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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録−    >>前の記録へ >>次の記録へ

■2014年2月5日(水曜日)

概況:
2月第一週は全国的に気温変化が大きく、軽井沢でも節分には最高気温16.1℃まで上がり、まるで4、5月のようである。一転、立春を境に急激に強い寒気により関東地方、東京まで雪が舞った。軽井沢は降雪はほとんどなくパウダースノーが少し降りかかった程度。今年の軽井沢は本当に雪が少なくて過ごしやすい。駅前のショッピングモールはアジアを中心とした外国人観光客で賑わい、週末は国内のリゾート客も多い。通年の週末リゾート地の様相を呈している。

樹木:
ソフィアート・ガーデン100種500本の木を紹介していく。今回はシラカバ(白樺)について。 シラカバは、カバノキ科カバノキ属の落葉樹。白い樹肌と柔らかな薄緑の葉は、高原をイメージするにふさわしい木である。しかし、軽井沢におけるシラカバの生育は、必ずしも良くはない。幹が黒っぽくすすけて、黒(灰)カバになってしまう。むしろ、軽井沢より八ヶ岳のほうがシラカバの幹が白く美しい。八千穂高原などは、シラカバの聖地と言っても過言ではないほど美しい白樺林である。八ヶ岳と軽井沢の地質や気候の違いを考え、シラカバは乾燥を好み、湿気(霧)に弱いのではないか、と思っていた。しかし、何年か前に、小諸の高峰高原(高いところは標高2000メートル)に行ったとき、カラマツの原生林やシラカバ・ダケカンバの林がとても美しく、しかも水の流れるような場所でシラカバが元気よく自生していたのを見た。湿気に弱いなら流水に浸かるような場所では自生することはないであろう。湿気より、むしろ霧やモミなどの針葉樹によって日当たりが遮られるのを好まないのではないか。実際、軽井沢でも東側は霧が多く、鬱蒼とした森のような別荘地などではシラカバもあまり美しくないが、霧が少なめで日当たり良好でアカマツの多い土地(軽井沢でも追分など西のほう)は、シラカバの生育も比較的良いように見える。アカマツ(典型的な陽樹)が元気に自生しているような場所は、陽樹であるシラカバもよく育つのではないか。
シラカバは、林が似合う。かつてソフィアート・ガーデンにもシラカバを植えようと、いつもお願いしている植木屋さんに相談した。すると親方は「シラカバは、林のように植えたいよなあ」と言った。ガーデンには、元から20メートルを超えるシラカバも含め、何本かあったが、いずれも単独で植わっており、林の風情はなかった。そこで、ガーデンをぐるりと車や人が通れるように作った小道の両脇をはさんで、並べすぎずに自然な林の感じで数本を植えてみた。ソフィアート・ガーデンの地質は、ハルニレが多く自生するような肥沃で適質な性質なので、なるべく日当たりの良い、小高い場所に植えた。しかし、森の中では木は上へ上へと生長し、すでにシラカバも数年で数メートルを超え、周りの樹木(カラマツやカツラなど)と干渉している。シラカバは、樹種を欲張らずにシラカバだけで構成するような単調な植栽の方が向いているかもしれない。
ところで、新幹線の佐久平駅には、株立ちのシラカバが植栽されており、少ない数で林の風情を出している。湘南で造園デザインの会社を起業した、大学時代の友人が、この株立ちのシラカバを見て感心しながら(笑い上戸なので)大笑いしていた。かなりインパクトがあったようである。
シラカバは根が浅いのか、台風や凍結などで、背の高いシラカバが小さな根鉢ごと根こそぎ倒れているのを町中でもよく目にする。また、それほど長寿命ではない木だとも聞く。
シラカバは、春に幹から樹液を取り出して飲む、ということが知られている。私どもは木を傷つけたくないので、実行したことはない。キシリトールという成分が樹液にあり、虫歯予防や、衣類や寝具のシーツなどにひんやりした冷感をもたせるために用いられる。樹皮は薄く剥がれ、よく燃えるため、薪の焚きつけやお盆の送り火を焚くときの火付けに用いる。また、小鳥たちはこの樹皮を薄くむいて巣材に用いる。以前、コガラが巣材に使うのか、ナツツバキやシラカバの薄い樹皮を嘴で引っ張って剥がしているのを見たことがある。植えておいて無責任だが、スタッフMにとってシラカバはそれほど好みの木ではない。しかし小鳥の巣作りに役立つので、ソフィアート・ガーデンの構成樹種としては良いと考えている。

