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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2013年12月23日(月曜日)
概況:
12月第3週はまとまった積雪と夜間の放射冷却で路面が凍結している場所もある。連休はクリスマス休暇を
別荘で家族や仲間と楽しむ人々や、観光やショッピング、スキーやスノーボードなどウインタースポーツのレジャー客も多そうである。駅前のショッピングモールはクリスマス商戦で活気づき、新軽井沢方面の道路は車で混雑している。久しぶりのソフィアート・ガーデンでは小鳥たちが次々と訪れる。雪の足跡からは、狐なども訪れていたことがわかる。
樹木:
ソフィアート・ガーデン100種500本の木を紹介していく。今回はソヨゴについて。
ソヨゴはモチノキ科モチノキ属。寒冷地にも適応し、軽井沢の貴重な常緑広葉樹として庭などに用いられる。軽井沢で使える常緑広葉樹は少ないが、その中でも適度に葉が透いて品が良く、赤い実も美しい。また森の風情にも違和感なく調和して、涼しげな目隠しになるため、ソフィアート・ガーデンでも自宅でも、ソヨゴをたくさん用いている。
「ソヨゴ」の名の通り、緑の葉は風にソヨソヨと音を立てて揺れ、サクランボのような柄のついた小さな実がたくさんぶら下がり、色のコントラストがとてもかわいらしい。赤い実は野鳥にも人気があり、ヒヨドリなどがホバリングしながら実を食べているのを目にする。
本来ソヨゴは西日本の山地などで自生している。以前、神戸の六甲山を歩いた折、あちらこちらで実生のソヨゴが雑草のように自生しているのが見られた。神戸の六甲山の土は黄土色の乾いた感じで、神戸市のホームページによれば「六甲山地に露出する花崗岩類などの中生代白亜紀以前(約7000万年前)に形成された基盤岩類と、新生代第三紀以降(約3000万年前)に基盤岩類を覆って堆積した被覆層」とある。軽井沢の黒ボクの土質とは全く見た目も性質も異なる。また温暖な西日本の気候と寒冷地である軽井沢の気候とは全く異なる。しかし、ソヨゴは比較的性質が強いのか、あまり土や気候を気にせずに育つ。根が浅く、植えて何年か経って移植のために掘り起こしても、簡単に掘り上げることが出来るし、定着も容易である。しかし根が浅いので、台風などで傾くことも多い。
自宅の庭では、毎年ソヨゴの木を覆い尽くす3メートルの太いつららができるが、そのような氷漬けの環境でもかえって元気に大きくなっている。庭には、大きなツルバラの木に寄りかかるように頼られて、その重みで30度に傾いたソヨゴの木がある。根が浅い木であることを実感するとともに、そのような木のそばにツルバラを植えて絡めてしまったことを反省している。(参考:観察記録6月20日)
山野草、山菜、園芸種の草花:
ソフィアート・ガーデンの山野草や山菜を紹介していく。今回はスギナについて。
スギナはシダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科、トクサ属。意外にもシダの仲間である。世間では雑草扱いである。一方で、スギナの前段階のツクシは、何故か人々に愛される。ツクシは摘んで袴をとって佃煮にして食べるそうだが、私はまだ食べたことはない。私にとってはツクシよりスギナの方が野草茶に欠かせないため、有益である。自然乾燥すると、畳のい草のようなほっとする香りがする。少々、埃臭い、というふうに表現する人もいる。桑の葉茶にブレンドすると、なかなかおいしい。もちろんお茶には、他の野草茶同様、ガーデン内にある清浄なスギナしか用いない。
