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■第93話 「小鳥と煙突」 2012年10月23日

冬一面の雪景色に赤く輝く姿も良い 今回のソフィアート・ガーデン物語は、薪ストーブの煙突にまつわる話です。 暖炉の煙突といえばサンタクロースが入ってくるところです。しかし煙突からは、たまに、それ以外の生きものも入ってくることがあります。先日は、なんとスズメがストーブの煙突から入ってきてしまいました。

風もなく、よく晴れた明るい午後のことです。毎日、夕方になると寒くなりますので薪ストーブを焚きますが、昼間はお日様の熱で家は十分に暖かく、ストーブには火を入れません。

先日、自宅で仕事をしていると、ストーブの煙突の中から小さな音が聞こえてきました。「パラパラ、パラパラ」とかすかに鳴っています。

煙突の内側についた煤が自然に剥がれ、晴れた日などにそのような音を立ててストーブの中に落ちることはよくありますので、特に気にせずにいましたら、何度もパラパラという音がします。そして耳を澄ますと、気のせいか羽音もするような気がします。

壁の暗色との対比で明るい色です 「煙突に鳥が入ったのではないか?!」パートナーがすぐに庭に出て、高い屋根の煙突のあたりを見あげると、一羽のスズメが心配そうに煙突の中をのぞいている姿が見えたそうです。恐らく仲間のスズメが煙突に入って中に落ちてしまったのであろう、という予想をたて、救出するための対策を考えました。

ストーブに火はついていませんので、スズメがやけどをする心配はありません。このまま、煙突をまっすぐ降りてきて、ストーブの中にすんなりと入ってくれれば、ストーブの扉に大きなビニール袋をかぶせてスズメを誘導し、外に放して助けることができます。

しかし、いつまで経っても、「カサカサ、パラパラパラ」という煙突の音は鳴り止みません。どこかに引っかかってしまったのでしょうか。煙道の直径はスズメなら十分余裕で羽ばたける大きいものなのですが、ストーブと煙突のつなぎ目に引っかかって出られないのでは、と気になります。

ハウチワカエデのあざやかな紅葉 心配で、ストーブを施工した会社の人に急遽来てもらおうかと電話をかけようとした矢先、扉を開けておいたストーブの中からスズメが飛び出し、ビニール袋を用意する間もなく吹き抜けの高窓に向って飛び、窓辺に止まりました。
スズメは怪我もなく元気そうで、ひとまず安心しました。

そしてスズメは、うまい具合に手の届く窓辺まで飛んで来てブラインドに隠れました。そのまま静かにパートナーが窓を開けると、何事もなかったかのように外に飛び去りました。きっと、心配して煙突をのぞき込んでいた仲間に、この冒険譚をスズメ語で話していることでしょう。「よかった、よかった。」私どもも、ほっと胸をなでおろしました。

じつは昨年の春、ソフィアート・ガーデンの小屋でも同じようなことがありました。シジュウカラが煙突から薪ストーブに入っていたのです。

その日、小屋で仕事をしていた私どもは、外出する用事の支度をしていました。ふと「コンコン」という音が、煙突とストーブのつなぎ目あたりから聞こえた気がしました。念のためストーブを開けて中を確認したのですが、何もいません。小鳥が中に入っていないかと、煙突を軽く叩いてみても反応はありません。心配なのでしばらく様子を見ていましたが、全く音はしなくなりました。

泉の里の別荘風景 小屋では、よくキツツキが壁を突いて「コンコンコン」と鳴ることがあります。今回もきっとキツツキの仕業で、煙突に響いて聞こえたのだろう、と用事に出かけました。

しばらくして戻ると、ストーブの中になにかいます。のぞき込むと、大きなガラス扉越しにシジュウカラがじっとしている姿が見えて、心底びっくりしました。いつも離れて見ていますが、目と鼻の先で見るシジュウカラは普段より大きな生きものに見えます。

暗いストーブの中でじっと静かにしており、身じろぎもしません。普段は元気いっぱいの小鳥が、暴れることもなく、目の前でじっとしている姿に驚きました。憔悴しているというより、どちらかといえば冷静沈着に助けを待っている様子に見えます。

昼間でしたのですぐに全ての窓を開けて、ストーブの扉をそっと開けて離れて静かに見守っていると、シジュウカラは暗いところにいて目が慣れないのか、しばらくじっとしていましたが、やがて丸い頭を窓の光の方向に向けると、外を目指してさっと飛び去りました。

そのシジュウカラが外で真っ先にしたことは、なんと、フィーダー(餌台)のところに行って、ヒマワリの種を食べることでした!

きっと、暗いストーブに閉じ込められた緊張と不安から解放されて、お腹がぺこぺこだったのでしょう。腹ごしらえすると、水場で水を飲み、いつもの仲間と元気に飛び回っていました。小鳥は強いものだと感心したものです。

その後すぐにストーブ施工会社と相談して、鳥の進入防止の金網を小屋の煙突に取り付けてもらいました。こうしたことは、野鳥の多い軽井沢ではよくあるそうですが、金網をつけると木の葉が詰まり易くなるということで、施主から特に要望がなければ普段は設置しないようです。ほとんどの家では、知らないゆえに鳥除けの金網を設置していないのが現状でしょう。(下記の参考欄もご参照ください)

今年の軽井沢の紅葉は期待できます! 私どもは、自宅の煙突には鳥が進入しないように金網は最初からついているもの、と思いこんでいましたが、今回のスズメ騒動をきっかけに改めて設置が必要なことがわかりました。

今回はいずれも、すぐに運良く救出できましたが、もし出張で長期に不在のまま、食べ物も水もない薪ストーブの中に閉じ込めていたらと思うとぞっとします。使わない時期の別荘ではストーブの中で小鳥が命を落としていた、という話も聞きます。

野鳥は運動能力が高いのですが、なにぶん好奇心旺盛で煙突をのぞき込んで入ってしまうことはありそうです。また営巣の時期に、巣の候補地を探すときにも、夢中になるあまり煙突に入り込む恐れがありますので、注意が必要でしょう。

そしてストーブの煙突を施工する場合は、鳥が煙突に入らないようにする工事を、ぜひとも必須の仕様としてもらいたいものです。設備には多少のお金はかかりますが、これは事前に知っていれば簡単に果たせる責任です。このメッセージが一人でも多くの人の目にとまることを願います。

小鳥たちに「煙突は楽しいところではないよ」と伝える手段が私にあれば、なおよいのですが・・・。

ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート スタッフM( 竺原 みき )




参考
後日、自宅の薪ストーブ煙突にも鳥避け網を設置しました。網の画像もありますので下記リンクをご覧ください。
>> 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− 2013年9月9日(月曜日)

なお鳥避け金網の設置は次善の策であり、煙突トップに煤が付きやすくなる恐れがあるため、安易にはおすすめできません。インターネット上で検索すると、煙突トップの排気部分に、鳥が進入しないような幅のスリットがついている煙突も存在するようです。
メモ(本文とは直接の関係はありません)
次の第94話は11月1日(木)に掲載します。
 
 
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