山野草、山菜、園芸種の草花:
ソフィアート・ガーデンの山野草や山菜を紹介していく。今回はクマザサ(隈笹)について。
クマササはイネ科ササ属。山地に生育する。笹と言えばパンダである。パンダはクマの仲間である。その連想からか、クマザサは熊笹とも表記されるが、葉の縁が白く隈取られることによる命名らしい。クマザサには様々な効能があると言われており、スタッフMも昔、口内炎の時にクマザサエキスを服用したところ早く治り、その効能を実感したことがある。そうしたクマザサを用いた健康食品なども多く、また、軽井沢からもほど近い草津温泉の大滝乃湯には、クマザサを用いた笹うどんという名物がある。ほんのり緑のうどんは、温泉効果と空腹もあって、おいしくいただいた。 軽井沢、草津や北軽井沢(群馬県)、そして八ヶ岳など、山の多いところにはクマザサが至るところで見られる。斜面や林床などが好みの場所のようである。ソフィアート・ガーデンにも自宅の庭にも自生している。根で増えるため、放置しておくと徐々に広がる。隣地との境界代わりになるし、木の根締め(下草)として風情があり、年中緑でなかなか美しいため放置している。あまり茂るものなら刈り取ろうとは思うが、寒冷地故か、他の植物同様、成長が遅い。もし刈り取ることがあれば、きれいに洗って葉を煮出して、自家製クマザサエキスを抽出してみたい。
高原植物を駆逐するとか、クマやイノシシなどが触れてダニが潜む、藪になり見通しが悪いなど、と悪しざまに言われることもある一方で、日本庭園にはなくてはならない情緒と風情のある有用な植物である。
食用にする際の参考サイト:独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性」クマザサ

野鳥:
自宅フィーダーで、シメを見かけた。冬鳥シメは、嘴が太く強面の鳥である。また、カラ類に混じってホオジロあるいはカシラダカ、ミヤマホオジロやアトリなども見かける。
ソフィアート・ガーデンに向かう小道沿いに、千ケ滝を水源とする農業用水路が流れていて、たまにカモが遊んでいる。先日、車でガーデンに向かうときに、用水路からカモが数羽、びっくりしたように飛び立った。しかも、車の進む方向に向かって逃げるので、まるで追いかけているような形になってしまう。人間の歩く速さよりゆっくり走っても、何度も逃げては飛び立つ。せめて、車と逆方向に飛んでくれれば良いが・・・。帰りに、またもやカモの同じ集団がくつろいでいるところを驚かしてしまい、カモにとって私ども(の乗った車)は、きっと困った生きものだろう。

虫:
特に見かけなかった。

その他:
軽井沢の厳冬期のような寒さでは、雪は乾いたパウダースノーになる。このパウダースノーというのは、面白いものである。デッキにうっすらと吹き込んだ雪を、箒で掃くと、まるで精製塩のようにサラサラとして、掃いた後はデッキが一切濡れていない。この雪は本当に水で出来ているのか?と疑いたくなるほど、乾いた粉雪である。また、晴れた日に強い風が吹くと、このパウダースノーが風に舞って、日の光を反射して虹のようにキラキラと風の流れの輝きが見える。ファンタジーアニメーションなどで魔法使いが杖を振ると、その軌跡がキラキラと光る、そんなイメージが目の前に広がる。ひたすら寒い土地で冬を過ごすと、大自然からこのような美しい贈り物がもらえる。
2月初めの軽井沢は、観光やショッピングの客で意外なほど活況であった。駅前のショッピングモールは、観光客(アジア)の親子連れで賑わっていた。軽井沢駅での新幹線利用も土日となると混雑している。外国人だけでなく、国内の旅行客も意外と多い。スーパーも、土日は車や人で混雑している。まさに、夏の避暑地というより、通年の週末リゾート地としての様相である。私どもが初めて軽井沢を訪れた2003年3月〜4月にかけては、ひとけのない印象であったが、ここ10年で2,3,4月を含めた閑散期さえも週末は人で賑わう。ただしそれは、駅前ショッピングモールやスーパーだけの話であり、自宅周辺やソフィアート・ガーデンも含め、町なかは本当に静かである。町民の数(2014年1月1日現在19,953人)より野鳥の数のほうが、たぶん圧倒的に多いだろう。
節分の頃は時季外れの暖かさで16度台まで気温が上がった。暖かい日が数日続くと凍結した地面が溶けた雪でぬかるみ、車も靴も泥にはまって汚れてしまう。 春先は、このぬかるみに悩まされるが、今年は厳冬期の2月初旬にぬかるむとは驚きである。とはいっても、これからまた氷点下の日々が続けば、再凍結してコンクリートのような凍った大地に戻るだろう。暖かさもつかの間、本日(2月5日)は最低気温氷点下11.8℃、最高気温氷点下2.7℃と早速の真冬日に戻った。夜、出張から戻るパートナーを迎えに駅まで行くと、車の温度は氷点下10.5℃。ちょっとした冷凍庫の中で運転しているようであった。


軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの−
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4
文章と写真:スタッフM

浅間の山頂で強風が吹いて雪が吹き上げられている 軽井沢駅近くのスキー場 ソフィアート・ガーデンのシラカバ 春のシラカバ(2013年5月12日の観察記録より)
シラカバの幹 シラカバの樹皮は薄くはがれやすい ソフィアート・ガーデンのクマザサ クマザサの葉
ゴジュウカラ ヤマガラ
ホオジロ(もしくはカシラダカ?)
2月5日の夜の温度は-10.5℃ おまけ:自家製パンと薪ストーブ(だいたい150℃から200℃をキープ)


 
 
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Sophiart Garden Diary - KARUIZAWA forest garden, wildflower, wild birds and other creatures