スタッフMは除草剤が大嫌いであるが、その除草剤がまず眼の敵にするのが、このスギナである。農家にとって天敵らしいが、一般家庭の庭でも、スギナは厄介視されているらしい。ソフィアート・ガーデンのような、湿潤で山野草の多い場所ではほとんど生えず、日当たりの良い土が向き出しの畑のような場所を好む。土壌が成熟している森の中のようなソフィアート・ガーデンにおいては、スギナは希少であり、お茶にするほど採取できないのが悩みである。日当たりの良い場所では大きくなる。きしむような手触りのスギのような葉が、道端でふさふさと揺れているのを見ると(不衛生でお茶にはできないが)うらやましいなあ・・・と思ってしまう。 スギナの仲間にトクサがある。毎年、クワの古木の木の洞に、ヒガラが営巣する場所があり、そこに蛇や動物が近づかないように木の根元にトクサを植えてみた。すると、どんどん地下茎で広がって、直線上に伸びて生えていく。あまり増えると面倒なので、適当に根を切って生える範囲を制御しなければならない。こちらはスギナと少々異なり森の中でも平気で、湿潤な場所を好むようである。
食用にする場合の参考サイト:独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性」スギナ
野鳥:
何日か出張や所用が続き、久しぶりにソフィアート・ガーデンに行くと、私どもの車を見つけて小鳥たちが四方の森から飛んで集まってくるのが見えた。急いで手を振りながらフィーダーをかける木に向かうと、コガラたちが「ビービー、ビービー」と大合唱。森中に響くその声を聞いて、シジュウカラ、ゴジュウカラ、ヤマガラなどのカラ類が遠くから20羽近く、ビュンビュンと矢のように飛翔しながら集まり、フィーダーの籠からひとつぶのヒマワリの種を取っては、自分のお気に入りの枝に持ち帰り、あるいはヤマガラなどは貯食スペースに持ち帰る。 近くのソヨゴの木で、ヒヨドリが2羽、ホバリングしながら赤い実を「パクッ」と食べていたが、小鳥たちがフィーダーの周りで大運動会している様子に関心を示し、自分たちの食事はそっちのけでフィーダーの近くの枝に止まって唖然とした様子で見とれていた。ヒヨドリは、目の前を飛び交う小鳥たちの行く先を見やって、いちいち首を動かしている。まるでウインブルドンのボールを追う観客のように、右に左に首を動かす。小鳥たちは、そんなヒヨドリの観客のことは無関心に、矢のように次々と行き交い、ヒマワリの種のプレゼントを受け取る。 ふと、イチイの生け垣沿いから、「ガサッ!ガサッ!」と不器用な音がする。目を懲らすと生け垣沿いに、ガビチョウたち数羽が、地面の落ち葉を嘴でポイポイと放り投げて落ち葉に潜む虫などを探しながら、独特な姿勢でホッピングしているのが見える(忍者走り、と呼ぶ人もいる。忍者にしては丸見えで目立っているが・・・)。イチイの下は雪も積もらないため、地面の葉をあさるツグミの仲間の楽園である。 厚い氷の張った水飲み場の上では、シジュウカラが思案するかのように丸い頭をくるりと回して辺りを見渡したかと思えば、ガーデンの小屋の軒先にひらりと飛び、器用に細いつららの先にぶら下がり、その先に小さな嘴をつけて、滴る水滴で喉を潤していた。
冬のソフィアート・ガーデンでは、地面から上空まで、総勢30羽以上の小鳥たちが思い思いの活動をしており、スタッフMにとって、目の前でめまぐるしく繰り広げられる面白いドラマは、いつまでも見飽きることはない。
虫:
2センチほどの大きなクモが久しぶりのガーデンの小屋にいたので捕まえて外に逃がした。カマドウマはまだ何匹か居るが、息絶えている。それをクモは食べているのか、5度以下の小屋で結構元気であった。
その他:
軽井沢は18日〜19日にまとまった積雪があり、一面真っ白で美しい。しかし、その雪が日中の気温上昇で中途半端に溶けて、夜間に再凍結し、その上に新雪が積もる、という繰り返しで、日当たりの悪い道路はアイスリンクのようになって大変危ない。他県ナンバーの車などで、スタッドレスタイヤやチェーンを装着していない車が走行中にスリップして半回転したという話も聞いた。凍結時の運転のときは、いつもより速度を落とし、急ブレーキ、急ハンドルを避け、車間距離を多めに取るなど、細心の注意が必要である。
樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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