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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録−    >>前の記録へ >>次の記録へ

■2014年2月15日(土曜日)軽井沢非常事態!

概況:
軽井沢は1925年からの観測史上第一位の大雪に見舞われた。気象庁のサイト(追分測候所)では99cmであるが、120cm超という報告もある。自宅周辺でも昼間の積雪は105cmを超えた。除雪が追いつかず幹線道路を含む全ての道路は封鎖。新幹線も高速道路も止まり軽井沢は陸の孤島。自宅の庭は小鳥たちの大量避難所と化し、一つのフィーダーでは危険なのでさらに追加。鳥だけでなく人間も今は余裕がない状況。当面の交通麻痺状態とそれに伴う物資の不足が懸念される。

樹木:
ソフィアート・ガーデン100種500本の木を紹介していく。今回はマユミ(檀、真弓、檀弓)について。 マユミはニシキギ科ニシキギ属 。材が強く、よくしなるため弓の材として用いられる。マユミという名の由来である。また材が白く美しいため、こけしの材料としても用いられる。軽井沢に自生し、山でよく見かける。庭木としては、同じニシキギ科ニシキギ属のニシキギ(錦木)の方が人気がある。また、コマユミもある。こちらは小ぶりな葉で、コマユミの古木がかつてソフィアート・ガーデンにあった。あざやかな紅葉と赤い実が美しい木で、私どもは大切にしていた。何年も前のことになるが、正月前後に留守にしている間に、何者かによってそのコマユミが複数本、根元からのこぎりで伐採され、持ち去られていた。びっしりと赤い実がつき、白い雪景色に映えて美しく目立ったので、きっと正月飾りにでも使ったのであろうか。冬の間、小鳥たちにとって赤い実は貴重な食料であったのに、本当に世の中には、ひどいことをする輩がいる(もちろん盗難届を出して調べてもらった)。私どもはその後、盗伐されたコマユミの10倍以上の本数のニシキギを植えて、小鳥たちにプレゼントした。それらの木は今や大きく育ち、鮮やかに紅葉して赤い実を実らせソフィアート・ガーデンの四季を彩っている。
自宅のマユミはとても古くて大きい。庭の真ん中で堂々と枝を大きく広げ、ヤマボウシの古木とともに我が家の庭の景観を形作るシンボルツリーになっている。 このマユミは、軽井沢植物園を含む、軽井沢各所で見かけるどのマユミより大きくて良い形であると思う(調べたわけではないが、軽井沢のマユミの中では最も大きいのではないか)。実がピンク色で葉もピンクや黄色に紅葉する美しい木であり、なにより小鳥たちがマユミの実を好むので、小鳥の庭というコンセプトを目指している我が庭のシンボルツリーには、とてもふさわしい木と自負している。
自宅の土地は、もともとは古くから代々住んでいる人が自宅用の裏の畑として用いた土地であり、ヤマボウシ1本、マユミ2本、ウラジロモミ2本、という5本の木が、広い畑の真ん中と隣地境界に植わっている土地であった。私どもはこの5本の木がとても気に入り、この木を切らずに家を建てられるように設計を依頼した。結果的に、大きなマユミとヤマボウシは南や西の大きな落葉樹として家を守り、春は新緑のみずみずしい光に輝き、夏は直射日光を遮る緑のカーテンとなり、秋は鮮やかな紅葉に彩られ、冬は葉を落として暖かい日差しを家に招き入れるという四季の喜びをもたらし、おいしい実をつけ小鳥を呼ぶ木となっている。
マユミの新芽は柔らかく、さっと湯がいておひたしにするだけでクセもなくおいしい。実(み)は毒があり、小鳥は食べるが人は食べられないので注意が必要である。以前、マユミの新芽がおいしいと話すと、実をぱくっと目の前で食べてしまったお客様がいて、その後の健康を心配してスタッフMは密かに眠れぬ夜を過ごした?が、健康でご無事であったのはなによりである。自然界の木の実を食べるクセのある人は、マユミはやめておいた方が良い。(ついでに軽井沢に自生しているヒョウタンボクの赤い木の実も猛毒であるのを知っておいて頂きたい)
参考: 『ソフィアート・ガーデン物語』 第34話 「生命の木」
食用にする際の参考サイト:独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性」マユミ(データなし )

