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■第39話 「お茶の時間 4」 2012年6月1日

窓の外は雷雨です 今朝はガビチョウの大声ではなく、明け方の雷や大雨で起こされました。

最近は、晴れていても毎日黒い雲が立ちこめ、急な雷雨があります。今までこの時期にはあまり天気の急変はなかったように記憶しておりますが、今年の初夏は全国的に、雷、突風、大雨という話をよく耳にします。

ガーデンで摘んだ野草をお茶にするために、軒下に陰干ししておりますが、急な雷雨では安心して干すことも出来ず、少し困っております。

これからは、らっきょうや梅の出回る季節となり、やがて梅雨が近づいてきます。 毎年、これからの時期には、らっきょうや梅の加工で少し家事が忙しくなります。これらの素材が店頭に並ぶようになると、一年分の加工をがんばらなければ、という気合いが入ります。らっきょうや梅の顔を見るまではもう少し時間がありますので、今日はゆっくりとお茶を楽しんでガーデンを散歩してみましょう。

アマドコロをモチーフにしたフランスの銅版画 山野草広場のサクラソウやエンレイソウ、そしてスミレ広場の各種のスミレは花も終わり、実を結んで、今年の役目を終えてしまいました。代わりにギボウシやシダ類、アマドコロなどの自生植物が、すらりと背の高い茎を伸ばし、葉を広げています。

アマドコロは、フランス語の名前は「ソロモンの印璽(いんじ):Sceau de Salomon」といいます。印璽とは指輪のことであり、まさに「ソロモンの指輪」であります。この指輪によってソロモンは動物や植物、鉱物などの自然界と話ができる不思議な力を授けられるわけです。

前回のお茶の時間では、指輪なしに動物と話ができるコンラート・ローレンツ博士の名著『ソロモンの指輪』を紹介しました。今回のお茶の時間は、ガーデンに伸びてきたソロモンの印璽(アマドコロ)を眺めながら、庭の生きものたちとお話してみましょう。

足元の草に注目しながらゆっくり歩くと、スゲの花穂にしがみついているカラフトゴマケンモンを見つけました。蛾は夜行性という印象がありますが、この蛾も、いつまでもじっとしていましたので、たぶん眠っているのでしょう。

パンダのような色。スゲの花穂で眠っています ミズナラの葉の上ではクロオオアリの女王と思われる大きなアリがいました。シラカバに寄生するアブラムシから滴る甘い液体を舐めているようです。

女王アリは体長18ミリ、働きアリは体長7〜12ミリということですが、私の親指と比較した写真を見ると触覚を除いて15ミリほどあります。もしかしたらムネアカオオアリかもしれません。大きさは同じぐらいのようですし、両方ともヤマアリ亜科オオアリ属オオアリ亜属、ということで、山のアリなんでしょう。日本最大のアリとも言われます。

ガーデンにはいろいろな昆虫がいますが、蛾や蝶は豊富です。私は昆虫採取の趣味はありませんが、好きな人なら歓喜するでしょう。

カブトムシやクワガタは、夏にはエノキの木に並んで上を目指して列になっているのをよく見かけます。夏を終える頃には、喧嘩に負けた(?)オスの亡骸があちらこちらに転がっています。

ミカン科のキハダやサンショウ、コクサギが多いためか、アゲハの類も多く、美しいミヤマカラスアゲハ(あるいはカラスアゲハ)が、黒と瑠璃色の羽を輝かせて飛び、暑い夏の日に、地べたの水溜りでみんなで水を飲んでいる姿はなかなかおもしろいものです。

オオミズアオという蛾も、あまりの美しさにびっくりするほどです。お姫様を思わせる優雅で透き通るような緑の薄衣をまとう蛾です。そして、国蝶オオムラサキは、第31話「土地の責任」で紹介したように、エノキの葉だけが幼虫の食樹ですので、私どものガーデンのエノキの木が彼らの繁殖場になっています。

シラカバ寄生のアブラムシから落ちる甘い液体を舐めている こうした虫の種類を調べるのには、インターネットの情報は欠かせません。たとえばオオアリの飼育記録など、変わった趣味(失礼!)の皆さんの情報がたくさんあって、ガーデンの虫たちの種を調べるのにとても参考になります。

私も自分の興味や関心に忠実であり続けることで、この「ソフィアート・ガーデン物語」が世の中の一握りの誰かのお役に立てればうれしいものです。

お茶の時間に虫の話をするのは、やめて!という人もいるでしょうから、そろそろ植物観察に移りましょう(私は、昆虫の観察は好きなんですが・・・)。

実は食べられますがおいしいとは思わない ハナイカダには、オスの木とメスの木があり、オスはたくさんの、メスは一つだけの花を、それぞれ葉っぱの真ん中につけています。

やがてオスの花は跡形も無く消え、メスの花は黒っぽい実になって、葉っぱの真ん中に、まるで筏の上に乗りかかるように結実します。

ヤクシマシャクナゲの白い花も咲き出しました。麗人のような、少しピンクがほのかに混ざる純白の花で、まさに高嶺の花です。冷涼な地でなければきれいに咲きません。標高1000メートルの場所に住んでよかった!と思えるほど美しい花です。

ヤマボウシの花も、まだ薄緑の小さい十文字ですが、出てきました。シャクヤクやボタンの蕾も大きくなってきました。

かわいいコガラたちの住処の藪です 軽井沢にはたくさん自生しているミツバウツギの白い小花も満開で、ガーデンに清潔なやさしい香りを漂わせています。これもたくさん自生しているニシキウツギ(二色空木)は、花はまだ先ですが、どんどん茂ってこれから2色の花を咲かせるでしょう。

ヤマガラは、子育ての合間に、私どものお茶の時間に遊びに来ては遠慮がちに木陰からこちらを覗きます。「ヒナたちは皆、元気に育っているの?頑張ってね!」と一方的に話しかける私に、きょとんとした顔で「ニーニー」と鳴いて応え、また近くの巣に戻って行きます。

初夏のガーデンのお茶の時間は、晴れ時々雷雨の中、少し落ち着かないけど楽しいひと時です。


 『 ソフィアート・ガーデン物語 』 第39話 「お茶の時間 4」 
有限会社ソフィアート スタッフM( 竺原 みき )

 
 
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