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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2014年5月31日(土曜日)
概況:
軽井沢は初夏から夏へ衣替えをはじめ、木々は淡い春紅葉から濃い夏の葉色に変わりつつある。ヤマツツジは終盤、レンゲツツジが華やか。クリンソウが咲きだし大地も夏の装い。25、26,27日には最低気温が11℃台、最高気温は25℃前後で日差しも強く、木陰のない所は暑い。森の響きはカッコー、ホトトギス、キビタキなどの夏鳥が主役になり、針葉樹の多い場所ではヒガラのさえずりが賑やか。カラ類は静かに営巣中で、葉が茂る森林では姿が見えにくくなる。
樹木:
自宅の庭ではクレマチスモンタナが次々と咲いて甘い芳香が漂う。白モッコウバラのたくさんの蕾も開花間近。バラとクレマチスの華やかな競演は、年に1度限りの晴れ舞台である。今年は花数も多く木の健康状態も上々で期待できそうである。バラもクレマチスも地植えにしたあとは施肥すらしたことがなく、たまに枯れ枝や邪魔な枝を剪定する程度で放任している。虫がついても、庭師が葉を剪定、摘蕾してくれていると解釈して放置(あとは鳥やスズメバチが虫をせっせと食べてくれる)、バラの株が厳冬期に氷漬けになっても放置。それでも年々大きくなり、元気に花数を増やしている。しかし地植え8年目以降は、寿命を迎えたバラの木もいくつかある。自生の野バラならともかく、栽培種にとって軽井沢は厳しい自然環境なのだろう。もちろんスタッフMのような適当テーゲー栽培ではなく、見事なバラを育てている人やバラ専門の観光施設やガーデンも軽井沢にはある。自宅は森の中ではなく日当たりの良い住宅地にあるためバラ栽培も可能だが、森の中のソフィアート・ガーデンではバラ栽培は困難で、自宅庭からガーデンに移植したために枯れてしまったバラもいくつかある。
今や数メートル以上にまで育ち、二階の窓辺に誘引している大型のクライミングローズ(トレジャートローブ)も蕾の数がとても多い。トレジャートローブはあまりにも元気な樹勢(怪獣のよう!)で巨大化し、もたれかかっているノウムラモミジが重みに耐えかねて傾かなければ良いが・・・、と少々心配である。幸い、バラの木につきものの鋭いとげがほとんどなく、何もしなくても虫が付きにくく、芳香で雰囲気のある美しい花が次から次へと咲くため、花の時期は嬉しいものである。
ヤマツツジ、キリシマツツジ、ホンギリシマツツジが終盤。今年は町中どこでも、ツツジ類の花付きが多かった。今、派手なレンゲツツジが見頃を迎えている。ヤクシマシャクナゲもピンク色を帯びた白い花が見頃である。今年はアズマシャクナゲといいヤクシマシャクナゲといい、花つきが良い。雪が例年より多く(1メートル超える積雪)、冬の大地が乾燥しなかったのが良かったのだろうか。ミツバウツギの白い花も満開である。軽井沢に多く自生するハルニレが、ウバユリの種の小型版のような種を至る所に飛び散らせ、地面や屋根、デッキや木々の葉はウバユリの種が積もっている。旧軽井沢の別荘地を散歩していても、同様にハルニレの種が例年より目立って道路や庭に散らばっている。いずれはケヤキを超えるほど巨木になるうえ、あちこちからどんどん無数に生えてくるので、庭では小さい芽吹きのうちに抜くか切るかしてコントロールしている。 全ての木の葉が出そろい、淡い春紅葉から濃い夏の葉色に変わりつつある。ソフィアート・ガーデンはすでに盛夏のように葉が茂り、昼でも小屋の電灯をつけないと屋内が暗い。
山野草、山菜、園芸種の草花:
山野草は初夏の種類にバトンタッチ。白いアマナの花や、鮮やかな濃い赤ピンクのクリンソウが咲き始めた。園芸種のシラーカンパニュラやアジュカが咲く。