山野草、山菜、園芸種の草花:
ソフィアート・ガーデンの山野草や山菜を紹介していく。今回はウド(独活)について。
ウドはウコギ科タラノキ属。山菜として人々から愛される春の味覚である。軽井沢には、あちらこちらに自生している。自宅庭にもソフィアート・ガーデンにも、自生している山ウドがある。増やしたいので味わうのは半分ほどにして、半分は種をつけるようにウドの大木状態に放置しているが、なかなか増えない。鳥を媒介するなどしなければ、発芽しないのだろう。自生しているとはいえ貴重品である。とはいえ山ウドは年々大株になり、太くみずみずしくなる。販売されている栽培ウドより、やはり軽井沢の自生の山ウドは、緑が濃いが柔らかく、香りがすばらしい。タラノメよりも風味豊かで、大きいため食べ応えもある。極上の山の幸の代表である。 スタッフMも毎春会えるのをとても楽しみにしている。

野鳥:
観測史上一位の大雪で、さぞかし野鳥たちも困っていることだろう。私どものデッキにはフィーダーがあるが、周囲から集まった鳥たちが20羽近く飛び交い避難所状態で、窓ガラスにぶつかると危険なため、フィーダーを庭にもう一つ追加した。ソフィアート・ガーデンのほうは、このような状態では見に行くことが出来ないので心配だが、ガーデンおよびその周辺は自然が豊かで、小鳥たちの糧である木の実もまだ少しは残っているだろうと祈りつつ、穏やかな自然の再来を祈るしかない。

虫:
特に見かけなかった。

その他:
軽井沢において先週の雪は小雪程度であった、と思えるほど、今回は大変な大雪が待ち受けていた。軽井沢観測史上最大の積雪である。そして関東甲信でも、同様に観測史上最大の降雪、積雪で大きな被害を受けている。
先週末は東京に出張しており、14日夜にはN響のコンサート(サー・ネヴィル・マリナー指揮、ドヴォルザーク 交響曲第7番、交響曲第8番)を聴く予定でチケットを購入していたが、大雪の予報を受けてコンサートは諦めて急遽帰りを早めた。雪が強くなってきた関越道、上信越道を通り、18時過ぎに帰宅できた(その後のニュースで、通り抜けた直後に関越道が、のちに上信越道も通行止めになったことを知った。間一髪であった)。帰宅した当時まだ雪は浅く、翌日に備え、スーパーで当面の食材を大量に買い込んでおいた。そして翌朝、雪の状態を確認しようとカーテンを開けて、腰を抜かすほど驚いた。今までに見たことのない雪の山が窓の外に広がっていたのである。
豪雪地帯の人には笑われるかもしれないが、1メートルを超える雪が庭に広がっている光景は生まれて初めて経験した。しかも軽井沢は一日中氷点下の真冬日が続くため、昼間も雪が全く溶けない。雪が降れば降っただけ、そのまま累積するやっかいな土地なのである。
今回の大雪では幹線道路の除雪も追いつかず、新幹線や鉄道、高速道路も止まってしまい、軽井沢は陸の孤島になってしまった。パートナーが徒歩5分ほどのコンビニや、徒歩15分ほどのスーパーまで歩いて見に行ったところ、コンビニだけは開いていたが、スーパーは道路が封鎖されているため営業中止、幹線道路も車一台が辛うじて通れる幅を除雪車で必死に開けているところであった。もちろん歩行者用の道は雪で埋まっているので、幹線道路の真ん中を、除雪の邪魔にならないように注意して歩くしかない。幹線道路に立ち往生する車が何台かいて、そのためにただでさえ困難な除雪作業がますます滞っているようだ。「今までにない大雪のため、只今、除雪対応を行っておりますが、全町の道路上で立ち往生している車が多く、除雪に支障をきたしております。車での外出を控えるようお願いします。 なお、新幹線およびしなの鉄道は全線で運休しております。また、国道18号線、軽井沢バイパスは不通となっております。」と町内放送が流れる。
別荘地など細い道の奥に住んでいる人は大丈夫なのだろうか、と人ごとながら心配になる。車を前提とした不便な田舎は、時として自然災害時の対応が後回しにされるため、さまざまな事態に備えて十分な備蓄を欠かさないようにしないと、救助の手がさしのべられるのが後回しになり、凍えたり飢えたりすることになるので、注意が必要である。私どもは歩いて駅や公共機関や買い物に行ける場所に住んでいるため、車が使えなくても不便な程度で生活はできる。また先の大震災や原発事故の教訓から、一週間ほど動けなくても生活できるように保存食や食材、水などの備蓄を心がけている。今回は、おそらく当面(一、二週間ほど)車を使うことが無理であろうと予測される。幸い車での出張はまだ先であり、それまでには動く手段も確保する対策がとれるので、のんびりと構えている。積雪量は明らかに1メートルを超え、これからさらに雪が積もると車庫が少し心配なため、ちょっとだけ雪下ろしのまねごとをしてみた。

軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの−
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4
文章と写真:スタッフM


メモ
2/16の情報は次の通り。
・長野県(軽井沢町)の要請を受け、自衛隊100名が軽井沢町等の浅間サンラインの立往生車両への物資配布、車両周辺の除雪を行った。
・新幹線は午前中に一時開通するも、その後運転停止、2/16夕方再開?、しなの鉄道は、15、16、17と運転停止、2/16夕方時点で国道18号線、軽井沢バイパスは不通。
・帰路の目処の立たない旅行者や立ち往生の車輌が多く、食料配布をするため追分・鳥井原・成沢・塩沢の各公民館で炊き出しを行っている。
気象庁ホームページ2014年2月15日
内閣府防災ホームページ2月14日から16日の大雪等の被害状況等について(第2報平成26年2月16日19時)
・軽井沢町ホームページ http://www.town.karuizawa.nagano.jp 
・軽井沢非公式ボット(twitter) https://twitter.com/karuizawa_twt

2/17の情報は次の通り。
・晴れて気温が上がり(最低気温は氷点下11.5℃、最高気温は2.1℃)、老若男女の住民が協力して除雪が進む。私どもが歩いた町の中心部では自衛隊の姿はなかったが、広報かるいざわや各種報道によれば、大量の立ち往生車両に関連する救助活動(南軽井沢交差点付近や浅間サンライン周辺)を行っているようである。
・朝からヘリコプターなど報道機関が空から偵察している音がする。
・スーパー(マツヤ)は昨日より食料品が激減していた。
・歩いて確認した範囲の国道18号(スーパーマツヤと町役場の間)は車が譲り合えばすれ違い可能なほど車道が除雪される。歩道が除雪されていないところも多く、車道を車と歩行者が譲り合いながら使っている状態。除雪や救助の車、緊急車両を優先的に走らせるために、車での外出は避けるよう、町が呼びかけている。そのため私どもも用事や買い物はすべて徒歩で行っている。昨日までは車両通行止めで、陸の孤島状態であり、難局を皆で協力して切り抜けようとする人々の姿が目立った。しかし新幹線などの交通が徐々に開通し、今日からは除雪が進み自動車が通行可能になるに従って、深い雪と凍結で足元の悪い歩行者を「どけどけ」と蹴散らすようにスピードを出して通る非道な車も見られるようになった。昨日までは18号のマツヤ周辺は歩行者が安全に車道を歩けたが、今後は徒歩での買い物が困難な状態。子供やお年寄りは危ない車と凍結した足元で危険。他県ナンバーのレンタカー(「わ」ナンバー)を何台か見かけた。駅近くまで歩いたが、何台か冬装備のない?車が立ち往生して車道に乗り捨てられ、雪に埋もれて除雪や交通を妨げている光景を目にした。地域住民(女性やお年寄り)が必死で雪かきをして、みんなが通れるように道を空けている。歩行者と雪かきをする人が、互いに雪かきをねぎらったり、足元を配慮したりする姿や、歩行者、とりわけ若い学生の旅行者が細い道をすれ違うときは気遣いや気持ちよく挨拶する姿も見られる。私どもも当面、買い物や用事の時には雪かき道具を持ちながら歩いて、少しでも雪かきをするようにしたい。
YouTubeで軽井沢南軽交差点の立ち往生現場の映像をみつけた。私どもは東京から車で軽井沢に戻り、この場所を2/14の18時頃通り抜けた。もし帰宅時間が少しでも遅かったら、自分もこの中に居たかもしれないと思うと、立ち往生した車の皆さんが心底気の毒でならない。

