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樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2013年6月20日(木曜日)
概況:
先週に引き続き十分な降雨。ヤマボウシ、エゴノキ、クレマチスなどの白い花が明るい。各種のバラが次々と開花し、垣根に這う自生のスイカズラ(忍冬)も満開で庭先に芳香が漂う。白のシャクヤクが咲き、こちらも芳香。スーパーには青梅に続いて完熟梅が並び、青梅のシロップ漬けや完熟梅の塩漬け(梅雨明けに土用干しで梅干しにする)、梅ジャムなどの梅仕事を終える。巣立ち雛が庭のあちこちにいる。イノシシの10頭近い親子連れまでいる。
樹木:
ヤマボウシ、エゴノキ、クレマチスなどの白い花にくわえ、各種のバラが次々と開花。軽井沢では梅雨の時期にバラが咲くが、6月前半は雨がなく日照があったためか、バラはこの十年の中で最高の咲き具合。花が雨に打たれて色鮮やかなのは良いが、風に漂う芳香が楽しめず残念。
バラは桃色のアンジェラ、柔らかい杏色のトレジャートローブ、純白のサマースノーなど、いずれも何メートルもの巨大な大株になって他の木に寄りかかっている。アンジェラがもたれている3メートルほどのソヨゴ2本が、南方向に伸びようとするバラの木の重みで南に30度ほど傾いてしまった。ソヨゴは根張りが弱く、移植に強い反面、傾きやすい木である。巨大になるクライミングやランブラーのバラは、もたれかかっても良い丈夫な構造物か根の強い大木の近くに植えるべきであった。
バラ ラバグルートも咲き出した。これは四季咲きバラで秋にも再び咲く。ビロード状の深紅の花が美しく、雨にも寒さにも強い、寒冷地に適したバラである。株も剪定して小ぶりにすれば扱いは楽だが、かなりとげがきついため人が近くを通らないところに植える必要がある。 玄関先のバラ バレリーナは可憐なかわいらしいピンクの小花がたくさん咲くが、細かなとげがあるため、こちらも人に触れないような剪定が必要。
つる性のスイカズラ(忍冬)は自生で次々と生えるため、間引きながら生け垣や門柱に適当に絡めてある。湿気と相性が良い花なのか、梅雨時の霧や雨の中で花がきれいに咲き、ジャスミンのような香りが垣根沿いの道まで漂う。散歩で通りがかった旅行客がこの花に近づいて香りをかいでいたり、なんという花ですか?と問われたりする。薄ピンクの蕾を二個ずつつけ、咲きはじめは白、そのうち黄色に変化し金銀花と呼ばれ、おいしくて薬効高いニンドウ酒の材料になるので、たくさん摘んで乾燥させる。
山野草、山菜、園芸種の草花:
白のシャクヤクが咲く。こちらも高級石けんのような芳香なので、切り花として室内に飾る。 ガーデンの道端にある自生のノハナショウブの複数の蕾がなくなっていた。動物が食べたか?
夏の山野草オカトラノオ(群生するので雑草扱い)が花穂を伸ばしてきた。こちらも群生するので雑草扱いのツリフネ(かキツリフネ)も伸びてきた。
野鳥・生きもの:
自宅の北西にある離山の森から、キビタキが「トットリー、トットリー、トットリー」と鳴いていた。他の鳥のさえずりはあまり明確ではない。鳥の声自体は賑やかで、どこへ行っても幼鳥の声がする。 ソフィアート・ガーデンの巣も巣立ったようだ。巣立ったばかりの雛が地面から飛べずにじっとしていた。危害を加える捕食者と思われないように、雛から離れて遠距離からそっと望遠で撮影した。心配で5分ほど見守っている間も、雛は微動だにしなかった。動かなければ捕食者にも見つからない。弱い雛は身を守るために本能的に「石のように動かない」という作戦をとる。(参考 >>ソフィアートガーデン物語 第41話「巣立つ日」 :ヘンリー・ソロー著『森の生活』で、人の気配を察した山鶉の雛がじっと動かない様子について書いている)
ガーデンを散歩すると、あちこちで巣立ったばかりの雛が茂みに潜んでいるため、親鳥から警戒鳴きで怒られる。自分の庭でも気をつかって、そっと細心の注意をしながら歩かなければいけない時期である。
虫:
雨の中、ガガンボがバラの葉の裏で雨宿り。 バラ バレリーナの蕾にたくさんいたアブラムシは全く居なくなり、バラの柔らかい葉を旺盛に食べていた蛾の幼虫たちも、ほとんど見かけなくなってしまった。せっせと小鳥たちが雛の餌にしてしまったか、スズメバチの餌食になったか。虫は小鳥の雛たちの大事な糧と考えるため、当方の庭は完全無農薬栽培で虫も多いが、ほとんどの幼虫たちは鳥やスズメバチ、動物などに捕食される。自然界は食物連鎖とバランスで成り立っていることを実感する。
その他:
6月17日の夕方、ガーデンの小屋で仕事していると、薄暗い庭でガサガサ音がする。部屋の電気を消して様子をうかがっていると、ヤマボウシの下草からイノシシの子(ウリボウ)が一匹飛び出した。続いて二匹、三匹・・・と数頭が飛び出し、走って庭を出て南の道まで逃げ、他の子や巨大な両親?と合流して、低く南側に広がる森に消えていった。総勢10頭近くのイノシシの群れが怒濤のように走り去る光景に唖然。イノシシの牙にかまれると命の危険もあり、遭遇は避けなければいけない。イノシシは土を鼻先で掘ってミミズなどを食べるため、イノシシ避けには土に唐辛子をまくと良いと言われるが、面積が広いので代わりに木酢をまいておこうと思う。
スーパーの店頭には群馬県産の青梅や和歌山県産の南高梅が並び、過熟で安くなった梅もある。青梅1kgでシロップ漬け、完熟梅3kgで梅干し用の塩漬け、過熟の安売り梅1kgで梅ジャムを、それぞれ作った。塩漬けは、梅雨明けに土用干しをして梅干しに仕上げる。これで今年の梅仕事は土用干しを残して終了。
また今年は忙しくて時間がとれず、例年より長めに二週間塩漬け乳酸発酵させた鳥取県産ラッキョウも、流水で塩抜き後、酢と砂糖でつくったラッキョウ酢で本漬け作業終了。これでフキ、ラッキョウ、梅仕事と、6月の恒例行事が完了した。
樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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