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 ソフィアート・ガーデン物語
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■第10話 「光と闇 1」 2012年4月23日

小鳥たちのうつくしいさえずりのコンサートが終わり、やがて太陽が西の空に沈むと、夜のとばりが落ちてきます。ソフィアート・ガーデンの大きな木々がシルエットになって、空を縁取ります。

ムササビは高い木が連続する空間が好き 日没後、その木々を伝って移動するムササビの声(グルルルル・・・)が聞こえてきます。滑空する姿はまだ見ていませんが、外でじーっと観察すれば見えそうです。なにしろすぐそばの木から聞こえてきたかと思うと、離れた木からも聞こえてきます。仲間と合図しあっているのでしょうか。

夜、仕事を終えて自宅に帰るために、小屋から外に出て車に乗るときは、ガーデンと見渡す限りの雑木林は恐いぐらいの真っ暗闇です。玄関燈がわずかに車の周りを照らしてくれますが、それ以外は塗りこめたような闇です。

雪の夜や、満月に近い夜はとても明るく、特に冬の夜は空気が澄んでおり、木々の葉が落ちているため、星がよく見えます。

ハルニレの大きな木のシルエットを東の空から昇る月が鮮やかに地面に描いて、遠くにぼんやり見える薄墨の山並みと、くっきりとした墨絵のような木の影、そうしてあかるい大きな月が、一枚の景色となります。そこにフクロウの声やムササビの声が響き、絵本のような不思議な、でもちょっとこわい感じがします。

帰りの道はなるべく静かに車を走らせますが、それでも近くの池の中で眠りについているカモをびっくりさせてしまったこともあり、こうして森の闇を動き回るのは野生動物たちにとっては迷惑なことでしょう。

シェークスピア朗読会にて 夜の闇はどこまでも深く、そこにはいろいろな生きものが闊歩していたり、あるいは小鳥たちが思い思いの枝で眠っています。
森の闇は人間は入ることのできない世界です。

森だけでなく、軽井沢の夜はほんとうに暗いです。自宅で、夜にストーブの薪を足そうとデッキに出たもの の、周りの闇の深さに足がすくんでしまい、野生動物や得体の知れぬ魔物?がとびかかってくるような錯覚を覚え、ほんの一メートル先に出ることすらできなかったことがあります。
今はデッキには格子戸をつけて、野生動物の侵入を防いでおりますので、そのような心配はありませんが。

子供の頃は田舎などで闇夜の暗さを経験しましたが、その頃は闇の彼方に見えないはずのものがいっぱい見えて、あれはなんだろうと不思議に思ったものです。大人になって、このような深い闇を経験すると改めてヒトは闇を恐れるものだということを思い出します。

シェークスピア朗読会にて 今はどこに行っても、田舎であろうと、街灯やコンビニエンスストアが明々と光りを放ち、闇を打ち消しています。防犯や利便性のためにはやむをえない面もありますが、闇を消していくというのは、一方でつまらない世界になるように思います。

軽井沢は条例により、コンビニエンスストアであっても営業は23時までと制限されています。少し車を走らせて隣町に行けば24時間営業の店舗はたくさんありますし、どうしても困ったときの助けにはなりますが、たいてい20時を過ぎれば外出することを諦めてしまいます。

ですので、日が暮れると軽井沢の街中は人の気配がなくなり、真夜中のように静かで真っ暗になります。軽井沢を夕方出発して、夜遅くに東京駅に到着することがありますが、真っ暗で人気のない宵の口の軽井沢と、真夜中なのにあふれんばかりの人とまばゆい光に活気づく東京との、あまりの対比にびっくりさせられます。

こうして闇に包まれた夜がふけ、そして4時過ぎには新聞を配達する軽自動車(どんなに道が凍っていても毎朝がんばる頼もしい車です)のギュイーンというエンジン音がうっすらと聞こえてきます。

そして朝の訪れのちょっと前から、小鳥たちがそれぞれの歌を高らかに謳い始めます。どうやら私どもの庭がお気に入りの様子の、元気なガビチョウ(台湾渡来の外来種として、すでに軽井沢町にも勢力を拡大しています)は、初夏には毎朝4時半きっかりに、寝室の隣の木で自信満々に大声で歌を披露します。その大音響は、まるで耳元で聞こえるかのような賑やかさ(騒々しさ)で、夜更かしした日にはちょっと勘弁してほしいと思うほどです・・・。

こんな小鳥の歌を聞けて太陽も嬉しいでしょうね やがて明るい太陽がすべての大地を照らすと、ソフィアート・ガーデンも、生き生きとした光りを放ち、活動し始めます。ガーデンは東から南にかけてゆるやかに低くなっており、はるか遠くまで視界が開けているため、朝の時間が特に美しく感じられます。

暗闇から解き放つ朝の光は、毎日、あたらしい希望と喜びを与えてくれます。小鳥たちも毎朝、全身全霊で喜びの歌を歌い、生きていることを讃えます。草も木も、精一杯生きようと光を求めて枝葉を伸ばします。さて、ヒトである私どもは、どうでしょうか。

いまここで一所懸命に生きている、ということを、小鳥や草木のように満身の喜びと感謝の心で表現したい。
怒りや不満、不安や無力感などで心を闇に閉ざすのではなく、どんな時代、どんな場所、どんな状況であっても、常に光を受け止めるセンサーを曇らせないように磨いておき、明るい光の方向に向かって歩き続けたい、私はそう思います。


 『 ソフィアート・ガーデン物語 』 第10話 「光と闇 1」 
有限会社ソフィアート スタッフM( 竺原 みき )


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