>> ホーム
 >> 会社概要
 >> 事業内容
 >> ソフィアートの研修
 >> 代表者プロファイル
 >> 研修雑感・コラム
 エッセイ
 >> ソフィアート・ガーデン物語
  全120話はこちらから


 樹木・山野草・生きもの
 >> 日々の観察記録一覧
 >> 樹木一覧
 >> 山野草一覧
 >> 野鳥・動物・虫一覧

 >> 連絡先
 >> Coffee Break


軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録−    >>前の記録へ >>次の記録へ

■二十四節気:啓蟄 2016年3月5日(土曜日)

概況:
2月下旬、出張先の大阪、神戸、京都では凍えるほど寒かった。出張機会に絡めて深喜毛織株式会社(大阪)の工場見学もできた。軽井沢に戻ると気温こそ低いが風がほとんどないためか暖かく感じる。2月28日、29日には最高気温が10℃以上になり、翌日の3月1日は最低気温氷点下10.4℃、さらに3月2日は氷点下11.5と冷え込み、寒暖の差が激しい。ソフィアート・ガーデンの周辺ではイノシシが歩いているのを見かける。危ないので細心の注意をして追い払う。

樹木:
出張で群馬県の山道を通ると大量のスギ花粉のせいか、なんだか目やのどがかゆくて苦しい。花粉の季節である。 京都(伏見)のJR桃山駅では河津桜が咲いていた。寺田屋事件で有名な寺田屋にほど近い河川沿いの京橋下の公園では白梅も咲き、枝垂れ柳のまだ葉のない枝先がほのかに緑色を帯びて芽吹きの気配を帯びていた。サンシュユの大木につぼみとともに昨年の大量の実が赤く花のように着いていた。

山野草、山菜、園芸種の草花:
2月後半にはまだ雪が何センチも残っていたが、2月26日にようやく積雪深0になった。2/26には今年初めてフキノトウが出ているのを見つけた。3月に入って何個か採取して味噌汁にして食べたり春の味覚を楽しんだ。

野鳥・生きもの:
イノシシ2頭がソフィアート・ガーデンの周辺を歩いているのをよく見かけるので、敷地内に入らないように声を張り上げて追い払う。イノシシは距離を置いていれば積極的にこちらに向かってくることはないが、意外に足が速く(俗に言われるように直進しかしないのではなく急旋回して器用に走る)牙もあるため、不意に出くわして怪我をさせられることのないように細心の注意を払っている。
小鳥たちは皆、元気に飛び交っている。関西の出張などで小鳥たちとの交流が何日か途絶えても、ソフィアート・ガーデンに私どもが到着すると四方から矢のように小鳥たちがこちらを目指して飛んでくる。仲良しのヤマガラは連続で何度も繰り返し私どもの手からピーナッツやヒマワリの種を受け取り、木の幹などに貯食する。フィーダーに食べ物があっても、ヤマガラはこちらの手に来り、いたずらっ子のような黒い目でじっとこちらの目を覗き込み、ゆうゆうと好みの大きさのピーナツを選んだりしている。最初の頃のおっかなびっくりで腰が引けた乗り方とは違い、手のひらで結構リラックスしている様子である。軽井沢の長い冬を経て早春の頃には、小鳥と私どもはすっかり仲良しである。今はゆっくりと、小鳥たちとの幸せな交流を楽しみたい。 やがて春が来て木の芽が動き、虫も活動し始め自然界が活気を帯びて小鳥たちの営巣の時期になると、忙しくて人間の相手などしている暇はないとばかり、こちらに来ることはなくなるのだから。
Karuizawa Wild Birds : Parus varius(Yamagara, Varied tit)

虫:
さすがに啓蟄ともなると、暖かい日にはソフィアート・ガーデンに小さな虫が飛ぶようになった。ガーデンの小屋の中は、まだカマドウマは出ないが屋内を歩くクモが出だした。

