|
|
|
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2014年7月23日(水曜日)一部、東京
概況:
関東甲信地方は梅雨明け。東京では30℃を超える蒸し暑さ。軽井沢は濃霧でひんやりする日もあるが、気温が上がった日は激しい夕立が降ることもある。アジサイの花は終盤、ハギが次々と咲きキキョウやタマアジサイの蕾が開き始めた。町内の畑にトウモロコシやレタス、ブロッコリーやキャベツが実り、あぜにヒマワリが咲く。自宅庭の巣箱からシジュウカラ雛たちの元気な声が響く。ソフィアート・ガーデンで営巣中のメジロはまだ雛がかえっていない様子。
樹木:
アジサイは終盤。ヤマアジサイはパートナーが45種ほどを収集・栽培しており、めずらしい種類もある。挿し木で増えた株もあれば、消えてしまった種類もあり、正確な数を把握していないが、目立つものとしては赤ガク、紅ガク、七段花、紅(クレナイ)、伊予の薄墨、伊予絞り、富士の滝、虹、済州島、九重山などである。特に富士の滝は毎年、道路沿いの垣根を文字通り滝のようにしだれて白い花をたくさんつけるので美しい。アナベルは軽井沢の気候に会っているのか、民家でも別荘地でもよく見かけるアジサイである。頑強で挿し木でもすぐに大きくなり、白い大きなボールのような花をたくさんつける。花の咲き始めと咲き終わりは緑色を帯びて、これもなかなか良い。これからミナヅキという自生種が町内や峠の道路沿いに白い花をつける。アナベルと違い、ミナヅキは大木になる。タマアジサイが丸い玉のような蕾からほころび始めた。夏から秋に向かう兆しを感じる花である。
山野草、山菜、園芸種の草花:
ハギが次々と咲く。キキョウも咲き始めた。町内では夏の花ユウスゲの柔らかいレモンイエローの花やノカンゾウのオレンジの花、タチアオイが咲いている。畑のあぜ道ではヒマワリが元気に咲いている。ソフィアート・ガーデンでは黄色いキツネノボタン、オカトラノオ、リュウノヒゲの花が咲いている。 東京都心の皇居周辺ではエンジュ並木に白い花が咲いていた。サルスベリの赤やピンクの花も咲いていた。また丸の内界隈では、イネ科の植物やスゲなどの、いわゆる「雑草」が、高級ブティックのショーウィンドウ前やオフィス街の植栽として寄せ植えされ、そよ風に茎葉が揺れて涼しげで洗練された趣きを漂わせている。田舎では同じ植物が無造作に草刈りされるのとは対照的な光景である。 夜11時頃、新丸ビルの中で巨大な鉢植えのネムノキ(の一種)が葉を閉じて「寝て」いるのを見つけた。その空間は、照明を少々落としてはいるがビル全体は明るい。ネムノキが時間を知るのは、光(照明や自然光)の有無より体内時計のような機構によるものなのか、と疑問に思った。
野鳥:
自宅の家の外壁に取り付けた巣箱は、キッチンの窓から良く見えるため、シジュウカラ親が雛への給餌のために出入りする様子がよく見える。親が巣箱に入るたびに雛のお腹すいたコールが賑やかである。雛の排泄は白いカプセル状になっていて、それを嘴にくわえて親は巣箱を飛び去り、また雛へ虫を運ぶ。何度も何度も、黙々と必死で親鳥は繰り返す。親鳥はほっそりとやせて羽毛もぼさぼさで、冬のようなふっくらツヤツヤとした美しさはないが、その目つきは強く鋭い。雛育てに心底から夢中になっているのがわかる。
ソフィアート・ガーデンに営巣中のメジロは、小さなお椀型の巣の上に蓋のように弓ぞりになって、じっと銅像のように動かない。すると、音もなくつがいがやってきて、瞬間で入れ替わる。バトンタッチされたメジロも同じように巣の蓋のようになって動かない。こうして夫婦が交代で卵を温めているようだ。激しい雷雨でも、身じろぎもせずに身をもって傘の代わりになり卵を守っている。そしてメジロが巣をかけているハクウンボクはひときわ大きな葉が特徴であり、大雨からメジロを守るかのように葉が傘になっていた。メジロもよく考えて営巣している。
虫:
巨大カマドウマが室内を歩いていたので、捕まえて外に出した。外は言うに及ばず虫天国である。 東京千代田区のホテル敷地内にある立派な庭園では、池で錦鯉が泳ぐ横でカラスが行水し、数多くのアメンボがスイスイと歩き、オオシオカラトンボなどの夏のトンボが飛び交っていた。アメンボは水の表面張力を利用して水面を歩いて生きるため、(水の表面張力を失わせる)界面活性剤の混じった水では生きることが出来ない。従ってアメンボがスイスイと水面を滑る姿は、その水がきれいであることの証である。木や草、そしてきれいな水場があれば、このような東京の中心地においても、多くの生きものが集い、命を育む場になる。
その他:
今年はアンズを諦めようかと思ったが、上田市の日帰り温泉に行った際に信州大実を買ってみた。パートナーが得意のアンズのシロップ漬けを作った。これは何ヶ月かするととてもおいしくなる。アンズやイチゴ、プルーンやブルーベリーなどの果物をコンフィチュール(ジャム)やシロップ漬けなど砂糖で加工する役割は、いつもパートナーが担当する。パートナーは普段、料理はしないが、こうした果物加工は別である。良い生産農家から厳選した素材を手に入れて、おいしいものを丁寧につくる。私はあまり甘い物を好まないが、パートナーのつくったジャムやシロップ漬けは他の販売されているものやレストラン等で提供されるものより抜群においしいと思う(身びいきもあるが)。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
|
|
| |