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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2015年1月11日(日曜日)
概況:
よく晴れた日が続く。6日は最高気温が6.4℃にまで上がり積雪が中途半端に溶けて、さらに夜は放射冷却で氷点下11℃前後に冷え込んだ。そのため溶けた雪が厚く凍結して、至る所で恐ろしいアイスバーン状態になっている。厳冬期の軽井沢は「凍る沢」である。この冬は雪はほどほどに降り、非常に寒くて冬らしい。家の中では薪ストーブを絶やさず連続運転して20℃程度を保っているため、冬の初め頃より暖かく感じる。この冬もリスが庭に訪れるようになった。
樹木: ソフィアート・ガーデン100種500本の木のエピソードを紹介していく。今回はサンショウについて。サンショウはミカン科サンショウ属の落葉低木。ソフィアート・ガーデンにも自宅の庭にも、複数自生している。もともと落葉樹林に自生する樹木なので、軽井沢は生育に適しているのであろう。実生でぽつんと生えてくるので、近くの木から実が落ちたというより野鳥が媒介していると思われる。黄色い小さな花が咲き、小さな、よく見るとミカンのような青い実を結ぶ。香りもミカンのようである。やがて実は赤く熟し、中から黒い種をのぞかせる。私は青い実のうちに収穫してしまう。ミカンの仲間であるので、アゲハチョウの食餌となる。枝にバラのような鋭いトゲがあり、香りの良いサンショウは左右に対称のトゲになっているが、香りのないイヌザンショウはトゲが互生している。実を収穫するときは、このトゲに気をつけなければならない。春の木の芽は、香り高く形も色も美しいため、冷や奴やお吸い物などに用いると良い。手の平にのせて軽く叩くと香りがたつ。もちろん実は、サンショウの実としていろいろな料理に使える。私は毎年、ソフィアート・ガーデンに大量に生える山ブキを、キャラブキに加工するが、このときにもサンショウの実を用いて香りを出す。もちろんちりめん山椒にも、鰻にも良い。少量でもスパイシーで、とても香りが良い。青い実を収穫して、そのまま冷凍庫で保管すれば青い色のまま長く使える。
山野草、山菜、園芸種の草花:
追って記載。
野鳥:
ソフィアート・ガーデンでは、いつものカラ類にくわえて、ルリビタキも常連の仲間入りである。キビタキ同様、ヒタキ類は気が強いのか、お気に入りの枝に止まって「カッカッカッ!」と威嚇しながらしっぽを上下に振っている。ちょっと怖いが可愛い。
虫:
薪にカメムシ他が虫たちが冬眠していることがあるので、薪をストーブにくべるために室内に運ぶ際には、外でよく虫を落としておかなければならない。
その他:
久しぶりに東御や上田方面に買い出しに行った。夏場は上田のAコープまでドライブを兼ねて買い出しに遊びに来ることも多いが、冬場はめっきりご無沙汰していた。しかし、冬はおいしい旬の白菜や、この地域以外ではまず目にしない、めずらしい品種のジャガイモが市場に並ぶし、私どもの大好きな東御の名産シナノグルミもたくさん出回る。信州の東信地域は、果樹や農産物の宝庫であると改めて感じた。
外の寒さとは対照的に、屋内は常に20℃である。薪ストーブは終日連続運転、さすがに明け方には火は消えているがわずかに熾火が残る。1階から2階まで、吹き抜けをまっすぐ通る長い煙突は暖房器具としても機能する。薪ストーブによって建物全体が均一に温まるため、家のどこにいても、同じような室温になる。温度のバリアフリーを心がけている。薪ストーブが良い状態で燃焼している時、炎は薪から少し離れてストーブの上方で青い炎となってゆらめく。オーロラのようである。勢いよく燃え上がる火も見た目には良いが、やはり連続運転の時は、この、音もなく、ゆらゆらと見え隠れする青い炎を見ているとほっとする。ストーブ本体の鋳鉄が、たまに熱を受け止める「コンコン」という低い音をたてるだけで、静かに確実に完全燃焼している炎は、暖かいだけでなく、安心と信頼という心からの安堵を与えてくれる。また五行で言えば「水」の盛んな冬こそ、「木」が「火」を生み「火」が「土(灰)」を生ずるという節理を実感する。(参考:ソフィアート・ガーデン物語 第103話「火の力」、104話「灰の話」)
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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