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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■二十四節気:立冬 2015年11月8日(日曜日)
概況: おおむね晴れ続きで空気が乾燥している。10月後半には最低気温が氷点下になり、11月4日には-2.3℃まで下がった。とはいえ例年より暖かい日が多い。今年はカエデの紅葉が長く続き、場所によってはまだ色づき途中のカエデも見られる。雑木やナラの黄葉は終盤、カラマツの黄金の雨がさらさらと音をたてて降り、大地や道が黄色の葉で縁どられる。小鳥たちが次々と庭を訪れ、水浴びを楽しむ。こちらを見てヒマワリの種のプレゼントを暗に催促するかのよう。
樹木:
紅葉のフィナーレともいえるカラマツの黄金の雨とナラの黄葉も終盤。しかし、まだモミジが残っている場所も多く、観察を始めてから12年目で最も遅い紅葉かもしれない。最低気温が8℃を下回るようになり、紅葉のスイッチが入る時期は例年並みか少々遅い程度であったが、途中暖かい時期が続いたせいか紅葉がゆっくり進み、いつまでも木に残っている。日当たりの悪い場所の紅葉はさらに遅めであり、11月中旬に近づいてもまだ色づき始めのカエデが見られるほど。色づきは例年並みであるものの、紅葉期間の長さとしては、ここ12年で最も長いように思える。エルニーニョによる暖冬の兆しであろうか。
山野草、山菜、園芸種の草花:
霜が降りるようになると、草が消えてなくなったかのように大地がすっきりする。ソフィアート・ガーデンでは、ブナシメジのようなキノコが生えている。私どもはキノコ判定は素人なので眺めて鑑賞するのみである。
野鳥・生きもの:
ある日の夕方、居間の窓に何かがぶつかる音がしたので、とっさに鳥がぶつかったと判断して急いで窓際に見に行くと、窓の下のツツジになにやら中型の小鳥が羽を広げて倒れている。窓には小鳥の衝突防止用にバードセーバーを貼っているが、それでも、たまにぶつかることもある。もし怪我で動けなければ、外が暗くなる前に家に入れて介抱しようと思い、しばらく様子を見ていたら、しばらくすると少しずつ動き始め、数分ですっかり回復した。写真をもとに後でネットサイトなどで種類を調べたらノゴマという渡り鳥である。気絶から回復して、玄関でしっぽを立てて威嚇するかのようにポーズをとり、さっと飛び去った。以前、キビタキのオスもガラスに映る自分の姿に怒ってか(?)窓に突進してぶつかってきたが、ノゴマもひょっとしたら同様に気が強く、自分の姿に戦いを挑んだのかもしれない。ともあれ、怪我がなく元気が回復してよかった。(参考:ソフィアート・ガーデン物語 第36話 「鳥の歌合戦」)
ソフィアート・ガーデンではカラ類たちが姿を見せて「そろそろヒマワリのプレゼントはまだ?」というメッセージを目で送ってくるようになった(気がする)。霜が降りて自然界の食べ物は乏しくなってきただろうが、雪が降るまでは、まだヒマワリの種のプレゼントは出さないようにしている。そのかわり、ガーデンでは水飲み場をたっぷりと清い水で満たす。すると、小鳥たちは皆、次々と水浴びや水飲みに訪れて楽しそうにしてくれる。水場の近くでは順番待ちする小鳥たちでにぎわう。
訪れた松本では、女鳥羽川のシラサギが川面を見つめていた(魚などを探しているのだろうが、一見、思索的である)。ところで、鳥たちを眺めていて気が付くのが、姿かたちの違いである。流水に立つサギは脚も首も嘴も細くて長いが、森や雑木林で生きる小さなカラ類たちは脚も首も嘴も短い。この違いの理由をちょっと考えた。当然、生き物は生きる環境に生態や外観がより適合してくる。サギは水深がそれほど深くない水田や川で生活するが、水に流されないように立ち、目が見える状態で魚や両生類を取るために、脚や首や嘴が細長いのだろう。同じ水鳥でも、深い水深の水面で生活するカモやアヒルやハクチョウなどは、頭から潜って虫などを捕るため、水面に浮かぶ体型であればさほど足や嘴が長くなくてもよさそうだ。水かきのついた短い脚や大きくて太いヘラのような嘴は、水面を泳いで潜り、沼底の泥を濃しわけたりしやすいだろう。一方、カラ類は大きな猛禽類などを避けて、藪や込み入った木の枝を潜り抜けて曲芸飛行するため、長い脚や首、嘴は邪魔になる。空気抵抗の少ない、雫型の丸い形であるほうが素早い動きには有利であろう。・・・野鳥たちのユニークで美しい体型には、自然界の合理性が詰まっているように思える。
虫:
ソフィアート・ガーデンの小屋につくと、まず大量のカマドウマを外に出す作業が必要になってきた。寒くなり、カマドウマが比較的暖かい小屋の中に、あらゆる隙間を潜り抜けて避難してくるのだ。そして、水色のバケツの中に、なぜか身を寄せている。中にはぴょんぴょん飛び跳ねているのもいるが、大体は寒さで動作も鈍く、のっそりと歩くだけであるので、捕まえるのはそれほど大変ではない。数が多いので、面倒ではある。パートナーがせっせと、虫キャッチャー(と私どもが呼んでいる透明カップ)で捕獲しては外に放り投げている。外に出しても何度でも小屋の中を目指して侵入してくるが、まあ仕方のないことである。そのうち寒さが本格化すると、こうした虫たちも絶えてしまう。
その他:
スタッフMは仕事の用事のついでに、松本市の旧開智学校とその隣の旧司祭館を見学した。開智学校は明治時代初期の洋風校舎として有名で、一見、近代的な鉄筋コンクリート造りに見えるが、木造2階建の寄棟造りであり、土壁や和紙を張った天井など、すぐれた日本建築の技術を随所に見ることができる。見どころはたくさんあるが、建築物としての側面より、教育内容という側面から視察した。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート スタッフM( 竺原 みき )
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