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■第7話 「木の恵み 2」 2012年4月18日 番外編(その2)
前回の杏(あんず)が赤々と燃える暖炉の火や太陽のような暖色系の果実だとすれば、今回は、晴れた夜の空のように、また澄んだ湖の深い底のように、幽玄な黒に近い、青や藍色の寒色系の果実といえましょう。
東信地域の有名な果物の中で、私どもが毎年待ち焦がれるものとしてプルーンがあります。外国産の干しプルーンについてはよくスーパーなどで出回りますが、生のプルーンというのは案外知られていないかもしれません。
日本におけるプルーンの産地としては、軽井沢の隣の佐久市(臼田)が有名です。大きな青い宝石のような美しい果実で、皿に盛りつけてテーブルに置くだけでも絵になります。樹上で完熟した生のプルーンを皮ごとパクッといただくのは、どんな果実よりもみずみずしくおいしいと私は思います。
ちなみにプルーンは、東信では20を超える品種が栽培されており、収穫時期を次々とリレーしていきながら楽しめます。早い順に7月からアーリーリバー、オパール、ツァー、パープルアイ、シュガー、・・・・そして9月中旬頃に代表品種のサンプルーンが登場し、その後大型のプレジデントに至るまで10月の下旬頃まで続きます。
プルーンはアンズと違って、複数の品種をリレーすれば、とても長い期間「旬」を楽しむことのできる果実です。栽培農家の話によれば、近年は甘くて大型のものが好まれる傾向があるそうです。
車で行けばすぐ近くにある、とある栽培農家も兼ねる販売所では、プルーンの季節になると希少な品種も含め、ほとんどの品種を次々と販売していきます。
扱うプルーンの種類の多さにかけては、日本で一番であろうと思われます。他県のレストラン関係の会社の車も買い付けに来ているのを目にしました。
パートナーはプルーンが大好きなようで、また妙に研究熱心なところもあり、20種類近くの品種を購入し、生食したりジャムにしたりなどトライしていきました。生で食べるのはサンタス、でも、やっぱり定番中の定番である「サンプルーン」は、生で良し、加工して良し、と一番気に入っているようです。
なおプルーンのジャムは、青の果実からは想像できないような、美しい赤い色をしています。
そして、もう一つの青の果実、ブルーベリーもたくさんの品種があり、同様に収穫時期が異なり、それぞれ実の大きさや酸味、甘味などの味の特徴が異なります。このブルーベリーという果実もまた、パートナーの心の的を射てしまったようで、毎年、東御市の、とある栽培農家の元へ、さまざまな品種を時期を変えて買い求めに行くのに付き合わされております。
ブルーベリーは、寒冷地系と言われる北部ハイブッシュ系と、暖地系とされる南部ハイブッシュ系、さらには極寒冷地系の半樹高ハイブッシュ系、暖地系のラビットアイ系に大別されます(渡部順司『ブルーベリー大図鑑<品種読本>』マルモ出版、2006年)。当地で収穫されるのは、北部ハイブッシュ系の品種です。
私はブルーベリーに対しては、「食べる」ということ以外の興味はありませんので、ブルーベリーについては熱心に情報収集や栽培をした(15種類植えたものの収穫はごくわずかでしたが・・・)実績のあるパートナーの話を参考にしました。以下「 」はパートナーによる説明です。
「ブルーベリーは夏の果実であり、一定の時間を冷温にさらされないと収穫できないものです。日本のスーパーなどで出回るブルーベリーは、大半がアメリカ産、特にオレゴンとカリフォルニアのもので、ニュージーランドなど南半球のものもあります。当地(東信)では7月中旬からの1ヶ月間が旬で、たくさんの種類のブルーベリーが楽しめます。痛みやすいが生で食べるとおいしい、しかし未熟果はすっぱい、という微妙なタイミングでしか味わえない逸品として「ダロー」があります。これは、生産地の農場でしか味わえないブルーベリーです。「スパルタン」も味に定評がありますが、栽培の難しさでも知られています。」
そしてパートナーが特にお気に入りなのが「コリンズ」です。「ブルークロップ」や人気の「ブルーレイ」がそれに続きます。これらは甘味と酸味のバランスが良く、東信地区の気候風土と非常に相性が良く、おいしくなります。
ブルーベリーも最近は大粒で甘いものが好まれる傾向にあるようです。また品種ごとに、最適な食べ方があります。たとえば大粒で甘めなものは生食用、ジャムなどの加工用には酸味の強い小粒の「ジャージー」などが向いているといいます。
・・・などなど、マニアックな話題が尽きませんが、これから秋までの半年間は、またもや栽培農家や産直へ足繁く通う日々が続きます。木の恵みの魅力は、とどまるところを知りません。
『 ソフィアート・ガーデン物語 』 第7話 「木の恵み 2」
有限会社ソフィアート
スタッフM( 竺原 みき )
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