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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2013年9月2日(月曜日)
概況:
8月末に暑さが舞い戻り、軽井沢でも30日,31日は連続で最高気温30度以上となる。久しぶりにミンミンゼミやアブラゼミが鳴いた。庭のヤマボウシの実が赤く熟し、スズメバチやヒヨドリが実を目当てに訪れる。東京へ向かう碓氷峠の道中はススキの穂が風に揺れ、秋を感じさせるものの、東京は容赦ない暑さで、30日昼過ぎに練馬を移動中、車の温度計は41度を記録。庭のハナイカダやウドの紫の実が熟し、マユミやエゴの実も成り、野鳥の食卓も実りで賑わう。
樹木:
ハナイカダの紺紫色の実が、葉の真ん中で鎮座している。
先週に引き続き、マユミの葉が黄葉しながらどんどん落ちる。6月初旬の最盛期に対して、ざっと6割ほどは落ちているように見える。エゴの実の緑の殻が外れて、黒い実がぶら下がり始めた。このエゴの実はヤマガラの大好物である。もうすぐホバリングしながら嬉しそうに嘴で収穫する様子が見られるだろう。これが見たいために、居間の窓近くにエゴノキを植えているのである。
山野草、山菜、園芸種の草花:
ミズヒキは風情があって美しいが、歩くとズボンに赤い実がくっついて屋内に落ちる。動物や人によって実を運搬させて繁殖域を広げる作戦だが、少し邪魔なので歩く場所は切ってしまうことも多い。
ソフィアート・ガーデンにツルニンジンの花が咲いた。毎年この時期に見られる宿根草である。ツルニンジンは別名をジイソブという。同様の花でバアソブ、というものも存在する。葉に毛があるのが「バアソブ(婆そぶ)」、毛がなくて(少なくて)花が大きめなのが「ジイソブ(爺そぶ)」と、ある本で読んだ(ソブはソバカスの意か?)。爺や婆は、頭髪の有無をイメージした命名らしい。先日、東京のチェルシーガーデンに立ち寄ったら、山野草コーナーで「バアソブ」と札のついた土だけのポット苗が一株900円以上で販売されていて驚いた。どんな花か見てみたいものである。
東京へ車での移動中、碓氷峠ではススキの群生が美しい銀色の穂を風になびかせているのが見えた。また、山々の杉林の樹幹に這い上ったクズが大きな葉を広げ、紫色の花をたくさん咲かせているのも見えた。軽井沢では真夏に咲いているクズの花だが、碓氷峠では少し遅めのこの時期に満開のようだ。真夏と秋の始まりの草が同居する風景である。
野鳥:
ヒヨドリやオナガがヤマボウシの実を食べに来る。マユミの実も食べているようだ。親子かつがいか、連れだって仲良く木の実をついばむ姿を見ると嬉しい。シジュウカラの若い鳥たちも数羽、集団で水浴びに来る。まだネクタイが短く、金属音のような「メメメ!」という幼鳥独特の鳴き声を絶えず賑やかに発している。
ソフィアート・ガーデンに行くと、必ずヤマガラのつがいが、いつもの木の枝で待っていて、「ススス」と嬉しそうな声を出す。その小さな声に気づかずに屋内に入って仕事をしていると家の中まで響く声で「スススッ!、スースースッ!!」(スタッフM訳:ちょっと!呼んでいるのが聞こえないの?!)と割ときつい調子で鳴く。あわてて外に出て、手を振って挨拶する人間の姿は、まるで偉い主人に呼びつけられる気の利かない僕(しもべ)のようである。ヒマワリの種を二粒ほど木の枝に置いてプレゼントすると、一つだけ受け取ってさっと帰って行く。
虫:
ヤマボウシにはスズメバチが集ってブンブンと飛び回っているため、その合間を縫って長い果樹鋏でヤマボウシの実を収穫する。たまにヤマボウシの葉陰にスズメバチがいて、気がつかずに枝を揺すると「ちょっと邪魔!」とばかりにハチに怒られ、スタッフMは室内に逃げ隠れる。その繰り返しでようやく少量の実を収穫。
庭の楓の木に、至近距離にカミキリムシとバッタがいた。お互い無関心の様子。カミキリムシ(特に幼虫のテッポウムシ)は樹にとっては害虫扱いだが、青いルリボシカミキリなどは美しくて見とれるほどである。写真のカミキリはゴマダラカミキリ。
その他:
ソフィアート・ガーデンから家に戻る雨上がりの夜の道、大きなヒキガエルがゆっくりと道路を横断。後続車の通らない道なので、ヒキガエルの横断を待ってしばらく停車していたが、とうとう道路の真ん中でじっと休憩してしまった。仕方がないのでフラッシュ撮影でちょっと驚かして、道をどいてもらった。 夏の夜、車が滅多に通らない軽井沢の細い道では、霧雨の中、小さなアマガエルが道をピョンピョン跳びはねている光景が見られる。その中を、車でひかないように気をつけながらスロースピードで運転する。時が止まっているかのような、ゆっくりとした田舎時間を味わうひとときである。
樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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