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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録−    >>前の記録へ >>次の記録へ

■2014年3月10日(月曜日)一部、番外編 東京等

概況:
2月末は暖かい日もあったが、3月には再び寒波と低気圧で北日本は台風並みの風と大雪。軽井沢は最低気温氷点下13℃以下の真冬日もあり、つららが長く伸びる。別荘地や日当たりの悪い場所にはまだ雪が30cm以上残り、除雪が不十分な道はスケートリンク状の厚い氷の轍で車のハンドルを取られる。同じ時期、北関東や東北、東京方面へ出張等が続いたが、那須や福島方面には一部残雪が見られ、群馬、埼玉、東京都心、栃木などでは全く残雪は見られなかった。

樹木:
ソフィアート・ガーデン100種500本の木を紹介していく。今回はトチノキについて。 トチノキはトチノキ科トチノキ属 。軽井沢の川沿いなどの山では、巨大なトチノキを見かける。別荘地などでも見かける。いずれも自生であろう。ソフィアート・ガーデンにも、複数のトチノキを植えている。葉が大きく、秋の黄葉は黄土色のようなあざやかな黄色である。大きな葉を包み込む冬芽もやはり大きく、べたべたとしたヤニ状のものが芽を覆うため、濡れているようにも見える。(参考: ソフィアート・ガーデン物語 第118話 「冬芽と葉痕」
材は白く、木地(木の器)に加工される銘木のトチには「さざ波杢(もく)」と呼ばれる独特な絹のような光沢がある。トチはクリのように大きな「栃の実」がなる。東京の迎賓館の付近でも街路樹としてトチノキを見かける。銀座には西洋トチノキ(マロニエ)の並木もある。日本在来種のトチノキの花は白く、マロニエはピンク色である。いずれもミツバチが好む。国産トチノキの蜂蜜は高級品で、コクがある。東京の「栃の実」は未熟なまま叩き落として廃棄されるそうだが、デンプン質が豊富であるため、山岳地方では渋抜き後、栃せんべいや栃餅として食べる地方もある。パートナーの故郷の鳥取県倉吉市に隣接する三朝温泉の名物に栃餅がある。渋抜きには大変手間がかかるそうで貴重品ともいえるが、コクがあっておいしい。また餅の粘りがほどよく減っているため、喉を詰まらせやすいお年寄りでも安全に食べられる餅である。お正月には丸い栃餅と小豆を用いた栃餅ぜんざいがお雑煮として食され、私どもの正月にはかかせない。
(参考: ソフィアート・ガーデン物語 第109話 「お茶の時間 11」 、観察記録 2014年1月5日 )

山野草、山菜、園芸種の草花:
ソフィアート・ガーデンの山野草、山菜の紹介は今回お休みとする。東京のニューオータニの庭園では古木の白梅、紅梅が美しく咲き、花壇には桜草に似た赤い花(スタッフMは園芸種に疎く、名前は不明)が一面に咲いていた。葉の形はカッコソウに似ていた。街中の花壇も、春を感じさせるパンジーやチューリップなどが鮮やかで、風は冷たいものの、もはや季節は早春の彩りである。雪と氷に囲まれたモノトーンの軽井沢とは大違いである。

野鳥:
ソフィアート・ガーデンでいつものカラ類に混じって、アカゲラがフィーダーに乗ってヒマワリの種をくわえ、近くの木の隙間に差し込んで突いて食べていた。気に入ったのか、繰り返しヒマワリの種をお気に入りの枝に持ち帰って食べていた。これまでアカゲラが自宅の庭などでカラ類用に掛けておいた牛脂を食べる姿は何度も見ているが、ヒマワリの種を食べる姿は初めて見た。頭が赤いので雄のアカゲラである。今までの観察で、アカゲラの雄は雌に比べて非常に慎重で、見ていてじれったくなるほどであったが、個体差なのか、ガーデンの雄のアカゲラが初めての食材?へ大胆にチャレンジする姿には臆病さは感じられなかった。先月の大雪と氷で大地が閉ざされ、この時期は木の実もほとんど食べ尽くされている。野鳥たちは皆、かなり飢えているのだろう。
鳥ではないが、自宅のウッドデッキにリスが毎日訪れるようになった。ウッドデッキには小鳥たち用のフィーダーを掛けてあるが、鳥がこぼしたヒマワリの種をリスは下で拾って食べている。フィーダーの上には雄のシジュウカラ、下はメスのシジュウカラやカヤクグリがいて、リス同様にヒマワリを拾って食べているが、リスと小鳥はお互い我関せずという態度である。薪の山の上でしっぽを背にちょこんと座って、しばらく放心したようにぼーっとするリスの姿は、まるで置物のようである。

