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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2014年4月14日(月曜日)一部、沖縄
概況:
観察記録1周年。毎日晴天続きで乾燥注意報や霜注意報が出る。最低気温はまだ氷点下5度以下になることもあるが、最高気温は連日10度以上。雪の山もすっかりなくなり、大地は様々な草の芽吹きで緑を帯びている。コガラのさえずりが空を飛び交い、ウグイスの音色も春らしい。梅のつぼみが膨らんできた。キブシが満開。サンシュユ、アブラチャン、ダンコウバイの黄色い花が咲き始める。沖縄は連日晴天で最高気温22、3℃程度の安定したすがすがしい気候。
樹木:
ソフィアート・ガーデンではキブシが満開。キブシは地味な木だが、早春の森を明るく照らすような黄色の花を鎖のように垂らす。「森のシャンデリア」とスタッフMは命名している。もう少し前の時期なら、碓氷峠や上信越道を東京方面に向かうと、このキブシのシャンデリアが林のあちらこちらから見えて、その光景に思わず歓声を上げたくなるほどである。
その他には、サンシュユ、アブラチャン、ダンコウバイといった、いずれも黄色い花が咲き始めている。ダンコウバイは「檀香梅」と書くが、花は蜜のような線香(白檀)のような濃厚な香りがほのかにする。早春は黄色い花の木が多いが、それぞれの樹種で微妙に色が異なる。ただ、茶色の目立つ早春の雑木林では、この「黄色」は、何よりも目立ち、花の周りに後光が差したかのように光り輝く色である。目立つので当然、虫も寄ってきてそれぞれの木の受粉に役立つ。 軽井沢は乾燥注意報が出るほど連日晴天続きだが、ミズキの木の下にはポトポトと音がするほど水が滴ってくる。木が水をぐんぐん吸い上げているのがわかる。アセビの白い花が咲き、いい香りがする。
沖縄は常緑樹が多いため年中濃い緑が多い。山原(やんばる)をドライブしても、スダジイやダブノキなどの照葉樹が森林を埋め尽くし、独特な樹形のリュウキュウマツや外来種のモクマオウが見られる。また大きく樹冠を広げるガジュマルも、キジムナー(ガジュマルの古木に宿り、子供のような心をもつ木の精霊)伝説で有名で、沖縄県民に最も親しまれる木のひとつである。街路樹や屋敷を守る防風林としては在来のフクギが多かったが、街路樹で近年那覇でよく見かけるのは中南米原産の落葉樹、トックリキワタである。かつて沖縄からの移住者の多かった中南米にちなんで記念樹的な意味合いもあって植栽されているのだろう。
山野草、山菜、園芸種の草花:
ソフィアート・ガーデンのスミレが咲き始めた。スイセンの蕾は大きくなってきた。クロッカスはほとんど花が散った。カタクリがもうすぐ咲きそう。
野鳥:
ガビチョウが「トットリー、トットリー」と盛んに鳴く。これは、夏の渡り鳥キビタキの鳴き声を真似していると思われる。キビタキはゴールデンウイーク頃に軽井沢に渡ってくるので、その鳴き声を物まねレパートリーとしているガビチョウも、そろそろウオーミングアップしているように思える。それとも、一部の地域ではもうキビタキが渡ってきたのだろうか?
中軽井沢の商店や人の多い地域ではツバメが飛び交うようになった。オオルリやキビタキ、アカハラなどの夏鳥もそろそろ渡ってくるだろう。春を迎える軽井沢の森や林の音響が徐々に夏モードに変わるのはおもしろい。今、ソフィアート・ガーデンではコガラの「フィーフー、フィーフー」というフルートのさえずりが四方から響き、野鳥のさえずりの3D劇場のようである。毎日キジの「ケーン、ケーン」という声がする。
ガーデンのキブシの木は、あるコガラのつがいが縄張りとしているが、つがいの後を追いかけるように、もう一羽のコガラが「ビービー」とアピールしている。相思相愛のつがいに割り込む、もしくはつがいをとられた個体であろうか。なかよく飛び去るつがいに無視されるかのように取り残されたコガラが、力なくポトリと、スタッフMのすぐ傍の地面に降りた。スタッフMは、そのがっかりしたような姿が気の毒で、コガラと一緒にじっと佇んでいた。しかし、コガラはそんな事には頓着しないのか、すぐに忘れたかのように、降りた先に落ちていた何かを啄んで、元気よく飛び去った。鳥たちは、人間と違って常に楽天的である。 つがいを組める相手にめぐまれる個体がいる一方で、相手がいない個体、先立たれてしまう個体など、さまざまな鳥の生活がある。つがいを得て幸せそうな鳥たちの傍らで、どんな理由かは知らないが一羽でがんばる個体を見ていると、スタッフMは(おせっかいだが)心が痛くなる。小鳥たちは皆、幸せで元気であってほしい。野鳥と人を重ね合わせるべきではなく、種によっては配偶者を替えたり、複数同士が結婚していたりなどさまざまな繁殖を行う。ただしヤマガラは、生涯ひとつのつがいが一年中仲良く連れ添うと言われる。ソフィアート・ガーデンでもヤマガラのつがいによる、あるドラマがあった。それは後日、紹介したい。
虫:
ちいさな蛾が飛ぶ。室内にも元気なクモやカマドウマが見られるようになった。捕獲して外に出した。元気な虫たちを見ると、春が来たことを実感する。
その他:
軽井沢町は希望者にクマ情報のメールを配信しており、4月9日には「クマが冬眠からあけ始めました!」というメールが届いた。「クマが冬眠から目覚め始めました。4月4日夕方には千ヶ滝東区の国有林境で、目撃情報がありました。これから新緑が広がると活発に動き始めます。クマとの思わぬ遭遇事故を防ぐためにも、朝晩の散歩や見通しの悪い場所を通行する際には、鈴やラジオなど「音の鳴るもの」を携帯してください。」とある。イノシシもクマもいるソフィアート・ガーデンを散歩する際には、いつも五感を研ぎ澄ませて、背後にも気を張り巡らせなければならない。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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