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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■二十四節気:処暑 2015年8月23日(日曜日)
概況:
涼しくなった。草木は成熟へ向かい、紅白の実をつけたミズヒキの花穂が揺れ、ツリバナの実が割れて赤い実が見える。ソフィアート・ガーデンにはクリの緑色のイガが落ち始めた。リンゴが店頭に並び始めた。軽井沢の霧の夜空に花火があがり、週末の夜、別荘や民家、公民館などでお盆の後のほっと一息ついた人々が集まって飲食する様子が見られる。虫の音に秋を感じる。まだ人出は多いが、軽井沢の晩夏は名残惜しそうに秋へと日、一日ごとに姿を変える。
樹木:
ツリバナの丸い果実が割れ、中から赤い実がぶら下がる。緑に赤と黒のコントラストは華麗である。クリの実がソフィアート・ガーデンにポトポトと落ちる。まだ緑のイガが多い。マタタビの実の虫エイ(ちゅうえい)もたくさん落ちるので、拾ってよく洗い、乾かして35度のホワイトリカーに漬け込んでみた。虫エイは虫こぶである。ジャガイモのような硬くてボコボコとした風情である。もちろんジャガイモよりもっと小さくて薄黄緑であるが。洗っていると、何かのにおいに似ている微香に気付いた。山菜のような、鰹節のような香である。決して悪い香りではないが、木の実然とした甘い香りではない。なぜ、猫はマタタビの実(実だけでなく枝葉も大好きなようだ)が好きなのか、ひょっとして、この鰹節の香りを感じているのかもしれないと、想像してみた。マタタビの実から鰹節の香りがするなどと言っている本やサイトは皆無であるが・・・。
山野草、山菜、園芸種の草花:
ミズヒキの紅白の実が鮮やか。ソフィアート・ガーデンに接している道の草(いわゆる雑草)イノコズチの実がついていたのでパートナーが草刈りした。歩くとズボンにひっつく厄介な実である。名の由来が、人の足ではなく猪子膝イノコヅチ(イノシシの子供の膝につくような草)なのは、ちょっとおもしろい。
野鳥・生きもの:
自宅庭の南にある大きなマユミ、ヤマボウシに、ちいさな野鳥たちが早くも混群のようにやってきた。総勢10羽から15羽ほどいる。葉っぱに隠れて姿は見えないが、声で誰が居るかわかる。
メジロのチーチー、ヤマガラのススス、そしてシジュウカラのヒナと思われる「メメメ」という金属音に似た声が、庭に賑やかに飛び交う。
一羽が何かを見つけたのか、ある枝に行くと、その方向に皆も関心を示して「わたしも、わたしも」という感じで飛んでいく。葉の裏についている虫を探して、身軽にぶら下がる。
細やかな動きは、まるで木の葉がそよ風にゆれるように見える。ふと、ある小鳥が、木の下に据えてある小鳥の水飲み場をみつけて、木の葉が落ちるようにヒラヒラと水面に舞い降りる。
小鳥は、動きや色、形が木の葉そっくりである。木漏れ日の中で、かわいい小鳥たちが輝く姿は、天使のような清らかさである。
マタタビの実を狙ってか、野良(?)猫がソフィアート・ガーデンの近くをうろつく。雛を数羽つれたキジのメスがガーデンを歩いていたと近所の方が教えてくれたので、キジが猫に襲われないように猫除けとして落ちクリのイガをマタタビの近くに集めておく(効果のほどは不明)。猫はスタッフMも子供の頃飼っていたし、かわいいと思うが、軽井沢のような自然豊かでキジやヤマドリが普通に生息するような土地では、猫の放し飼いは禁物である。また猫が車道で気の毒な姿になっているのも見かける。猫のためにも野鳥のためにも、飼い主のモラルとして家の中でのみ養っていただきたいと切に願う。
虫: 涼しいので夜は窓を閉めているが、たまに開けるとコオロギなど秋の虫の音が響く。
その他:
今回から、この自然観察記録は、新たに二十四節気による区分で試みたい。しばらく、一年を二十四節気に基づいて24回に分けて観察記録をつけてみようと思う。 「二十四節気」という表現は天気予報などでよく耳にするし、よく理解している人も多いと思うが、改めて正確な定義を知ると自然観察や季節変化を見るのに適していることがわかる。二十四節気については大田原市の広報誌の説明文がわかりやすいので転載させていただく。(引用元のサイトはこちら 天文館・自然観察館 ふれあいの丘天文館だより
季節を表す言葉「二十四節気(にじゅうしせっき)」について)
「「二十四節気」は、太陽の黄道上(太陽の通り道)の動きに合わせて1年を24等分し、季節の変化をその期間に見られる生き物のようすや天候などで表したもので、中国から日本に伝わってきました。昔の中国では、月の満ち欠けにもとづいた太陰暦(旧暦)が使われていました。しかし、太陰暦による日付は太陽の動きと関係がないため、暦と季節の間にズレが生じ、農業などの活動や生活に支障がありました。そこで本来の季節を知る目安として、太陽の動きをもとにした「二十四節気」が考え出されたわけです。」
植物は気温や太陽の高さ、日の長さなどに応じて四季のめぐりを体現して見せてくれる。また虫や野生動物、特にスタッフMが日々関心をもって観察している野鳥なども同様に、気温だけでなく太陽の四季の変化を敏感に察知して行動しているように思える。人は暦や気温という知識や官能だけでなく、植物や野生動物と同じく太陽の動きの変化を感じるセンサーを本来はもっていたであろうと想像する。スタッフMも毎年8月のお盆の頃、ふと日差しの質が変わったことに気が付く。その時期は全国的には猛暑で軽井沢もまだ暑いが「季節が変わった、秋が来ている」と、説明は難しいが何らかのセンサーによってそれを感じる。軽井沢の四季の移り変わりを二十四節気で記録することにより、季節のめぐりをより鮮明に意識できるのではないか。
参考サイト:国立天文台の二十四節気の説明
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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