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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録−    >>前の記録へ >>次の記録へ

■2013年12月30日(月曜日)一部、番外編 東京

概況:
12月第4週は、軽井沢らしい寒さになった。28日は終日氷点下の真冬日、翌29日の最低気温は氷点下10.7℃、一日の平均気温も氷点下4.7℃である。東京方面への出張が続き、久しぶりのソフィアート・ガーデンの小屋は零度近くまで下がり、「室内の」水道蛇口からツララが下がっている。ガーデンの小鳥たちは一張羅のダウンベストを纏って丸々と羽を膨らませ、元気いっぱい美しく飛翔している。東京都心はクリスマスが終わり各所に門松が飾られ新春の趣である。

樹木:
ソフィアート・ガーデン100種500本の木を紹介していく。今回はシャクナゲについて。 シャクナゲはツツジ科ツツジ属。軽井沢では美しい桃色のアズマシャクナゲ(吾妻石楠花あるいは東石楠花)が多く、西日本のニホンシャクナゲとは少々異なる。西洋風の庭で好まれ、大株で花が豪華に咲くセイヨウシャクナゲ(西洋石楠花)は園芸種であり、軽井沢で見かけることはほとんどない。軽井沢にはヤクシマシャクナゲ(屋久島石楠花)も多い。ヤクシマシャクナゲは名の通り、本来は屋久島の標高の高い場所に自生し、葉の裏に柔らかな綿毛がありウサギの耳のようで、大株に育ち、ほんのりピンクに近い白花が大変美しい。これらは軽井沢のような1000メートルを超える霧の多い高原では特別な手入れを必要とせず良く生育するが、気温の高い日差しの強い平地での栽培は難しいようである。花は美しい白や淡いピンク色で高貴な印象があり、文字通りの「高嶺の花」である。冬も葉を落とさない常緑であり外気温が氷点下数度以下になると葉を針の様に丸めてショボンとうなだれるので、スタッフMは「シャクナゲ温度計」と呼んで、外気温の目安にしている。
シャクナゲは秋に適当に摘雷して花数を制御しなければ、隔年開花になってしまう。私はそれで良いと割り切っているので、花が一つの株から70以上咲く年もあれば、ほとんど咲かない年もある。あまり花を咲かせると、弱って枝ごと枯れてしまうこともある。また、アジサイをシャクナゲの近くに植えたところ、アジサイの株の近くのシャクナゲの枝が枯れてしまった。一つなら偶然だが、複数本でそのような経験をした。原因はわからないがシャクナゲとアジサイは相性が悪い(シャクナゲが負けてしまう)という経験則から、組み合わせに気をつけるようにしている。アジサイは成長の早い灌木であり、ともに酸性土壌を好むため、敵対関係になりやすいのかもしれない。概して、似た高さの木は密植すると枝が重なる部分が枯れるなどして、お互いを牽制しあうので、アジサイにかかわらず、灌木系をシャクナゲに重なるように植えるのは避けた方が良いだろう。なお、シャクナゲはカラマツやゴヨウマツ(五葉松)の下に植えると生育が良い、というのは栽培農家から聞いたことがある。松の葉が土壌を酸性にする、日差しを遮って丁度良い、などの理由もあるだろうが、松は背が高く、シャクナゲとは決して干渉しない樹形だからということもあるだろう。
根は浅く平たく広がる。酸性土壌を好む。植えるときは深植えせずに、地表を軽く耕して乗せるように植えると良い、と植木屋に教わった。いろいろインターネットなどでシャクナゲ愛好家のサイトを調べたところ、シャクナゲは石が大好きな植物のようである。根元に石を置くと喜ぶらしい。実際に皇居の東御苑などで観察すると、シャクナゲの一種であるヒカゲツツジは、日当たりの柔らかい東斜面に、岩だらけの状態をわざと作ってそこに植えているほどである。それらを参考に、シャクナゲを植えるときは必ず適当な大きさの浅間石を根元に据えておいた。軽井沢でも夏は暑くなるが、そのようなときは涼しくなってから水遣りすると、軽石の蒸散作用でひんやりとするのか、心なしか暑さに弱いシャクナゲが喜んでいるように見える。
シャクナゲは軽井沢の庭だけでなく風物詩としても欠かせない。軽井沢彫のモチーフとしても、オオヤマザクラとともによく見かける。地元の人も別荘民も、シャクナゲをとても愛している。もちろんスタッフMもシャクナゲが大好きである。
北軽井沢には、15万本という膨大な数の実生シャクナゲを栽培している場所がある。「浅間高原しゃくなげ園」という場所である。6月にはシャクナゲ祭りが開かれ、私どもも車で出かけたが、行けども行けどもたどり着けないほど遠く、しかも6月だというのに霧と冷気で風邪を引きそうになるほど寒かった。しかしシャクナゲ好きには、そのようなことはどうでも良いぐらい、立派なシャクナゲが安く入手できる。

