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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2015年3月9日(月曜日)富山(射水・新湊)〜石川(金沢)
概況:
新幹線開通間近の北陸旅行の記録。上信越道沿いの妙高高原から上越高田、中郷のあたりは道の両脇に雪の壁が残り、山肌には雪景色が広がるものの木々の根元には根開きが見られ、北国の春も近い。気温は10℃以下で底冷えがするが富山も石川も市街地は全く雪はない。日本海に沿って大気重力波のような長く厚い鱗雲が広がっていたがこの季節に独特の雲なのだろうか?魚市場で旬の新鮮な海の幸をいただき金沢の上品な街並みを散策して楽しむことができた。
樹木: 北陸道沿いのスギ林や雑木林は冬から春に向けての様相。道中のスギ林は花粉をたっぷり含んで茶色っぽい。各所の庭園を飾る雪吊りの景色は、雪が全くない中でわずかに冬の名残りを思わせる。ヤブツバキがきれいに咲いていた。落葉樹の新芽はまだ固く、金沢市内の長町武家屋敷通りのウメの蕾はふっくらピンクであったがまだ開花は見られなかった。
山野草、山菜、園芸種の草花:
クリスマスローズや三色スミレなど冬から春にかけての花が街路脇をかざっていた。
野鳥:
金沢市内では香林坊近くの繁華街の街路樹からヤマガラの「スィスィ」という鳴き声が姿は見えないが聞こえた。金沢城近くでは大きな常緑樹が多いためか、カラスが多かった。金沢城近くは、訪れるたびにカラスの軍団を目にするため、行くのをつい遠慮してしまう。
虫: 北陸で特に虫の存在には気がつかなかった。
その他:
北陸は海の幸が豊かである。今回の旅行では富山県射水市の新湊の「きっときと市場」で白エビをいただいた。白エビは宝石のような美しさで、値段も高い(こぎれいな料亭ではなく、鮮魚市場の一角で、家庭料理的に提供しているどんぶり料理で2,000円以上)が新鮮でおいしかった。また金沢のへそにある近江町市場でも北陸の海の幸をいただいた。パートナーは鳥取県倉吉市出身であり、北陸同様に海の幸がおいしいところで育ったため「のどぐろ(アカムツ)」も日常的な家庭料理としてなじみ深い。私も大好きで、倉吉に帰省の折には楽しみの一つであるが、それほど高級な食材としては認識していなかった。しかし、今回金沢の近江町市場を始め、どこかがのどぐろブームでも仕掛けているのであろうかと思うほど、至る所で「のどぐろ」人気がすごいと感じた(値段もえらく高い)。おいしい旬の時期だから、ということだろうが、少し不思議な感じがした。
富山県の新湊(きっときと市場)にも観光バスで訪れた小人数の中国人客が見られた。金沢の近江町市場は地元の客に加えて大勢の旅行客で賑わい、魚市場内の気軽な店構えの(といっても価格は決して安くない)寿司屋や料理屋はどこも長蛇の行列であった。対照的に、その向いにある百貨店にはほとんど人の姿がなく、わずかにシニア世代がちらほら歩く程度であった。地下の食料品売り場(いわゆるデパ地下)だけは活況であった。地元の人は、食べ物にはお金は惜しまないが、それ以外のものを買い控えている、もしくはネット通販その他の店舗で購入し、百貨店では買い物をしないのだろうか。街にはアジア人団体客の姿は見られず国内旅行客(学生?やシニア)が中心のようであり、東京都心の百貨店のような大量爆買いする中国人であふれかえる様子は全くなかった。3、4年ほど前の東京都心でも、スタッフMの観察によれば、実はこれと同様の姿が見られた。昨今の活況は想像すらできなかった。当時、原発事故による外国人客の日本離れや国内の不況、経済的・政治的な失望感、先の見通しの暗さからか、東京都心といえども街は暗かった(計画停電や過剰な節電の為もあろうが)。東京都心の街の暗さとは対照的に大阪や神戸などの関西の街は非常に活気があって明るかったのを覚えている。 現在、円安やアジア諸国の経済発展によって外国人観光客が急増し、一時的に日本経済が活気づいているかに見えるが、日本経済の実相は東京都心や大阪中心部といった巨大都市以外の、地方の中堅都市の商店街や百貨店を歩くことによってヒシヒシと実感できるのではないか。金沢のこの様相は、新幹線開通後にどのように変化するのであろうか。継続して観察したい。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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