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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2014年12月8日(月曜日)一部、東京
概況:
雪と氷の冬がやってきた。8日の軽井沢の最低気温は氷点下8.4℃。4日から6日には雪が降り、少々積もった。6日は真冬日となり、庭の小鳥たちの水場も厚い氷が張る。地面には霜柱が立ち、日当たりの悪い場所は日中も溶けずに、ぼこぼこと盛り上がる。小鳥たちはフィーダーにも立ち寄るが混群で周遊する。強い寒気の影響で普段雪の少ない場所でも多量の降雪があり、徳島では1メートル超の雪で車の立ち往生や孤立世帯が多数発生するなど被害が大きい。
樹木: 樹木は冬眠に入ったので、これから春までの観察記録では、昨年に引き続きソフィアート・ガーデン100種500本の木のエピソードを紹介していく。今回はエノキについて。 エノキはニレ科エノキ属の 落葉高木。ソフィアート・ガーデンのエノキはおそらく「エゾエノキ」と思われる。エノキとエゾエノキの違いは、まず葉の形である。エノキやエゾエノキは、国蝶オオムラサキの幼虫の食餌として知られる。オオムラサキの幼虫は、エノキの葉しか食べない。この木があるということは、オオムラサキがいるということである。実際、オオムラサキの羽がガーデンに落ちていたことがある。また、近くの家にもオオムラサキが入ってきたことがあるようだ。残念ながらスタッフMもパートナーも、オオムラサキが庭を飛ぶ姿を見たことはない。
ソフィアート・ガーデンのエゾエノキは大木で、15メートルから20メートルほどである。真下から見上げると、天に踊る天女のような優美な樹姿である。この木はカブトムシの決戦の場で、オスの大きなカブトムシが上を目指して登る姿をよく目にする。下には朽ちたカブトが落ちていることもある。戦いのあと土に還るカブトを目にすると、スタッフMは、もののあわれを感じる。
エゾエノキの葉の形と黄葉は独特である。今年の秋、ガーデンに実生のエノキが何本か育って黄葉しているのを見つけた。ガーデンは、今後ますますオオムラサキの生育に適した環境になるだろう。
※2014年12月11日の信濃毎日新聞web版で、オオムラサキと同じくこのエノキを食草とする外来種の蝶についての記事があった。「アカボシゴマダラ、軽井沢で県内初確認 要注意外来生物 」という見出しで、軽井沢の蝶に大変詳しいかたが撮影した写真も掲載され、同記事には「1990年代半ばに見つかって以降、関東一帯で分布を広げており、同じエノキを食草にするゴマダラチョウやオオムラサキなど、在来種との競合が懸念されている。」とある。今後の参考にメモしておく。
山野草、山菜、園芸種の草花:
草も冬眠に入ったので、これから春までの観察記録では、昨年に引き続きソフィアート・ガーデンの山野草や山菜のエピソードを紹介していく。今回はオオバコについて。
オオバコはオオバコ科オオバコ属の多年草。日本全国で見られる、ごくありふれた野草である。ゆえに雑草と思われている。しかし、じつはすばらしい薬草である。乾燥した全草は車前草(しゃぜんそう)、成熟種子は車前子(しゃぜんし)といわれる生薬である。子供の頃、虫刺されなどで腫れたり、デキモノで化膿すると、母親がきれいな場所からオオバコの葉を摘んで、火にあぶって揉んで柔らかくしてから皮膚に貼ってくれた。すると、すぐに治ってしまった。原始的な治療だが、この実体験をもとに、スタッフMはオオバコに対して絶大な信頼を置いている。ソフィアート・ガーデンの日当たりの良い場所にもたくさんあるので、ぜひ来年はお茶にして飲んでみようと思う。 食用にする場合の参考サイト:独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性」オオバコ
野鳥:
