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■第63話 「山紫陽花(ヤマアジサイ)賛歌 −梅雨の終わりを彩る−」 2012年7月18日 省エネ版(その1)
梅雨明け宣言が各地で発表され、猛暑の報道を聞くだけでため息が出ます。暑いのが苦手で、ここ何日かは文章をまとめるための気合いが入りません。
小さい頃から「アワリしないで、楽(らく)しなさい」(アワリ:沖縄独特の言い回しで「哀れ」ここでは「苦労」の意)と言われて育ったので、暑いときはがんばらずに、のんびり過ごすことにします。
そこで、パートナーがヤマアジサイとの出会いについてまとめたメモがありますので、今日のソフィアート・ガーデン物語はこれを載せましょう。 (以下、パートナーのメモから引用します。)
「軽井沢での生活は庭づくりとともにはじまりました。まず、隣地との境界に常緑樹のイチイで植栽をし、隣の畑との境にはニシキギを植えました。道路脇は当地では数少ない常緑広葉樹、ソヨゴの出番です。敷地にはすでに数メートルものヤマボウシ、マユミ、モミがありましたので、私どもがつくる庭にはこれらを主木として、紅葉が美しい木、野鳥が好む木、実が楽しみな木などの雑木を配しました。こうして、庭の限られたスペースにアブラチャン、カエデ、ナツツバキ、ムラサキシキブ、ヤマコウバシ、サンシユ、ナツハゼ、クロモジ、ミヤマガマズミ、シャクナゲなどが仲間入りしました。一冬を過ごし、沢山の野鳥を迎え、ヤマガラと親しくなってからは、ヤマガラが大好きなエゴノキを植えたのは当然の成り行きです。
自宅はオフィスを兼ねており、仕事中も休息の時も室内にいるときは庭を眺められるようにしています。カーテンを開け放ち、庭という空間をリビングと一体にして味わうためにはこうした木々が欠かせません。成熟した庭をめざし、野鳥が楽しめるようにとせっせと木を植えました。
2004年の4月末に軽井沢に自宅が完成しました。その1年半後の2005年9月に当地の星野リゾートから取材を受け、『星野通信』第55号(2005年11月発行)の巻頭には私どもの寄稿文が掲載されています。そこには「5本からスタートした敷地の樹は今では200本を超えるまでになった」とあります。当時の私どもの趣味は植樹でしたが、軽井沢に来てわずか1年半で、木を植える場所がなくなってしまったのです。
200本といっても植栽のイチイ、ニシキギが大半を占めます。他にソヨゴやツゲ、アセビ、ツツジなど生長が遅く場所をとらない木が中心です。マルバノキ、オオカメノキ(ムシカリ)など珍しい木も加わりました。しかし、日当たりや風通しを考えると、これ以上育てるのは無理です。冬場にはすっきりするものの、夏になると庭はジャングルの様相を呈します。これからは剪定や植え替えなどの手入れに本腰を入れなければなりません。
このような中、私どもが注目したのが、残された狭いスペースや壁際に植えることができるバラとヤマアジサイです。スタッフMはバラ、私はヤマアジサイです。今、旬を迎え、私どもの庭を彩るヤマアジサイとの出会いは、もとはといえば、こうした消去法的な発想によるものです。もともと梅雨の季節のアジサイが好きでしたし、高原に咲くヤマアジサイの可憐な表情は何とも言えません。地元や八ヶ岳の園芸店では他の植物には目もくれず、ひたすらヤマアジサイを探しました。手元には、何年も前につくった購入苗のリストがあり、およそ40種類90苗が記録されています。ヤマアジサイを育てるようになってから2,3年も経つと新たに買い求めることはやめ、挿し木で増やすようになりました。
小さな苗も次第に大きくなります。アジサイは日陰を好むとか日陰でもよいと言われますが、緑陰の軽井沢では日の当たる方にぐんぐん伸びます。庭が歩きにくくなりますし他の植物に干渉することもあります。そのため頻繁に移植を繰り返すうちに、種類がよくわからなくなったものもあります。その後、ソフィアート・ガーデンに出会ってからは積極的にガーデンに移していきました。庭の雑木も同様です。
私どもの庭に咲くヤマアジサイの代表的なものをあげてみましょう。長野県原産で白い花が次第に赤く染まっていく「紅」、青色が美しい種類では「黒姫」や「日向紺青」、「藍姫」(「七変化」)など、そして八重咲きが美しい「深山八重紫」や「美方八重」、さらにはアジサイの中では例外的にお茶として飲まれる「甘茶」、独特な味わいの「富士の滝」、かつて幻のアジサイと言われた「七段花」、同じく幻の花とされた「白舞子」、斑入りがユニークな「九重山」、その他、数々の土地の名を冠したもの(土佐、瀬戸、伊予、青海、済州島・・・・)などです。
さまざまなヤマアジサイに囲まれていますが、基本となるのは、その名も「ヤマアジサイ」という、このあたりの別荘地であればどこでも見ることのできる白い花です。梅雨の軽井沢の暗い森の中で木漏れ日を受けて輝きを放っています。この時期の高原の庭を潤す、いつまでも飽きることのない頼もしい存在です。
自宅とソフィアート・ガーデンには庭には、ヤマアジサイ以外に、梅雨の初期に咲くコアジサイ、そしてアナベル、さらには梅雨明けしてからが本番のタマアジサイやミナヅキもあります。また、名称はわかりませんが、西洋アジサイも2株ほどあります。誰から聞いたのか忘れましたが、軽井沢では西洋アジサイは4年に1回くらいしか咲かないとのことでした。私どもはそのアジサイを<オリンピック>と名付けましたが、北京オリンピックの後は毎年咲いています。
アジサイの歴史と特徴についても少しだけ触れてみましょう。もともと日本に自生していたのは、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、エゾアジサイです。医学者にして博物学者であるシーボルトがオランダに苗を持ち帰り、それらに手を加えて生まれたものが西洋アジサイで、これらが日本に逆輸入されるようになりました。高原などを除けば、一般に我が国の庭に見られるアジサイの大半は西洋アジサイです。
ちなみに、ガクアジサイというのはガク咲きだからというわけではありません。上記のアジサイそれぞれに、ガク咲き、テマリ咲き、八重咲きの花があります。またアジサイは土壌が酸性かアルカリ性かによって、また日当たりの加減によって発色が変わるとされます。酸性の土壌では花が青くなり、アルカリ性では赤みを帯びると言われています。
雑木系の樹木は春、秋と美しいのですが、夏を迎えてからは表情の変化が単調です。ですから、梅雨の後半に、色とりどりに咲くヤマアジサイは、私どもの庭を引き締めてくれます。雨上がりのアジサイの葉に輝く水滴を見ると心が和みます。日の光を浴びるその姿は、まさに<紫陽花>そのものです。」 (以上、パートナーのメモからの抜粋でした。)
パートナーは妙に研究熱心というか熱中しやすいところがあり、園芸店に行っては入荷されたヤマアジサイを見、本やネットで日夜種類を調べ、苗を買い求めていきました。こんなふうにして集めても、植え替えや挿し木をあちらこちらに行うため、結局はどこに何を植えたかを忘れてしまいます。この季節に花を見て、ようやく種類がわかる、という状態です。毎年、どんな花が咲くかのお楽しみがあって、飽きない庭、とも言えます。
ソフィアート ・ ガーデン物語
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