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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■二十四節気:穀雨 2016年4月20日(水曜日)
概況:
12日の最低気温が氷点下5.9℃、毎日霜注意報も出るものの、おおむね日中は暖かく最高気温は20℃を超える日もある。春の陽気に野鳥のさえずりが高らかに響きわたる。コブシの白い花が満開。オオヤマザクラも開花〜7分咲き。中低木はキブシや山茱萸、アブラチャン、ダンコウバイ、日向水木など黄色い花が目立つ。ミツバツツジも咲き始めた。熊本や大分を震源する震度7の大地震(14日M6.5、16日M7.3)が多発連続しており、被災地は甚大な被害を受けている。
樹木:
軽井沢はコブシが満開。オオヤマザクラは咲き始め〜早くも満開に近い地域もある。今年のコブシやオオヤマザクラはここ12年で最も早い。ウメは満開のピークを過ぎて、これから白いスモモの花が開花する。
中低木は黄色花メインの庭。サンシュユ、キブシ、アブラチャン、ダンコウバイ、レンギョウなど黄色尽くし。そこに紫(ミツバツツジやエゾムラサキツツジ)や白(アセビ)が混じる。春の日差しの中で自然の美しさと生命力に身を浸す。誰もがそうであるとは思うが、私スタッフMは一年中で一番この季節が好きである。
沖縄はカンヒザクラ(ヒカンザクラ)の赤い実がなり、海辺ではアダンの実がなっていた(4月第二週)。東京都心は桜満開のピークを過ぎ、皇居お堀沿いの枝垂れ桜の花びらが舞い、少し遅めに咲く八重桜は満開であった(4/8)。
山野草、山菜、園芸種の草花:
ソフィアート・ガーデンではいっせいに大地が芽吹き、スプリングエフェメラルのアズマイチゲが白く可憐な花を咲かせ、フキの葉が地面からわらわらと顔を出し始めた。この時期の小さな蕗の葉は柔らかくアクもないので摘みたてをみそ汁の具などにすると癖もなくておいしい。適当に摘んでフキノトウと一緒に天ぷらで食べた。自生のミツバも伸び始めた。自生のアサツキ軍団はもう20cmほどになり、そよ風に吹かれている。これも冷凍庫で保存すれば、一年中みそ汁の香味として使える。カキドオシの紫色の花が咲きはじめ、マルハナバチが飛び交う。ヨモギは大地にへばりつく昨年残りの小さな葉から、やがて毛むくじゃらの新芽を出すようになると、我が家の天ぷらの食材になる。
沖縄では国際通り沿いの駐車場では大きなウコンラッパバナが見事に咲いていた。
野鳥・生きもの:
ソフィアート・ガーデンでは、この時期さまざまな野鳥が観察できる。
毎日、キジ(オス)が散歩しては時々「ケーンケーン、ドドドド(ホロうち)」。
4/15、オシドリのつがいがガーデン南側の用水路を泳ぎ、わきの土手を散歩(鳴き声はしない)。
4/18、柔らかな春霞の青空にイカルの声が高らかに響く。
エナガは人の存在を気にせず、白樺の高い梢の細い枝先にぶらさがって、何か一生懸命である(チチッ、チチッ、と地鳴き)。
毎日、ソフィアート・ガーデンでも自宅庭でも、ウグイスの「ホーーーホホホホケキョ!」が響く。歌が未熟なウグイスは「ホー、ホキョ・・」で終わるが、庭のウグイスはいきなり上手に鳴いているので経験豊富な成鳥であろう。時々、ヒヨドリなどに驚いてか「キリリリリリリケキョケキョケキョケキョ・・、ケッ、キッ、キョッ、ケッ、キッ、キョッ・・・」と警戒する。自宅庭は毎年ウグイスのお気に入りになるため、さえずりが至近距離で響く。さえずりというものは、基本は縄張り主張なので強い声である。表情で言えば強面であり、間近は迫力がありすぎる。遠くからの響きを鑑賞したほうが風流であろう。
カラ類はすっかり春モード、コガラは「フィーフフィーフ」とフルートのように、ゴジュウカラは「フィフィフィ!」と強く通る声でさえずり、ヤマガラは「ツンツンピー」とのんきに歌い、シジュウカラは「ピツピツピツ(無限繰り返し)」と強い声で鳴く。フィーダーに来るときは甘えたような「ビービー」や「ニーニー」「キチキチ」などの地鳴きである。遠くでヒガラの高原らしい美声が響く。赤ゲラやアオゲラのドラミング(木を叩く音)が「カタタタタタタ・・・・」と(小太鼓の軽快な連打のように)高い空にこだまする。夕暮れ時には遠くでガビチョウがうぐいすの真似をしたり、「トットリー」とキビタキの真似をしたり。ガビチョウのキビタキ真似を耳にすると、もうすぐ夏鳥の到来の季節であることを意識する。もしかしたら、もうすでに軽井沢にキビタキが来ているのかもしれない。
耳に聞こえる、目に見える、すべてが生命の輝きを放ち、キラキラと美しい。シジュウカラではないけど「生きているって幸せ!」である。
(参考:2013年5月12日の観察記録)