6日は真冬日であったが、7日の日中は1.3℃ほどになった。するとソフィアート・ガーデンのゴジュウカラが「フィッフィッフィッ」と、春のさえずりに似た鳴き方をした(さえずりはもっと鋭く「フィフィフィフィフィフィ!」であるが)。たまたまの出来事かと思ったら、今日8日の日中もさらに暖かく6℃まであがった頃に、ツグミかヒヨドリかオナガが「キョロンキョロン」とさえずりに似た鳴き方をした。急激な寒さの後に気温が暖かくなると、鳥たちだって、ほっとしてウキウキとさえずりたくなるものだろうか。
虫:
ガーデンの小屋のカマドウマの大群キャッチ&屋外へのリリースはまだ続く。小屋に着くと、まずは水出し作業(凍結のため自宅に帰るときには水道栓を水抜きしておくため)、そしてカマドウマ捕獲作業、小屋の温度を息が白くならない程度まで薪ストーブで温めるなどの作業で30分ほど要する。自然が豊かな中のオフィス環境はのんびりしているように見えるが、仕事をする前にさまざまな「儀式」をこなさなければならず、意外に忙しい。
その他:
真冬日(一日中、気温が氷点下)になると、水道管が凍結して破損してしまうため、使うときは水道管を温熱ヒーターで温め、使わないときは水抜き(水道栓から水を落として空っぽにする作業)をしている。自宅は一年中、センサーのついた温熱ヒーター(一定温度で作動する)をつけっぱなしで生活しており、旅行や出張で不在にするときも断熱性能の高い建築のため水道管が凍結することはないので水抜きをした経験がなかった。 しかしソフィアート・ガーデンの小屋では、12月から3月頃まではほぼ毎日、水抜き、水出し作業を自分で行う。軽井沢では別荘管理の業者が(多くは有料で)水抜き水出しを行うが、私どもはやり方を施工業者が教えてくれたので自分で行う。一度覚えれば子供でもできる、簡単な作業である。しかし厳冬期の屋外での作業はきつく、病気の時や子供・年配者には困難であろう。またうっかり間違えると家中が水浸しになったり、水道管やトイレ設備が破損して使えなくなる。こうしたトラブルが発生して水が屋外へ噴き出している無人の別荘を見かけることがある。家が傷むし、家財が台無しであろう。また、水道管が破裂して上水が蕩々と流れ出るなどとは、貴重な水資源がもったいない。
いつもこの季節になると思うのだが、軽井沢の住宅関連の会社は、なぜ、水出しや水抜き作業がスムーズにトラブルなく誰でもできる設備を開発・普及しないのか、という疑問である。水は生活に不可欠の最重要インフラでありながら、水道周りの設備は未だ前時代的である(さすがに井戸や川で水を汲む時代よりは文明の香りはするが)。子供から年寄りまで、健康な人から病気や体の不自由な人まで誰でもが、いつでも水が使える設備を作ろうという意思が、軽井沢の水回りの設備に関わる会社や人にはあまりないのだろうか?世界的には凍結する低温の中、都市生活を送っている先進国(アメリカ、ロシア、ヨーロッパ諸国など)はたくさんあるが、それらの地域に住む全ての人々が、軽井沢のようなやっかいな水抜きを、器用に忍耐強くコツコツ取り組めるとはちょっと思えない(失礼!)。もっと簡単に誰でも失敗なくできる設備が当たり前のように使われているのではないか、と想像する。国内でも、例えば北海道では札幌市のホームページに水抜きの説明がある。その内容から察するに、札幌市の住宅等には誰でも屋内で簡単に操作できる水抜きの設備が当たり前のように備わっているわけである。こうした設備が当地でも施工できれば、水の凍結トラブルは簡単に解決できるはずである。軽井沢で別荘建築をする人は、建築会社や水回りの施工を行う業者に、家族の誰でも簡単にトラブルなく水抜きできる設備かどうかをよく確認しておいた方が良い。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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