その他:
スタッフMとパートナーは昔からカシミヤ製品が好きであるが、高価なため、めったに買わない(買えない)。
その昔20年ほど前に、スコットランドで(ウイスキー好きのパートナーと小さな蒸留所を車で訪れる旅をしていた途中)たまたまジョンストンズ・オブ・エルギン(Johnstons of Elgin)の工場を訪れ、ミルショップでマフラーなどを買い、それらをずっと愛用している。カシミヤにもかかわらず丈夫で風合いも変わない。そして、ここ何年かは日本製の深喜毛織株式会社のカシミヤ製品も愛用している。特に冬は毎日フカキの製品をなにかしら着用しており、寒冷地の軽井沢生活には不可欠な存在として頼りにしている。以前、東京のショップでお会いした方から工場見学ができるというお話を聞き、先日の関西出張の折、大阪府泉大津市にある深喜毛織株式会社の工場見学の機会を得ることができた。深喜毛織株式会社様には、お忙しい中、いろいろとご配慮をいただき、心から感謝している。
「カシミヤのフカキ」で有名な当社は、1887年(明治20年)創業。当時の日本毛織物産業界の創生期から現在にいたるまでの歴史を担い続け「カシミヤ・アンゴラ・アルパカ等の高級素材を使用した高級紳士・婦人毛織物、ニット生地、紡毛メリヤス糸、およびその他の商品を、原毛から仕上げまで一貫生産(深喜毛織ホームページより引用)」している会社である。「1998年より、天然素材の品質向上を目的とした国際組織CCMI(Cashimere&Camel Hair Manufacturers Institute)への加盟が認められています。加盟メーカーは、世界でもわずか17社(深喜毛織ホームページより引用)」という、国際的にも優れたカシミヤを生産している。(参考: CCMI カシミヤ・キャメルヘア部会 会員リスト
スタッフの方に案内していただき、原毛から糸にする過程までを見学した。ほこりアレルギーのスタッフMはマスク着用の上見学したが、工場内はとても清潔でマスクなしでも全く問題なかった。特に白い糸を生産している工程では、他色が白糸に混ざらないように上部を空気の流れ(エアーカーテン)で仕切っているほどである。ただし稼動している機械音が大きいため、専用のイヤホンとマイクで説明を聞いたり会話を行う必要があった。人の姿はほとんど見られず、大部分がシステマティックにコントロールされた工場である。
また創業時からの製品(織物)の現物が分厚い洋書のように整然と年代別に保管されていた。戦時中に外圧による統制があった関係でその時の資料が一部欠落している部分を除けば、日本のカシミヤ織物生産の歴史が網羅されているといえる価値の高い素晴らしい資料室である。大正期などの初期の資料は痛みを防ぐため見学者が自由に見ることはできないが、他は自由に生地を触ることもできる。
弊社代表の生まれた年(1961年)のカシミヤのバンチブックを見せて(触らせて)いただいたが、なめらかで重厚感があり、その当時のカシミヤはまさに繊維の宝石と言える大変高価なものであったことが実感できる。また不具合のあった製品を展示する部屋もあり、素人目には一見完璧に思える織物と、その不具合を説明した資料が保管されていた。ミスを防ぐためにはどのような点に気をつければよいか、失敗から学ぶという意味で社員教育に使用しているとのことである。当社は太陽熱給湯システムや太陽光発電システム、風力発電システムなどの自然エネルギーを採用し、地球環境への負荷を減らす努力も積極的に行っているとも伺った。
カシミア山羊のはく製も見せていただいた。カシミア山羊は驚くほど小さな体であり、とれる毛は大変希少であることがわかる。カシミヤは羊毛のように毛をカットするのではない。太い毛の内側にある体を包む綿のような柔らかい毛を棘のようなブラシで掻き取る。カシミア山羊は血だらけになって痛がるので縛って毛をとるという話を聞いた。こうして毛(命)を提供する生きものの存在を意識すれば、安価な大量生産や消耗品のような扱いはとてもできない。今や低価格で有名なアパレルまでもカシミヤという名で安価な製品を大量に出している。どこにそれほどたくさんのカシミヤ原毛があるのだろうと不思議に思う。膨大な手間をかけ丁寧に生み出される希少な製品には、それに見合った価値(価格や入手の困難さ)が与えられるべきである。その高いハードルが人間の強欲の歯止めにもなる。


軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの−
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4
文章と写真:スタッフM

深喜毛織工場見学 深喜毛織工場見学 深喜毛織工場見学
深喜毛織工場見学(カシミア山羊のはく製) 深喜毛織工場見学(カシミア山羊のはく製) 深喜毛織工場見学(カシミヤの表面加工をするためのチーゼルteasel)
深喜毛織工場見学 深喜毛織工場見学 深喜毛織工場見学
深喜毛織工場見学 深喜毛織工場見学
JR桃山駅の河津桜? 山茱萸の赤い実(京都伏見京、橋下の公園)
ソフィアート・ガーデンの小鳥たち(シジュウカラ、コガラ、ゴジュウカラ) ソフィアート・ガーデンのフキノトウ(2/26)


 
 
Copyright (C) 2016 Sophiart Inc. All Rights Reserved.
Sophiart Garden Diary - KARUIZAWA forest garden, wildflower, wild birds and other creatures