>> ホーム
 >> 会社概要
 >> 事業内容
 >> ソフィアートの研修
 >> 代表者プロファイル
 >> 研修雑感・コラム
 ソフィアート・ガーデン物語
  >> 序 「案内係のMです」
  >> 第41話〜第50話へ
  >> 第51話「桑の味わい」
  >> 第52話「道を往けば」
  >> 第53話「野菜三昧」
  >> 第54話「夏風の中で」
  >> 第55話「温泉力」
  >> 第56話「杏色の週末」
  >> 第57話「小屋を建てる」
  >> 第58話「材を活かす」
  >> 第59話「お茶の時間 6」
  >> 第60話「偶然と必然」
  >> 第61話〜第70話へ

 >> 連絡先
 >> Coffee Break


ソフィアート・ガーデン物語    >>前の物語へ >>次の物語へ

■第54話 「夏風の中で −6月末のソフィアート・ガーデン−」 2012年6月28日

淡い空のような色です 一年中で最も日の長い夏至を過ぎました。これから本格的な夏に向かう軽井沢は、晴れていれば午後7時半頃まで空が明るくてさわやかです。

ソフィアート・ガーデンと隣接する森からは、木立の間を夏の涼風が渡り、そのたびに風にそよぐ木々の葉がさざ波のような音をたてています。遠くの山並みは葉の茂る木立に隠れてしまい、西日を浴びて光る稜線が木の葉の間からわずかに見え隠れしています。小屋の窓から見えるのは、幾重にも重なる緑のカーテンばかりになってしまいました。

見晴らしはすっかり悪くなりましたが、耳には遠くまで広がる森の生き生きとした息吹がよく聞こえます。朝夕は10度近くまで下がることもあり、涼しいというより寒いこともありますが、日中は全ての窓を開け放ち、ガーデンの小屋で仕事をしております。するとウグイスやカッコウ、ホトトギス、ミヤマホオジロやイカルの声が鮮やかに響きます。特にホトトギスは夜、日が暮れても鳴いています。そして、ガーデンのカラ類たちはというと、親鳥が幼鳥たちを連れて、目の前で集団保育をする様子を見せてくれます。

親は曲芸飛行のように軽やかに飛び、白い蝶を捕ったり葉の裏に隠れる虫をくわえたりしてヒナに与えます。ヒナは羽根を震わせ、親からもらいます。見ていると、何羽もいる幼鳥に満遍なく虫を与えるというよりは、特定のヒナに連続して与えています。ほかの幼鳥は、自分で木の枝にぶら下がったり、地面の葉をひっくり返したり、水場で水を飲んだり、親の近くではありますが勝手気ままに行動し、虫をねだる様子を見せません。こうして、育ちの遅れがちな子を中心に親は虫を与え、育ちの早い子は自分の力で生きる実地訓練を行っています。どの幼鳥も勝手に遊んでいるように見えるのですが、実は親鳥の深い配慮と愛に守られて、それぞれが各々のスピードで着実に育っています。

親と子が同じぐらいの大きさ 幼鳥の短かった尻尾もだいぶ長くなり、色が薄いことを除いては、親と体格の差はほとんどありません。むしろ親は子の世話で痩せて、幼鳥たちより体格が小さいぐらいです。夏場は、親鳥は羽毛も色艶が悪く、数羽以上のヒナたちを育て上げるために全力を使い果たした風貌ですが、幼鳥たちは、もうすぐ兄弟だけで行動するようになりそうです。そうなると親鳥も、やっとガーデンの水場で水浴びを楽しんだり羽繕いをしたり、ようやくほっと一息ついて、元の美しさと体力を取り戻します。

ガーデンには複数の巣箱がありますが、小屋の北側の壁につけて設置した巣箱に、先ごろシジュウカラが入居しているのを見ました。自宅の巣箱では既に巣立ちを迎えておりますので、第二陣の営巣でしょう。何らかの事情があって、初期の営巣を断念した上で再度試みているのかもしれません。がんばって欲しいと願って、ヘビなどが昇らないように巣箱近くのものを片付けました。また私どもも、邪魔にならないように小屋の北側にはあまり近寄りませんが、既にヒナたちの声が聞こえてきますので、どうやら順調に育っているようです。

