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ソフィアート・ガーデン物語
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■第14話 「学びの時」 2012年4月27日
前回に引き続き、今回も大人の学びについて考えてみます。今回は「学びの時」というテーマです。
弊社ソフィアートは、企業や団体等における集合研修やワークショップという場で、研修に参加している方一人ひとりとのきめ細かい対話を重視しながら、それぞれの最適な解を出していくための思考をサポートする仕事をしております。 (
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)
その際に、よくお客様からいただく言葉として(研修の講師であるパートナーへの評価ですが)「抽き出しをたくさん持っている」「一つの現象を、豊富な事例を用いて、さまざまな角度から説明してくれるため、目から鱗が落ちる」「とてもわかりやすい」などのありがたい評価です。
弊社では、コンサルタントとして自らの答えを用意しますが、他者に「答えを押しつけない」スタイルをとっています。より善く生きようとするためには、見えない兆しから課題を見いだし、山積する問題の背景を理解し、勇気をもって学び、考え、決定し、時宜を得て行動する、そうした継続した努力が必要です。
そのような努力を後押しするためには、押しつけやお仕着せのアプローチは不適切であると私どもは考えています。
弊社が提供する学びの場がお客様に知的な刺激を与え続け、時にはクライアントが知識だけ先走っている現状を見て、先に待ち受ける危機を察知した場合は、あえてブレーキ役をつとめ、思考の視点を変えるお手伝いをし続けるためには、つねに私どもが、もっともっと学び続け、徹底して考え続けることが求められます。そういう意味では、学びの時とは「常に、いつでも」でありましょう。
しかし、日常の中でどうしても雑事に身を置いてしまいがちなのが凡人の悲しいところです。そこで私どもは12年をひとつのサイクルとして、そのうちの2年間を徹底して「学ぶ時」に当てております。タイミングとしてたまたま、そうなっているだけかもしれませんが、今は意識することで、「学びの時」を有意義に過ごすようにつとめています。
今から12年前、私は大学で勉強し直したいために勤務先の前職を退職し、パートナーの母校である上智大学において「学びの時」を2年半もちました。
上智大学大学院文学研究科・哲学専攻の荻野弘之教授(古代ギリシア哲学)、田中裕教授(科学基礎論、現代英米哲学、西田幾多郎等日本の哲学)、大橋容一郎教授(カント、認識論、近現代哲学史)の講義を2年間、大学生、院生に混じって聴講しました。特に、荻野先生、田中先生には講義や文献講読演習などでご指導いただいたことに深謝しております。
哲学の他に、漢文学、宗教学(神学、仏教)、生命倫理、それらに関連する語学など、それこそ2年半は朝から夜中まで(仕事もせずに)必死で勉強する毎日を送ることができました。少しは頭のサビが取れたようです。
もちろんパートナーが支えてくれたために実現できたことです。それに先んじてパートナーが勤め先を変わる際には、国内外で学ぶ(遊ぶ?)間、私が応援してお互いに学びの時をサポートしました。
次の12年サイクルでは、ひと足早くパートナーが学びの時を迎え、集中して今までとは違う領域や高めたい領域に自ら飛び込み、仕事と平行しながらすでに2年ほど経っています。そして私も今また、学びの時を迎えましたので、これからの力になるテーマを一つの形にしていこうと思います。
ところで、どこがソフィアート・ガーデン物語なの?というぐらい、話がガーデンから離れてしまいました。話の舞台をソフィアート・ガーデンに戻しましょう。
私どもの学びの場であり、学びの時を過ごすのがガーデン(とその傍らにある小屋)です。ガーデンには生きた教材が無限にありますので、それらを五感(それに加えて直感)をフルに総動員して学んでいきます。
虫も学びの対象です。草も木も、未知の動物の足跡も、すべてが学ぶ対象です。未知のものを「なんだろう」と書籍、図鑑、専門書、ネット情報を活用して調べ、自分自身の聴覚、嗅覚やときには(恐る恐る)味覚などで特定していき、時間をかけて観察を続け、その性質を明らかにしていく。どこにも書かれていない、しかし大切なことを見つけたときは、嬉しくなります。
そうして体験学習と知識習得のサイクルを何度も何度も、螺旋状に回しながら、「生きていくための総合力」をゆっくりと高めていく場、それがソフィート・ガーデンです。
年末年始のまとまった時間には小屋で朗読会をします。普段は読み飛ばしてろくに理解しないテーマ(哲学、教養分野)をじっくりと声に出して、狭い小屋をぐるぐると歩きながら朗読します。 (パートナーが朗読係、私はストーブの横でもっぱら聴き役です)
ヘンリー・ソローの『森の生活』(佐渡谷重信訳、講談社学術文庫)
、荻野弘之先生の『哲学の原風景』、『哲学の饗宴』(ともにNHKライブラリー、)、神学講座で学んだ雨宮慧先生の『旧約聖書のこころ』、ラルフ・エマソンの『自己信頼』(伊東奈美子訳、海と月社)、などなど。
子供の頃の素読のように大きな声で、最初から最後まで何日もかけて、一文も読み飛ばすことなく、ていねいにゆっくりと読みますと、名作というのは、磨かれた知性と文章表現の美しさもあって、本当に楽しめます。
こうして12年サイクルの、そして1年単位では年末年始の、学びの時を過ごすのが、ちょっと苦しみでもあり、大きな楽しみでもあります。
『ソフィアート・ガーデン物語』
有限会社ソフィアート
スタッフM( 竺原 みき )
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