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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2014年7月14日(月曜日)一部、東京
概況:
7月としては大きな台風8号の接近上陸で日本各地で大雨の被害が出る。11日の仕事先の東京では台風一過の青空が広がり最高気温が34℃を超える猛暑となった。軽井沢では特に台風の被害はない。夏のハイシーズンに向け徐々に気温が上がり、祇園祭の前夜17日は満月の夜空にたくさんの花火の花が咲いた。各種のアジサイも満開。マタタビの花が咲き、ハギも咲き始める。自宅庭ではシジュウカラが遅めの営巣、ソフィアート・ガーデンではメジロが営巣中。
樹木:
各種のアジサイ満開。ソフィアート・ガーデンに自生するマタタビの花が咲いている。花が咲く前には、葉が花のように白くなる。夏に田舎の山道を車で走ると、雑木の森に茂る、つる性植物の葉が白くなっているのが見える。これがマタタビである。旅人がこの実を食べて元気になり「また旅ができる」から「また旅」だそうだ。マタタビの実はマタタビ酒になるが、作ったことはない。虫が巣くっていびつになった実(「虫えい」とよばれる)を用いると効能が高いらしい。いつも、やってみようと思い「虫えい」を集めるが、気持ち悪さが先に立って結局は捨ててしまう。いつかはチャレンジしてみたいものだが・・・。 伸び放題の桑の枝を剪定して、ついでに桑茶にするために葉を収穫し、洗って自然乾燥させた。自家製の桑茶はなかなかおいしい。
ハルニレの葉は、ちらほらと黄葉して落葉し始める葉も出てきた。ミツバウツギの実がハート型イヤリングのようにぶら下がっている。
山野草、山菜、園芸種の草花:
日当たりの良いところ(畑のあぜなど)では、夏の園芸種の花やヒマワリが咲いている。ハギの紫色の花が咲き始めた。ハギの花は、植物の盛衰がピークを迎え、これから秋に向かう微かな兆しを感じさせる。今頃の季節を境に、1000メートルの高原の植物は平地の植物を追い越して、早足で秋に向かっていくように感じる。これからは平地より一足先に草や樹が実を結び、葉がすこしずつ役割を終えて落ち始め、それに伴って緑陰に閉ざされた空が少しずつ明るくなり、ススキが穂を伸ばす。照りつける日差しの夏はこれから本番だが、陰陽の逆転はすでに始まっている。
野鳥:
ウグイス、キビタキ、ホオジロ、ホトトギスの声がよく聞こえる。自宅の周辺ではモズが営巣中なのか、「キチキチキチ」と警戒する声がよく聞こえる。特に、のら猫などが歩いているとキチキチ声がひときわ大きく響く。以前、自宅庭で夜中にモズのキチキチ声がするので窓の外に目をやると、感知式のガーデンライトに照らされたキツネの姿が見えて驚いたことがある。まるで24時間体制の警備担当のようなモズである。
東側壁につけた巣箱ではシジュウカラが営巣中で、雌が巣箱の中で待って雄が大きな虫を持って出入りしている。卵を温めているのだろうか。 ソフィアート・ガーデンでは、デッキの前に大きなハクウンボクがあるが、その枝でメジロが営巣中である。こうして文章を書いている間も、目の前でじっと抱卵するメジロが見える。たまにつがいの雄が、電光石火のごとく静かに素早く現れて虫を雌に渡す。抱卵中の雌も、虫を運ぶ雄も、声を出さずに無駄な動きもないので、ここに巣があることを気づかれる心配はほとんどない。しかも、たまにスタッフMまで、こうして巣の警備員になっている。
虫:
蝶や蛾がよく飛び回っている。信号待ちで車窓から外を眺めていたら、民家の庭先でセキレイが白い蝶をパクッと食べているのを目撃。
久しぶりに(秋以来)自宅でカマドウマを発見。自家製虫キャッチャーで捕獲して外に出した。ちなみに小さな蜘蛛は、室内の虫を食べてくれるので見ても捕まえず放置している。
その他: 近隣の家庭菜園では花豆の鮮やかな花が咲いている。町役場の窓辺に、いわゆる「緑のカーテン」をつる性の植物で作っていたが、軽井沢町ではこの花豆が用いられていたのが興味深い。確かに朝顔は平地より生育が遅いしゴーヤやヘチマなどのような植物では、他地域と違って軽井沢の夏は涼しいので栽培が難しそうだ。その点花豆なら大きく育つ上、花もきれいでおいしい豆がとれる、というわけであろうか。
町内の畑ではトウモロコシや高原キャベツが大きく育っている。
毎日、少しずつ室温が高くなる。自宅の室温は6月末で20℃、7月第一週は22℃、今週は23℃〜24℃である。湿度は65%程度である。晴れの日は日中、窓を開けて風を通し、雨や霧の日は窓を閉めて除湿器をかけることで、だいたいこの湿度を保っている。もちろん、エアコンや冷房は設置していない。森の中のソフィアート・ガーデンの小屋は自宅より室温が低く、除湿器を設置していないため湿度は高めで70%台である。
しかし軽井沢とはいえ、木陰のない幹線道路などの舗装道路沿いは、直射日光でアスファルトが熱を帯びてかなり暑い。一方で樹木が多く、アスファルト未舗装の土の道が残る別荘地などでは、舗装道路沿いより数度ほど気温が低く、樹の葉の蒸散作用で風もそよぎ過ごしやすい。具体的な例としては、台風後の晴天の12日16時台、18号沿いで車の温度計は30.5℃であったが、そこから1kmも離れていないソフィアート・ガーデンに到着すると車の温度計は26℃になった。数分間に、いっきに4.5℃下がったことになる(下の写真)。以前は、同じような時期に、「国道18号で31度だった気温が、ガーデンにつながる小道を抜けていくうちに、5分もたたないうちに8度も下がり、23度になってしまった」ということもあった。 「軽井沢は暑い」「避暑地とは言えない」という感想も耳にするが、実際、場所によっては全くその通りである。草木や土の有無で、これほどにも気温が違ってくるのを数値で見ると、単に体感的なものではないことが改めてわかった。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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