年数が経つほど段数が多くなるのかも 近くの家の巣箱に営巣している、私どもと仲良しのヤマガラが、こちらの姿を見つけては遊びに飛んできて「ビー!」と合図します。歓迎の印に、私どもは小さな籠にわずかなヒマワリの種を乗せて、いつもの木の小枝に引っ掛けます。するとほんの数粒のヒマワリの種を食べ、近くを飛んだり水場で水を飲んだりして、しばらくガーデンの私どもの近くで遊んでから、また巣の近くに戻って行きます。

時には、遠くからこちらを見つけて、ニーニーと鳴きながら近くに飛んできて木の枝に留まり、私が話しかけるといたずらっ子のような目で不思議そうに私を眺め、ヒマワリの種も食べずにさっと飛んで帰ることもあります。

彼らは今、大変忙しいので、私どもの相手をあまり長くはしてくれません。しかしこの時期でも、立ち話程度の短時間ではあるにせよ、私どもへの変わらぬ友情を示してくれるのは、とてもうれしいことです。

彼らが営巣を始めるほんの2ヶ月前までは、 お茶の時間に一緒にお茶を楽しんだ友達です。私がひとりでガーデンのイスに腰掛けていると、そのヤマガラが、もう一つの空いたイスにちょこんと座る(止まる)こともありました。彼は、チビさんなので私からはテーブルに隠れて見えなくなってしまいますが、もしこの様子を見ている人がいたら、ヒトとヤマガラがペアのイスにお茶のテーブルをはさんで座っている姿は、おとぎ話の挿絵のようで楽しい光景でしょう。

春先には、水浴びしているヤマガラ君がかわいくて、写真を撮ろうとそっとカメラを向けたら気づかれて、「勝手に写さないでよ!」という抗議の意味なのか、私の頭の帽子の上にふわりと飛び乗った、なかなかやんちゃでいずらっ子のヤマガラです。

シジュウカラが入居していました ヤマガラはヒマワリの種より虫のほうが好きなので、たとえば私がいる近くに遊びに来ても、虫をみつけるとすぐにそちらに気をとられて「パクッ!」と虫をくわえてどこかに飛んで行ってしまいます。再度私の近くに遊びに来ても、再び虫が目の前を歩けばそれを「パクッ!」。 私どもの出したヒマワリを少しだけ食べるのは、彼らの社交辞令のようなものです。

自宅の巣箱には、先日ふと見るとヘビの尻尾が巣穴から出ているのに気づき、驚きました。そのときにはすでに7羽のヒナが巣立った後でしたので幸いでした。パートナーが巣箱を叩くと、中から小さなヘビの子が出てきました。とてもヒナを襲えるような大きさではありませんし、簡単にモズの餌食になってしまうような子ヘビでした。子ヘビは鉛筆より細く、カナヘビほどの大きさで、するすると巣箱を出て行きました。子ヘビは空っぽになった巣箱に、単に眠りに入っただけかもしれませんが、小さいとはいえ、ヘビに気に入られたら巣箱が危険です。ヘビが待ち受ける中に小鳥が間違って入ってしまわないよう巣箱の上の蓋を大きく開けておいて、巣箱内で小鳥とヘビの遭遇を防ぐためにしばらくは気をつけて観察しなければなりません。

自宅の庭も、ガーデンも、巣箱をめぐって、いつも何かしら小さな事件や驚きがあり、無事すべての幼鳥が巣立って元気に自力で生きる姿が眺められるようになるまで、私の心はなかなか落ち着きません。でも、もうすぐ安心できる季節の到来です。それまでは巣箱の大家として、責任をもって安全に小鳥たちの営巣を支えることが、余計なお世話かもしれませんが私の務めだと思っています。


ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4


メモ(本文とは直接の関係はありません)
次の第55話は、7月6日(金)になります。
弊社代表による不定期連載「研修雑感」を随時更新しております。 >>リンクはこちらです。
 
 
Copyright (C) 2003-2012 Sophiart Inc. All Rights Reserved.