虫:
特に見かけなかった。

その他:
冬のソフィアート・ガーデンでの小鳥たちとの交流は、出張続きの私どもがたまに訪れるたびに、心を温め感動を与えてくれる。先日、小鳥たちの友情を感じる出来事があった。私どもが窮地に陥っているときに、励ましに来てくれたのである。
それは、このような話である。ガーデンに向かう小道をやっと除雪車が除雪してくれたのは良いが、不十分な除雪によって積み上げられた雪が氷の塊になって道幅が普段よりかなり狭くなり、さらに凍った轍にタイヤがとられ、細い道路脇の深さ1.5メートルほどの農業用水路に危うく車ごと落ちかけた。私は危険な路面状況であったため車を誘導中で、たまたま車外にいた。運転手(パートナー)は用水路の中に降りて車から脱出した。レスキューを呼んでも道が細すぎてレッカー車も入れないため為す術なし。結局その日は諦めてタクシーで帰った。パートナーと私の二人で、二日間にわたって何時間もかけて慎重に車の周りの雪や氷を取り除いた結果、安全なハンドル操作が可能になり、無事に用水路に落ちずに脱出できた。
そのような状況下、車救出作業をパートナーに任せ、私は近くのソフィアート・ガーデンまで歩いて向かった。ヒマワリの種を入れたフィーダーをかけながら小鳥たちにこう話しかけた。「みんな、聴いて。今、私たちと車はとても困難な状態です。どうか私たちも車も、無事に、この危ない状態から抜け出せるように、みんなで応援してくれる?」コガラたちが、きょとんとした面持ちで私の顔を見ながら、ヒマワリのプレゼントを受け取ってくれた。厳しい大自然の中を身一つで生き抜く、小さな小鳥たちに対して、何倍も大きな体の人間が助けを求めるなど、おこがましいお願いをしたものだ、彼らに対して失礼なことだった、と思いながら、それでも元気に飛び回る小鳥たちの姿に困難を乗り越える明るい力を得た気持ちになった。
家に帰ってパートナーにこの話をしたところ、なんとコガラが「どうしたの?」と言いたげな様子で、車救出作業をしているパートナーと車の近くの木にとまってじっと見ていた、と話した。そして翌日も、車を救出するための作業中に、再びコガラが近くの枝にとまって私どもをじっと眺めているのが見えた。そこはガーデンから少し離れた場所であり、普段はコガラをあまり見かけない場所である。私はコガラに手を振って「ありがとう、応援にきてくれて。大丈夫、もうすぐ車を助け出せるから、安心してね!」と声をかけると、コガラはくるりと振り向いてガーデンの方に飛んでいった。
その後、ようやく脱輪から抜け出し、無事にガーデンに到着した。小屋で薪ストーブで暖まりながら、お茶を楽しんでいると、今度はヤマガラが窓際にあるデッキのテーブルまで飛んできて、そこにちょ こんととまって、窓越しに私どもの様子をのぞきこんだ(普段はこのようなことはしない)。窓をあけてピーナツのかけらを手にのせてプレゼントしようとしたが、ヤマガラは私どもを見て「ニーニー」と何度か鳴いて、そのままどこかへ飛んで行ってしまった。まだフィーダーには十分にプレゼントはあったので、食べ物のためというより、私どもの様子を見に来てくれたとしか思えなかった。
こう書くと、自然観察記録というよりスタッフMの妄想として受け止められそうであるが、これまでにも似たような経験をしたことがあり、小鳥たちは、こちらが話しかけると、その言葉をちゃんと理解しており、そして心からお願いすると、それを律儀に実行しようと応えてくれる。私の実感として、そのように感じている。
もっとも、小鳥たちは生来の楽天家で好奇心が強く、環境の変化にとても敏感であるため、私どもが庭で作業していると「きっと自分たちのために、なにやら楽しいことをしている」と考えているかのように、いつも必ずチェックしにくる。今回もそうした理由から、心配顔ではなくワクワク顔でチェックしに来たのだろうという気もするが・・・。
(参考:ソフィアート・ガーデン物語 第21話「小鳥の性格 」 、ソフィアート・ガーデン物語 第86話「小鳥の性格 2」

軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの−
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4
文章と写真:スタッフM

佐久方面から見た浅間 シロクマの子のような雪の塊 つららは透明な氷 つららは透明な氷
凍結路はスケートリンクのよう 用水路に脱輪寸前! 除雪隊員約1名ががんばる
ドロノキにとまるアオゲラ フィーダーでヒマワリの種を探すアカゲラ ヒマワリの種を木に差し込んで食べるアカゲラ シジュウカラの雌は胸の黒い模様(ネクタイ)が細い
ニューオータニ庭園の白梅と花壇 ニューオータニ庭園の紅梅 デッキでぼーっとするリス


 
 
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Sophiart Garden Diary - KARUIZAWA forest garden, wildflower, wild birds and other creatures