなければいけません。ちょっと奮発して、落花生の殻をむいてお年玉にします。パートナーが籠にそれらを入れる間、籠をかけたアズキナシの木には小鳥たちが集まり、皆、ワクワクとした面持ちで待っています。一羽のコガラが待ちきれなくて落花生の殻をむいている手に乗って、黒い宝石のような目で見つめます。他の小鳥たちはそんな冒険はできませんので、高い枝から「ビービービー」「ニーニー」「ッッッ」と思い思いに催促します。

おいしいです パートナーが小鳥たちと交流する姿は、そばで見ていても楽しそうです。締め切りや出張の準備で忙しいながらも、小鳥たちとの和やかなお茶の時間があってこそ、心身の健康が保てます。このところ真冬日が続いており、3時のお茶の時間でさえガーデンの気温は氷点下で、小鳥たちと過ごす間にも素手がかじかんで痛いほどです。

さあ、私どもも小屋に入って薪ストーブで凍えた手を温めながら、今度はゆっくりとお茶の時間を楽しむことにしましょう。
正月明けのお茶のお供には、特別なものを用意しました。

まず干し柿です。パートナーの郷里(倉吉)で、干し柿名人の親戚が毎年すばらしい干し柿を作ってプレゼントしてくれます。市販の干し柿とは違って、びっしりと果糖とブドウ糖を白い衣のようにまとい、外はしっかり中はしっとり柔らかく、天然の食べ物の中では最も甘く上品な味覚だと思います。私の大好物で、毎年の楽しみです。

次に、小豆と栃餅のぜんざいです。倉吉では正月のお雑煮として、少し甘さは控えめに小豆と丸い白餅や栃餅のぜんざいを食べます。私は昔から小豆やあんこが好きでしたので、正月にぜんざいを食べるという習慣は、私にとっては願ってもないことです。

食べ過ぎ注意! 今年の正月は軽井沢で過ごしましたので、パートナーに郷里を味わってもらえるように、そして私自身が食べたいため、とても楽しみに作りました。正月を過ぎても、再び作ってはおやつにしています。

栃餅は、栃の実をアク抜きなどの手間暇をかけて餅米とともに餅にしたもので、少し茶色がかってコクがあり、滋味豊かで大変おいしいものです。ガーデンにはトチノキを何本か植えており、いつの日か実を採取して自分で栃餅をこしらえてみたいと目論んでいます。

ちなみに「年越しそば」は、私の実家の味付けで、鰹ダシの沖縄そばを食べることもあります。当地は信州蕎麦の産地ではありますが、私どもが大好きな沖縄そばが年末に手に入りましたので、懐かしく味わいました。

ヨーグルトやルバーブジャムを加えるとおいしい 1年ほど前から毎朝、食前に野菜ポタージュのようなジュースを飲むようになりました。季節の野菜を適当に選んでミキサーにかけて、作りたてを味わいます。今の時期は、蒸したカボチャやニンジン、長いもや白菜、小松菜などの生野菜に、ヨーグルトと自家製ジャムを加えます。

夜も同様に、ストーブ生活の副産物である煮大豆と、信州リンゴなどをヨーグルトとミキシングしてフレッシュジュースを作って飲みます。寒い時期は温めて飲めば体も冷やしません。新鮮な野菜と果物パワーが功を奏してか、心身ともに快調です。

私は、普段あまりこだわりのない性格ですが、食べ物についてはこだわります。食事(とくに素材)は心身の源となります。良いものを適量、感謝と満足の心でいただけば、良い心身がつくられます。出張先で宿泊することの多いパートナーは外食が多くなりがちですので、その分、家で食べるものはおいしい手料理を心がけます。

小鳥たちを見ていると、食べることと生きることはイコールであると思えてきます。生きることは食べること、食べることは生きること、そう胸を張って堂々としている小鳥たちの姿には説得力があります。今日も元気に目覚め、おいしいものを食べ、自由闊達に手足を動かし、自分の頭で懸命に考え、愛を育み、そして安らかに寝る、という生きものとしての自然なあり方を私も見習って、形而下の世界を真剣に楽しむことにします。

ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4


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