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過去に掲載したコラムです。
■2003年9月22日
指揮者とオーケストラのコラボレーション(2)
(有)ソフィアート 代表取締役 竺原雅人
前回のコラムでは指揮者とオーケストラとの関係からコラボレーションの姿を考えてみました。今回は、それに関連して私自身の研修スタイルについて紹介したいと思います。
企業研修に携わる身として、私が研修現場で最も重視することの1つに「参加者(研修生)との共感性」があります。参加者がもつさまざまな問題意識に対して、講師として的確に応え、また、皆の問題意識を共有し、それをさらに研ぎ澄ましていくことは容易ではないと実感しています。研修が、参加者が当面する経営課題や日々の問題解決にいかに寄与するかが肝心ですが、そこへ導くためには参加者との共感というエモーショナルな要素は欠かせません。共感性を欠いた研修は、(音楽に例えれば)いつ、いかなる場面でも同じ音しか発しない録音機のようなものです。意外性、創造の可能性は、生身の人間同士のぶつかり合いによるライブにこそあるのではないでしょうか。予定調和ではなく、生きた事象としての経営成果を創出するという観点からみると、研修は「共感を軸とした講師、参加者のコラボレーション」でなければならないと考えます。
オーケストラには、その歴史と伝統、環境の中で培われた固有の音、奏法、そしてファンである聴衆の存在があります。そのようなオーケストラと指揮者の関わり方として、どんなオーケストラにも同じことを押しつけるのは愚かなことであると私は考えます。
したがって、研修の講師としての私の使命は、その企業固有の良さを発見しそれを活かす存在であり、その歴史と伝統を尊重し、当該企業の存続に最も重要な存在である顧客への成果を、その企業と一丸となって創出することであると考えます。これらのことを実践するために、以下にソフィアートにおける研修のスタイルを音楽に託して述べてみます。
@お客様が育んできた良き響き、伝統の音を大切にします。 お客様がどのような役割、立場であっても、また、こちらがどんなシナリオを用意しても、お客様との共感無くしてはハーモニーにならずに淀んでしまいます。
研修場面において、お客様が当たり前として抱いている価値自体の是非を鋭く問い直すこともあります。しかし、それは質問を通して気づきの場を提供するためであり、思考法やメソッドを押しつけるためではありません。仮に抜本的な変革を要求する厳しい提案をする場合であっても、まずお客様が音を奏でる様式を知り、そこに切り込まなければ本質的に何も変えられないでしょう。 お客様が自ら気づき、思考、行動を変えるまで、ソフィアートは粘り強く支援します。
Aソフィアートは、その企業が本来持つべき意義に奉仕することをめざします。
つまり、その企業の存在意義は何か、企業の顧客あるいは社会にとってどういう存在であるべきかを大切にします。目先の利害などの自社都合にとらわれるあまり事業本来の特性を見失ってはなりません。見失うのは一瞬でも、お客様は永遠に戻ってこないことがあります。 時には対処療法的な問題解決も必要ですが、ソフィアートは、当該事業固有の時間感覚、金銭感覚、成功の方程式を企業とのコラボレーションの中で見出し、それを実際の活動に展開していきます。
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