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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■二十四節気:小満 2016年5月20日(金曜日)
概況:
この時期の軽井沢は空も大地も明るく清らかでとても気持ちが良い。草木の勢いがはじける香気となって大気を満たす。安定した晴天続きで寒くも暑くもない、美しい初夏の日々が続く。植物は薄く淡いパステル調の春色から輝く翠色の初夏へとぐんぐん生長する。毎朝、目が覚めるたびに大自然は刻々と表情を変える。一瞬たりとも目を離せない季節である。夏鳥を交えて小鳥たちのさえずりが幾重にも響き渡る。この時期は軽井沢リゾートマラソンが開催される。
樹木:
ナツハゼやヤマモミジの赤みを帯びた春紅葉が新緑に彩を添える。ハナイカダの雄花と雌花が、葉の真ん中についていて面白い。オオヤマザクラは5月初旬に散り、5月中旬にはミヤマザクラ、ウワミズザクラが開花。また5月中旬に雲場池などで見られる、桜ではないが似た風情の満開の白い花は「ズミ」(コナシ、コリンゴ)である。コナシは幹や枝が桜と比べて黒っぽくガサガサとした感じがする。雲場池にはヤナギもたくさんあるが、このヤナギの花が綿を飛ばして風に乗り、キラキラとした初夏の陽光に輝きながら湖面にたくさん浮かんでいる。同じころ、八重桜も満開で、カッコウも飛来する。サトザクラが咲きカッコウが来ると霜の心配もなくなる、という農業における目印の木である。無数の新緑がステンドグラスのように淡く柔らかな光を通し、そよ風にゆれてチラチラと輝く。森の中の木漏れ日に小鳥たちのコーラスが響き、まるで荘厳な教会のドームのようである。歩くと足元の草からハッカのようなさわやかな香りが立ち上る。軽井沢のもっとも素晴らしい季節である。
山野草、山菜、園芸種の草花:
5月第一週、待ちに待ったウドがようやく顔を出した。少し成長して太く大きくなったところを、葉先は天ぷら、茎は皮をむいて薄くスライスして生で酢味噌あえ、皮はきんぴらにしてさまざまに楽しんだ。ガーデンに大量に自生するミツバを摘んでは夕食のおかずにしている。ソフィアート・ガーデンの野生ミツバは結構大きいが、筋もなくとてもやわらかくて薫り高く、みずみずしい。お浸しや汁の具材に良い。原木キノコも雨が少ないとはいえボチボチ育ってきたので天ぷらにして食べたり、乾燥させて保存したり。
ユキザサ、エンレイソウ、サクラソウは5月中旬頃まできれいに咲いていた。ギボウシの新芽がたくさん伸びる。この新芽はおいしい山菜として、スーパーなどで販売される(ガーデンのギボウシは鑑賞したいので食べないが)。以前は不在時に勝手にガーデンのギボウシを刈り取って行かれたこともある(山菜取りの仕業)。そのギボウシのそばには、自生のスズランも生えている。こちらは毒性があり食べられない。フキが海のようにガーデンの地面を覆い尽くす。6月に入る前にフキを収穫しなければ。初夏の花、ルリソウやクワガタソウも早くも咲いている。ルリソウは雲場池のあたりに自生しているワスレナグサのようなかわいいい青や紫の小花である。また雲場池に隣接する別荘地ではツルリンドウの花も見られた。5月中旬に東京方面へ下道を移動中、埼玉県本庄あたりで広大な麦畑が黄色く延々と続くのが見えた。群馬県も埼玉県も、関東は麦の栽培が盛んであることを知った。
野鳥・生きもの:
雲場池に散歩する途中、旧軽井沢の別荘地でオオルリの声を聴いた。オオルリは日本三鳴鳥と言われる美声で、放物線を描くような、独特の鋭くかつ余韻のある響きである。とっさにカメラを構えて待ち、ようやく写真に収めた。またソフィアート・ガーデンで黄色い飛行物体?がすばやく横切り、こちらもとっさにカメラを構えてキビタキ撮影にやっと成功した(すばしこくて、いつもスタッフMの腕では撮れない)。いずれも軽井沢の夏鳥の代表で、彼らを見ると初夏の到来を感じる。
5/14に自宅庭で、小鳥たちが何やら騒ぐ声がした。すぐに直感で「ヘビだ!」とわかり、パートナーと二人で急いで庭に出ると、案の定、2メートル近いアオダイショウが木を伝っていた(写真)。その近くに小鳥の巣箱があり、シジュウカラ夫婦が営巣中である。このシジュウカラ夫婦だけでなく、多種の鳥(コガラやヒヨドリ、普段庭にいないスズメまで)がどこからともなく集まって野鳥連合軍を結成し、皆が「シャー、シャー(スタッフM訳:ヘビがいるぞ!)」という特有の警戒鳴きをする。私スタッフMはヘビも嫌いではない。生きるために必死なヘビの気持ちになれば、かわいそうだとは思うが営巣中の巣箱だけは守らなければならない。小鳥たちの声援を受けながら、パートナーが庭箒で木に登ろうとするヘビを、枝ごとゆすってやっと地面に落とした。ヘビは枝を揺らされ目を回したのか、しばらくじっとしていたが、やがて隣の畑の木へゆっくり逃げていった。私どもとヘビの格闘?を見守る小鳥たちのギャラリーも静かになった。(参考:ソフィアート・ガーデン物語 第18話「巣の危機」 )
虫:
アカスジキンカメムシの5齢幼虫が葉っぱに隠れている。このカメムシは緑や赤の輝きが美しく生きた宝石のようである。5齢幼虫も白黒の模様がけっこうかわいい。ウシバシロチョウ(ウスバアゲハ)のメスがガーデンのトクサに産卵しようとしていた(写真)。
その他:
上田で買い物をしていたら、アンズの未熟果「ひめこ」というものが販売されていた。アンズは毎年大量にジャムやコンポート、シロップ漬け、杏酒、杏の塩漬けなどをつくってきたが、杏のヒメコ焼酎漬、というものはいまだ見たことがないので試しに買って作ってみた。2か月ほどすれば種ごと食べられるとか。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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