沖縄(那覇市中心部のホテル庭園や首里)ではイソヒヨドリの声がしていたが、今回、姿は見られなかった。オオルリに似た強い美声である。那覇市や名護市のホテルビーチ庭園ではメジロがチーチーと飛んでいた。キジバトやシジュウカラも見かけた。 Karuizawa Wild Birds : Parus montanus(Kogara, Willow tit), Sitta europaea(Gojukara, Eurasian nuthatch, Wood nuthatch), Parus minor(Shijukara, Japanese Tit, Eastern Great Tit), Parus varius(Yamagara, Varied tit), Periparus ater Linnaeus(Higara, Coal tit), Zosterops japonicus(Mejiro, Japanese White-eye), Aix galericulata(Oshidori, Mandarin duck), Phasianus versicolor(Kiji, Green pheasant, Japanese Pheasant), Eophona personata(Ikaru, Japanese Grosbeak), Dendrocopos major(Akagera, Great Spotted Woodpecker), Picus awokera(Aogera, Japanese Green Woodpecker), Dendrocopos kizuki(Kogera, Japanese Pygmy Woodpecker), Horornis diphone(Uguisu, Japanese Bush Warbler), Garrulax canorus(Gabicho, Hwamei) Okinawa Wild Birds : Zosterops japonicus(Mejiro, Japanese White-eye), Monticola solitarius(Isohiyodori, Monticola solitarius), Parus minor(Shijukara, Japanese Tit, Eastern Great Tit)
虫: ソフィアート・ガーデンの庭掃除で大きな石を動かすと、ムカデなどが驚いたように身を縮める。悪かったね、とそっと石をかぶせる。地面の虫は活発に活動している。アリの行列が忙しそうに大地を走り回り、ミズキの太い幹を行き来してなにやら運んでいる。夜は肌寒いので薪を焚くが、薪を運ぶためデッキの入り口を開けると蛾が入ってくる。そういう季節になったのだ、ということだ。ガーデンの小屋はまだカマドウマはでない。
その他:
4月初旬〜中旬にかけて(スタッフMの故郷である)沖縄へ帰省した。相変わらず中国本土や台湾を中心とした外国人観光(というより買い物旅行)客が多くいた。彼らはレンタカーでの移動もするが、中には那覇港へ停泊するクルーズ船で来沖し、ツアーバスで本土資本のドラッグストアなどで買い物をしてゼロ泊一日の滞在でクルーズ船へ戻る買い物ツアーもあるそうだ。タクシーの運転手さんから聞くと、彼らに人気のある商品などは価格が高騰して、たとえば「救心」という薬は地元の小さな薬局では千円台だが本土資本のドラッグストアは4300円で売られていたそうである。その商品はスタッフMが那覇空港の売店で調べたら定価ベースの2000円ほどで販売されていたので、相手の無知につけこんで2倍の値付けでクルーズ中国人客に販売していることになる(スタッフMが実売価格を確認したわけではないのであくまで伝聞による推測)。確かに国際通りや平和通りには、今まではなかった本土資本のドラッグストア等が中国人向けに雨後の竹の子のごとく突然店を並べ、接客応対や値札もすべて中国人観光客向け、そのうえかなり高値で販売していた。インバウンド狙いの「ボッタクリ」商売である。それでも彼らは買っていくからいいではないか、というやり方はまともな日本人の商道徳とはちょっと思えない。沖縄県外企業のそのような無法を許せばやがて沖縄全体の評判を落としかねない。ただし、そのようなチェーンストアは景気が減速すれば真っ先に逃げ出すだろうし、中国の買い物ツアーの人々は日本人以上に人的な情報共有網がすごいらしいので、いったん彼らからの信用を失うとそのうち客足にも影響するだろう。これからも継続的に観察させてもらおうと思う。
その他2:
14日から20日現在まで、熊本や大分を震源する大地震が立て続けに起こっている。14日熊本県益城町でM6.5震度7、16日未明M7.3震度7、その後も震度6クラスの大地震が何度も起こり、熊本や大分、阿蘇と震源が移動しながら群発している。被災地は度重なる地震で建物の倒壊や橋の崩落など甚大な被害を受けている。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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