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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2014年5月7日(水曜日)
概況:
軽井沢は立夏を過ぎ新緑や花が美しく輝く。アズマシャクナゲやミツバツツジは満開、オオヤマザクラは満開を過ぎコブシは花を落とした。サクラソウやエンレイソウが咲き始める。最低気温が氷点下の日もある一方で、最高気温が25℃を超える日もあった。朝夕は肌寒く夜には薪ストーブを焚く。霜注意報も毎日出る。これから6月に入るまでは穏やかな晴天で暖かく、新緑と花で一年中で最も美しい季節に入る。渋滞もなく、町中どこに行くにも快適である。
樹木:
ミツバツツジが満開。別荘地を散策すると、上品な紫がかったピンクのミツバツツジがあちらこちらで美しく咲く。ソフィアート・ガーデンのミツバツツジは複数あるが、一つの木は花数も多く、一方で常緑低木に囲まれた場所に植えたミツバツツジは花がほとんどない。占有空間が広い場所を好むようなので場所を移植してあげなければいけない。
アズマシャクナゲも満開である。今年は自宅庭のアズマシャクナゲの花付きがよく、ほとんどの枝から咲いている。以前80近くの大輪花が咲いた後に、大きな枝ごと枯れてしまい、株がだいぶ小さくなってしまった。鑑賞するには花付きが多いほうが良いが、その後、樹勢が弱ることが多いので秋に摘蕾で花数を制限する人もいる。私は摘蕾せずに放任しているため、花の多い年と少ない年がある。花の多い年のあとは自家製のバーク(落葉だけで作った肥料)を与えるなどの手入れが必要であろう。 庭のクロモジが満開。クロモジは剪定すると枝の香りが良く(高級つまようじ”黒文字”に用いられるのももっともである)、木の姿も清楚で清潔感があり、黄色い花と新緑の色合いがさわやかで、木漏れ日の差す雑木林のような庭で良く育つ。スタッフMが最も好きな木の一つである。サンシュユは長く満開を保っている。アブラチャンは花が終わり、新緑が萌え出ている。アンズ、ウメ、オオヤマサクラはほぼ満開を過ぎ、モモの花が満開で美しい。現在の軽井沢町は黄色、ピンク、淡い白などの木の花が至る所で咲き、町中が華やかで明るいパステルカラーに染まっている。八重桜などの里桜は、これからである。ゴールデンウィークを過ぎる頃から、軽井沢町内は急速に新緑が芽吹いて緑のベールに包まれる。
山野草、山菜、園芸種の草花:
カタクリは終わり。各種のスミレが咲く。サクラソウ、エンレイソウも咲き始める。雲場池付近のエゾエンゴサクが咲く。ルイヨウボタンの蕾がたちあがり、ユキザサの蕾も大きくなってきた。クリンソウの小さな新株が芽吹き、ムラサキケマンが咲く。カキドオシの紫色の花が咲いている。もう少し育ったらカキドオシ茶の材料として採取する予定。タラノメを一部採取して天ぷらにして食す。ギョウジャニンニクも次々と採取して食す。シバザクラが町内の民家の庭先で満開。
野鳥:
ソフィアート・ガーデンではイカルが美声を披露するようになった。明るい日差しの中、あの、のびのびとしたイカルの声を聞くと、初夏を実感する。オオルリも鳴き始めた。オオルリは泉の里別荘地から雲場池までの散歩コースでもよく聞こえる。泉の里では、非常に小さな鳥(キクイタダキか?はっきり見ることができなかった)に遭遇。雲場池ではキンクロハジロのつがい?が三組ほどいた。いつもたくさんいるカモたちは見られなかった。どこにいったのだろう。逆にソフィアート・ガーデン付近の農業用水路には、いつもカモの群れがいる。カモたちは定住場所を変えたのだろうか。
ガーデン付近の林ではガビチョウが一人歌合戦で夕方6時過ぎまで騒ぐ。なんとガビチョウの物まねレパートリーに、キビタキ、コガラ、ヤマガラ、ウグイスにくわえて、新たにツクツクボウシが加わった。季節感がめちゃくちゃである。そのうち、犬の鳴き声やサイレンの音まで物まねレパートリーにしかねない。
自宅庭には、毎日訪れるコガラのつがいがいて、朝からかわいい甘え声で「ピペ、ピペ」と鳴いている。巣箱の近くの木の枝に、綿のような犬の毛がひっかかっていた。小鳥の営巣が始まったのだろうか。ソフィアート・ガーデンでは、小屋のデッキ下にヒガラが何度も潜っている。デッキ下には不要の植木鉢や肥料袋を保管してあるので、ひょっとして巣箱代わりに用いているのかもしれない。私どもがガーデンに到着すると、周りの林からコガラ、ゴジュウカラ、シジュウカラ、ヤマガラが集まってきて皆で出迎えて、期待のこもった熱い視線を送る。そのプレッシャーに負けてついフィーダーを用意してしまうが、もうそろそろ小鳥たちも営巣時期なので、フィーダーの設置は終わりにしないといけない。その理由は、餌付けによって彼らの野生を奪ってしまう、という意味ではない。彼らは頭の良い野鳥であり、私どもの提供するフィーダーには全く頼っていない。私どもが小鳥たちに与えるのは、餌付けと言うよりほんの気持ち程度のプレゼントである。彼らは私どもの庭に遊びに来て、ついでに私どもが1時間ほど設置するフィーダーから少々プレゼントをもらう程度であり、自然から獲得する糧の方が圧倒的に多い。そのことよりも、フィーダーを終わりにすべき第一の理由は、フィーダーに近い巣箱で営巣しようとするつがいにとって縄張りをおかされた状態をつくってしまうということにある。私どもが来てフィーダーを設置すると、小鳥達がこぞって遊びに来て、まるでソフィアート・ガーデンが繁華街のようにお祭り騒ぎになってしまうためである。
虫:
ソフィアート・ガーデンの地面では黒蟻の行列があちこちで見られる。
その他:
毎日小鳥たちのさえずりで目覚め、カーテンを開けると、外の世界に思わす「美しい・・・」とため息が漏れる。それほどに軽井沢の新緑や満開の花、青い空と明るい雑木林の木漏れ日は幸せに満ちている。「極楽浄土」と呼びたくなる絵画的な光景である。庭に出て鳥の声を聞き、緑や花を眺めているだけで、他に何も要らないという気持ちになる。この冬の難儀もすべて忘れてしまう。
ゴールデンウイーク後半、5月4日、5日はさすがに国道18号や大型スーパーに続く道で車の大渋滞ができたものの、6日には潮が引いたように静かになった。大型連休を取りにくい日並びの休日だったようで、海外旅行も近場が多かった模様。軽井沢は例年通り、連休の前半はほとんど混まずに後半早めに混み、最終日にはほとんど人が居なくなるという状況である。軽井沢で過ごしたい人はこの習性を利用して、最終日の遅い時間(もしくは連休明けの翌日など)に移動すれば、混むことなく移動できると思う。私が知人にお勧めするのは、ゴールデンウイークよりむしろ5月中旬から6月の梅雨入り前の2週間ほどである。その時期は軽井沢の黄金週間と呼んで差し支えない時期だろう。ただしその時期には軽井沢リゾートマラソンが開催されるため、そのための混雑や交通規制があるので要注意である。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 文章と写真:スタッフM(竺原みき)
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