山野草、山菜、園芸種の草花:
ソフィアート・ガーデンの山野草や山菜を紹介していく。今回はリュウノヒゲ(ジャノヒゲ)について。
リュウノヒゲはクサスギカズラ科ジャノヒゲ属。冬枯れの大地における貴重な常緑の草である。似た野草で少々背の高いヤブランもある。根から増えて地面を覆うように生え、芝生のようにも見えるため、自然風の庭だけでなく、洋風の庭でも好んで用いられる。白い小さな花の後に、つややかな青黒い実がつく。ソフィアート・ガーデンにも自宅庭にも自生しており、サクラソウやエンレイソウなど山野草がひろがる場所にまでリュウノヒゲがどんどん増えて浸食するため、適宜抜いて土手などに移植し、法面の土押さえの役目を担わせている。自生して増えて困るほどの栽培適地なので、特に手入れを必要としない楽な野草である。
ところで以前、風邪をひいて咳が止まらなかった際に、「麦門冬湯(バクモントウトウ)」や「清肺湯(セイハイトウ)」というお薬を飲んで良くなったが、これは実はリュウノヒゲの根(麦門冬)が主成分であると知って驚いた。これは「ソフィアート・薬草園」と名を変えて積極的に栽培しても良いほど、役に立つ野草である。
食用にする場合の参考サイト:独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性」リュウノヒゲ(ジャノヒゲ・バクモントウ) データなし

野鳥:
朝、キツツキが家を突く大きな音で目が覚める。アオゲラである。たまに、思い出したように来て、一番高い(10メートル近い)軒下を突いて穴を開けようとする。窓を開けて「コラ!」と追い払う。軽井沢の家はキツツキで穴を開けられている家が結構あり、そこから小動物(ハクビシンなど)が屋根裏に住み着いたり、スズメバチが屋根裏に営巣したりするらしい。以前、ある家の軒下にキツツキが開けたと思われる穴があり、眺めていると、その穴からアカゲラのとぼけた顔が、ひょっこり出てきて、その家には申し訳ないが、つい笑ってしまったことを思い出した。しかし我が家の軒下もアオゲラに狙われる物件のようなので、笑い事とはいえない。

虫:
虫は寒さで絶えてしまった。

その他:
東京の丸の内でクリスマスを迎え、その後も仕事で東京都心で過ごす日が続いた。街中が賑やかで、夜遅くまで活気づいている。昔、新婚旅行でヨーロッパでクリスマスを迎えたとき、誰も人がいない上、皆が家庭でクリスマスを迎えるため店が閉まっていて困ったのを思い出す。人が遊ぶのを支えるのも「人」である。クリスマスや正月を返上して人の役に立って仕事をしている皆さんに、心から感謝とお礼を申し上げたい。とはいえ正月ぐらいは店を閉めて従業員を休ませ、都会が謹厳な静けさに包まれるのも良いのではないか、とも思う。
出張から帰り、何日かぶりにガーデンの小屋に行くと、室温が零度近くになっており室内の水道の蛇口からツララが下がっていた。水抜きはしてあるので水道管の破裂はないが、室内のツララを眺めながら「本格的な冬が来たなあ・・・」と、しばし感慨にふけってしまった。恐るべし、氷沢(こおりさわ)である。
おかげさまで無事、弊社も平和な年越しを迎えることが出来たことを深く感謝するとともに、皆様の幸せと世界平和を祈念したい。


樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの−
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4
文章と写真:スタッフM

日中でも氷点下2℃ 久々のソフィアート・ガーデンの小屋は室温零度近い 水道の蛇口からツララが・・・ シャクナゲ温度計
ヤクシマシャクナゲの花 春のヤクシマシャクナゲ アズマシャクナゲの蕾
春のヤクシマシャクナゲの様子 アカゲラ
東京ではホトトギスが満開 クリスマスイブの丸の内 東京都心は人で賑わう


 
 
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Sophiart Garden Diary - KARUIZAWA forest garden, wildflower, wild birds and other creatures