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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2015年1月30日(金曜日)
概況:
26日の最高気温は9.8℃、ここ10日間で最低気温が氷点下10℃以下の日は3回、真冬日は30日のみ、という比較的暖かい日が続く。とはいえ風が強い日には氷点下2,3℃程度でも散歩していると冷気で耳や顔が痛い。軽井沢で最も人の少ないシーズンで、国道18号に沿って散歩したが車も人影もほとんど見えない。軽井沢駅周辺や駅前のショッピングセンターは中国大陸や台湾などのアジア人観光客で賑わう。外国人の訪日数が増えていると報道される通りである。
樹木: ソフィアート・ガーデン100種500本の木のエピソードを紹介していく。今回はマルバノキについて。マルバノキはマンサク科の落葉低木。別名、ベニマンサクという。マルハノキと呼ばれることもある。赤い、マンサクによく似た紐状の花弁の花をつける。その後、ハート型の実をつける。葉の形もハート型で、紅葉すると赤やオレンジや黄色のハート型の葉がとても美しい。高さは2mほどだが枝葉は涼しげにまばらで、横に手を広げるような樹形になるため、のびのび育てるには、ある程度広さのある場所に植えた方が良い。ソフィアート・ガーデンにも、自宅の庭にも、複数のマルバノキがある。自宅のほうは銅葉がかって虹色に光る美しいマルバノキである。突然変異かもしれない。以前、伊那の「かんてんぱぱガーデン」に行ったが、美しいマルバノキが複数あり、大事にしているようであった。軽井沢で春に営業する佐久の造園会社の人が言うには、マルバノキは中軽井沢の沢にたくさん自生しているとのこと。気候風土的にも当地にあっているためか生育は容易である。
山野草、山菜、園芸種の草花:
追って記載。
野鳥:
小鳥たちは元気いっぱいである。家の格子戸をたてたデッキにフィーダーを置いているが、これがカラになるとヤマガラがコンコンと鳴らして合図を送るようになった。合図が目的というより、フィーダーの残り少ないヒマワリの種を取り出すためにコンコンとフィーダーの縁を叩いて、その振動で種が飛び出てくる、という物理的な仕組みを利用しているのである。一挙両得、賢いヤマガラである。しかし、スタッフMがフィーダーに種を補充する頃には、肝心の合図したヤマガラはさっさと他所へ移動してしまって、たいていはシジュウカラがどこからか飛んできて、ちゃっかり食べてしまうといういつものパターンである。ところで、シジュウカラはヤマガラのストーカーのように、いつもさりげなく後を追っているのを目にする。ヤマガラは貯食行為で餌を樹皮や土などに隠すが、それをシジュウカラが後から取り出して食べるのである。上手な人の後を追い、その利益にあやかる姿は「当たり屋につけ」という言葉を思い出す。
虫:
最高気温が9.8℃まで上がった日には、とても小さな蛾のような虫が飛んでいた。虫は一度寒さで絶えても、暖かくなるとどこからともなく復活する。
その他:
たまには薪ストーブについて詳しく書いてみたい。冬の間、ずっと柔らかい暖かさ(時に暑いぐらい)で家全体を温め続ける。あまりに使い心地が良いため、その存在を普段は気にも留めず、まさに空気のような存在になっている薪ストーブ。しかし、もしこの薪ストーブがなければ軽井沢の冬をこれほど快適に過すことは出来なかったであろう。自宅はアメリカのHearthstone(ハースストーン)社のPhoenix(フェニックス)。天板と両サイドがソープストーンという蓄熱性の高い石でできており、その他は鋳鉄製である。ソフィアート・ガーデンの小屋の薪ストーブはノルウェーのJotul(ヨツール)社のF500である。こちらは全面が鋳鉄製である。両者の個性の違いは大きい。薪を燃やすという点では同じだが、ストーブの扱い、燃焼の特徴(炎の雰囲気)などがかなり異なる。自宅でほとんど24時間運転のフェニックスは、気軽さと安定性能が特徴である。適当に(とはいっても、空気の通り道を作りながら細い薪から積んで太い薪を載せる、焚き付けには細い雑木を用いるなど細かな工夫はあるが)薪を突っ込んで着火すればあとは放置で構わない。10年以上日常で使ううちに、空気調整もほとんどしなくなった。外出時には空気を絞る(火力を弱める)が、普段は空気は絞らず、そのまま薪ストーブに任せて日常生活や仕事に専念している間に、薪ストーブが勝手に燃焼の最適化をはかり、気がついたら薪は真っ白い灰になっている。薪がはじける音や、高音の時にコンコンと微かな燃焼音がたまに聞こえる程度で、一日中、静かに穏やかに燃焼し続ける。何時間かに一度、薪を足す程度で、その存在を忘れていることが多い。(参考:ソフィアート・ガーデン物語 第103話「火の力」、第89話「お茶の時間 9」)
1月2月の厳冬期は連続運転することが多いが、たまに暖かい日などは焼き芋を焼くチャンスである。朝、薪を焚いて、ある程度家が暖まったところで、熾火に新たな薪を足さずにそのままにしておく。ストーブの前面に磁石で据えた温度計が120℃程度まで下がったら「石焼き芋焼器」に芋を入れて、1時間ほど放置する。この「石焼き芋焼器」というのは、蓋付きのパン焼き型に清潔な石を敷き詰めた自家製の道具である。その後、やけど防止の革手袋を着用の上、薪ストーブ庫内から「石焼き芋焼器」を取り出し、蓋をしたままストーブの上に載せて素手で触れる温度になるまで放置。これだけで、石焼き芋屋さんに(たぶん)勝るとも劣らない、甘くとろけるようなおいしい焼き芋ができる。何の工夫もないが、注意点としては、火が完全に熾火になっていること(炎を上げていると焦げやすくタール臭や木酢風の酸味がついて味が落ちる)、芋はなるべく丸々と太ったのものにすること(私は茨城の紅あずまという当地で手に入りやすい芋2Lサイズを使用)ぐらいであろうか。
また、薪ストーブは熱がまろやかでエアコンのような極端な空気乾燥はないが、加湿器と併用すると体感温度もあがって気持ちが良い。1階の居住スペースから2階のオフィス部分まで吹き抜けになる大きな空間に薪ストーブを設置し、納戸(収納スペース)を除くほとんど全ての居室を戸でしきらないため家中ほぼ同じ温度になる(18℃〜20℃前後)。日中は明るい日差しが高窓から差し込み、太陽熱で暖かいため、室温自体は夜間より低めのほうが活動しやすい。例外的にドアで仕切られた玄関室は暖房がないため10℃以下である。そのため野菜や果物のちょっとした保管庫代りにもなる。記録として、30日の午後3時過ぎの室温を各部屋ごとに写真で記録しておく。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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