2/18の情報は次の通り。
・二日続きの晴天だが、真冬日で雪はほとんど溶けない。軽井沢は15時で積雪深78cm、参考までに最大積雪深114cmを記録した甲府では15時で45cm。軽井沢は雪が溶けない土地である。
・幹線道路の除雪が進み、やっと開通したと町内広報からアナウンスがあるも、せっかく開通した道が事故で再び塞がるなど、道路状況は混乱しているが、徐々に日常活動を取り戻しつつある。
・4日ぶりに新聞が配達された。郵便配達はまだの様子。宅配便の車が道を走っている様子が見える。物流も動き出した。
・私どもはテレビを視聴していないため、どのように報じているかは知らない(ラジオは聴いている)が、インターネットでマスコミ情報を見る限りオリンピック報道がメインで、すでに今回の大雪のことは忘れている模様。軽井沢はともかく、関東甲信等でまだ被害が続いており「のど元をすぎれば・・・」にならぬように、今回のことから自治体、政府は危機管理の教訓を得て、反省を踏まえた対応をしているだろうか?自分の身を守るためには他人任せにせず、自然を決して甘く見ず、しっかりと教訓を得て普段の行動に取り入れ、危機管理をするという基本を実感した。
豪雪災害エリアの道路通行実績情報 Google クライシスレスポンス 過去4時間の(ホンダ)車の走行実績 (データ提供 : 本田技研工業株式会社)
軽井沢除雪マップ(facebook):軽井沢在住の方のブログより道路の除雪情報
以上

あり得ない積雪 降雪量は105cmを超えた 雪かき
離山通りは除雪できず未開通(2/15昼) 離山通りは除雪できず未開通(2/15昼)
国道18号で除雪をがんばる方々(2/15昼) 国道18号マツヤあたり(2/15昼)
国道18号マツヤあたり(2/16昼) 国道18号軽井沢高校あたり(2/16昼) 自宅前の道は近所の方が除雪機で歩行道を作ってくれた(2/16昼)
自宅前の道は近所の方が除雪機で歩行道を作ってくれた(2/16昼) 小鳥の避難所状態 スズメとヤマガラ
カワラヒワは嘴で割ってヒマワリを食べる シメ ヤマガラとシジュウカラの争い パンを焼いて一安心
皆さんのがんばりで自宅前の道は開通!(2/17昼) 自宅庭にて雪かき(2/17昼) 新軽井沢交差点付近(国道18号)は除雪が遅れ、片側一車線を車と人が分ち合う(2/17夕)
国道18号マツヤ付近は有志による雪かきで約50cm幅の歩道も開通(2/17夕方) 自宅はやっと車が出せる状態に(2/18昼) 二日連続の晴天だが真冬日のため雪はほとんど溶けない(2/18昼)


 
 
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