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■第49話 「お茶の時間 5」 2012年6月21日
台風も去り、軽井沢は一転青空で気温も高くなりました。ガーデンは高木が多いので、台風のたびに枝がたくさん落ちています。それらを拾い集め、掃除をしなければいけません。こういうときは、危ないので念のためヘルメットを被ってガーデンを一周します。まだまだ拾わなければならない枝がたくさんありますが、そろそろお茶でも飲んで休憩しましょう。
今日は、以前から撮りためた旅行の写真を眺めながらお茶を楽しみましょう。私どもは写真撮影が好きで、旅行先でも常にカメラを複数台持って行きます。以前はヨーロッパ旅行でも、カメラを数台持ち歩き、交換レンズも含めて3つの鞄をカメラでいっぱいにして歩いていました。まるで筋肉トレーニングのような旅です。もっとも、荷物は全てパートナーが持ってくれますので、私は手ぶらで楽しく歩きます。
今はコンパクトなデジカメがたいへん便利ですが、デジタルカメラが主流になる前は銀塩カメラ(いわゆるポジフィルムやネガフィルム)で撮影していました。中古カメラも大好きで、旅行先や出張先で、各地の中古カメラショップを覗いて歩くのが趣味でした。
こうした中古カメラめぐりの趣味も、東京で生活をしていた10年以上前までのことですが、その頃は全国に味のあるカメラショップがあり、不思議の国の様相を呈しており、好きな人はその世界に入ると迷宮のように出られなくなる魅力に満ちていました。そういうショップは新宿や銀座、新橋などにもたくさんあり、毎週末は中古カメラを見て回っては楽しんでいました。
そういえば、銀座の歩行者天国には、そのようなカメラ好きの中高年が、世界の様々なレトロなカメラを手にウヨウヨしていましたが、今はどうなのでしょうか。そのような趣味は、デジタルカメラ時代には、絶滅危惧種のようになってしまったのではないでしょうか。
今のデジタルカメラはスペック重視で、古いカメラには魅力を感じる人は少ないと思いますが(そもそも古くなると機能が使えないこともある)、それ以前の機械カメラは古くても修理が出来ますし、レンズにカビなどの欠陥がなければ、本体はデジタル部分が壊れていてもマニュアル(手操作)でシャッタースピードやピントをあわせるなどして楽しむことも可能でした。
オート機能満載の高級なカメラではなく、マニュアルカメラを使うのも好きです。便利なのはもちろんオートですが、マニュアルだと味が出ますし、なにより趣味ですので手がかかること自体が楽しいのです。
昔からそのような練習もしていたので、今でも鳥の巣立ち写真などはデジタルカメラを用いてもマニュアル撮影をしています。
ところで、私は高校生の頃までは(基本的には今も)理系頭でしたので、理系集団の物理クラブなるものに所属しておりました。
「共鳴音叉の波動の研究」というテーマでオシロスコープを使って波動を測定したり、振り子の振動の写真を分析するのですが、そのために白黒写真を撮影して自分で現像やプリントをしました。高校に暗室と薬剤があるので、高校生でも写真の現像やプリントは簡単にできました。
今は、デジタルカメラのプリントは、プリンターで自分で印刷したり、写真屋に出したり、簡易プリントの機械にデータを入れればボタンひとつでできますが、基本的に中身はブラックボックスのため、自分で関わることは出来ません。しかし白黒の銀塩フィルムは、薬剤を使って自分で濃さを決めることができますので、今思えばなかなか楽しい作業です。暗室でモワーっと浮かび上がってくるプリント映像が、だんだん濃く鮮明になる様子はまるであぶり出しの遊びのようで、定着液に浸すタイミングを外せば黒くて使えない写真になってしまうため、少しスリリングでした。
私は、物理クラブの研究のために写真の撮影技術を高めたいという目的で写真を勉強しました。
パートナーは私と違ってロマンチックな趣味があり、夜空の星が好きで子供の頃から天体観測が趣味だったようです。出発点は違いますが、両者とも写真が好きな点は一致しています。
以前は銀塩フィルムが主流でしたので、デジタルカメラと違ってネガフィルムでしたら現像やプリントにお金もかかります。またポジフィルムもスライドにしてもらうのに結構お金がかかります。ですので、今のように無頓着に撮るのではなく、一枚一枚思い入れを込めて丁寧に撮っていたように思います。フィルムの種類にも、カラー写真ひとつとっても、いろいろなメーカーの多種多様な種類があり、ある意味、尖った商品があって楽しめました。
だんだんこうしたデジタル化に押されて、銀塩フィルムそのものがなくなるのではないかという感じも一頃はありましたが、実際はどうでしょうか。白黒写真はファンも多く、確かイルフォードというメーカーが作っていました。
また、今はあまり聞きませんが、アグファというドイツのメーカーのネガフィルムやコダックのダイナハイというポジフィルムなど、個性的なフィルムもありました。赤や黒を濃く出すため、人物の顔を撮るとあまりのどぎつい映りに被写体が怒り出すほどでしたが、真っ青な空にまばゆい太陽、白い家、白い砂浜といった地中海風の景色には、大げさでビビッドな色調が楽しくて、旅行先で様々な表情の写真を楽しめました。
コニカには「SINRA(森羅)」という、森の苔や葉の色つやの微妙な色調に合わせたフィルムもあり、森林ではこのフィルムを使うと、ビロードのような豊かな緑で美い写真が撮れるとか。私どもは(修理窓口の人情味のある対応の親身さもあり)、カメラはニコンが好きですが、コンタックスも好きです。オリンパスもありましたが、メインはニコンの一眼レフです。
F3、というカメラは好きでしたが、私の腕にはFE10ぐらいがちょうど良く、F3では駄作ばかりでした。しかし、駄作の中にも思い入れの深い写真も多く、旅行先のその時々の思いが詰まっておりますので、弊社のホームページ上のアイコンとして、こうした自作の写真をgifやjpegに加工して使っています。
ニコンには28tiや35tiというすばらしい高級コンパクトカメラがあり、ある中古ショップで買い求めたときは壊れてぼろぼろでしたが、オーバーホールとニコンの修理窓口の親身な対応で見事に復活し、どんな旅行にも一緒に連れて行っては写真を撮った思い出のカメラです。
こうしてお茶を飲みながら、30年にも及ぶ写真の趣味を思い起こして、写真というものがなければなにも表現できないほど写真に頼り切っていることに気がつきました。
かといって、写真自体の腕は、全く向上しているとは思えません。むしろ、あまりに写真が日常になりすぎて、退化し、真剣さや新鮮さが失われてしまっています。記憶さえも、写真に委ねている始末です。
世界は常に変化し、ひとときも止まることはありません。無限に変容するなかで、ひとときの何かを、ここに留めておきたい、という強い思いが、写真の原点なのでしょう。日常の中で写真は「情報化」してしまった感があります。ここら辺で一度写真を離れて、自らの記憶の力だけで鮮明に脳裏に焼き付け、それを文章だけで表現する訓練をするほうが、私の場合は良いのかもしれません。
ソフィアート ・ ガーデン物語
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