ソフィアート・ガーデンや自宅庭に自生する山ウドは、5月中旬から末にかけて柔らかい葉は天ぷらに、太くて薫り高いみずみずしい茎は酢味噌和えにして味わった。今は食べ頃を過ぎて固くなった。あとはウドの大木としての生長を眺めることにする。山ブキがぐんぐん巨大化してきた。無数にあるミツバも巨大化して、まるで野沢菜のような大きさになったので、茎が固くならないうちに根元から切り取り、軽く湯がいてポン酢でおひたしにした。葉だけでなく太い茎も透き通るようなきれいな緑色で、柔らかくて香りが良くおいしい。軽く湯がいたミツバは小分けにして冷凍保存しておくと、青物が乏しいときに役に立つ。ガーデンで育てている原木椎茸もどんどん大きくなる。毎日、天ぷらや煮物、お吸い物に使うと、清潔な木の香りがしてとてもおいしい。 ソフィアート・ガーデンで育つ山菜は、なぜか非常に大きくてみずみずしいため、来訪者が「こんなの初めて見た!別の品種ではないか。」と驚く。大きいだけでなく味も香りも良い。もちろん植物の生育の善し悪しは天と大地の力によるものであり、私(スタッフM)は何もしていない。それどころかスタッフMが野菜の栽培をすると、ことごとく失敗する。ソフィアート・ガーデンは木漏れ陽程度の日差ししかない上、私には野菜づくりの才能がない。野菜に必要な強い日差しも草刈りも好きではないし、野菜を食べている虫を殺すのに抵抗があるからであろうか・・・。スタッフMは下手な野菜づくりより、天と大地から贈られる恵みを素直に受け取るほうが性に合うのかもしれない。
野鳥:
ソフィアート・ガーデンではホトトギスが、自宅付近ではカッコーが、さえずりのメインテーマを奏でる。他にイカル、ウグイス、キビタキ、ヒガラの合唱団がそれぞれの歌を高らかに歌う。特にキビタキの声がみずみずしい艶を増して森の深く遠くに残響を残し、美しいことこの上ない。緑が深くなり、小鳥たちの声は聞こえても姿は観察できなくなってきた。この季節の小鳥観察は、もっぱら耳が頼りである。カラ類は静かで、姿もほとんど見えない。ガーデンの小屋の北西側にかけた巣箱には、ヒガラが入って営巣中である。
出張などで不在の後、久しぶりにソフィアート・ガーデンでお客さんを迎えてお茶をしていると、小さなコガラが窓際の庭テーブルに止まって、大きな窓越しに外から私どもの様子を小首をかしげてのぞきこんだ。たいていお客さんが来ると、ガーデンや自宅庭の常連の小鳥たちは窓辺に飛んできて、「お客さんは誰なの?みんなで何をしているの?」という表情で中をのぞきに来るのがおもしろい。
ガーデンに向かう小道沿いに農業用水路のきれいな小川があり、夏になるとセグロセキレイやキセキレイが遊びに来る。この小道は私どもの車が行き来する他は人通りもほとんどなく、普段は水鳥たちの遊び場になっている。セキレイは私どもの車を、ゆっくりと歩くおとなしい動物(水牛かカバ?)としか見なしていないため、こちらが前に行きたくても道の真ん中でしっぽを上下に振ってちょこまか歩き、いつまでも退こうとしない。仕方がないので車のドアを開けて、手を叩いてセキレイに道をあけてもらう。ちょっと困ったものである。
虫:
黒アリがソフィアート・ガーデンの小屋の中で行列を作っていたので、アリの道にチョークを貼り付け、進入路と思われる外部からの壁際をチョークで囲った。(参考: ソフィアート・ガーデン物語 第95話「虫の物語」) ガーデンはヤブ蚊が出だした。網戸のありがたさを感じる。ハルセミが鳴きだした。
その他:
近隣の小諸や佐久では水田に水が張られ植えられたばかりの稲の苗が整然と並ぶ。田んぼからは「ゲッゲッゲッゲッゲッ・・・」と蛙の大合唱が聞こえる。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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