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樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2013年7月20日(土曜日)
概況:
この一週間は比較的涼しく、軽井沢は最高温度が30度を超える日はない。今日は最低気温が12度台。日中は窓を開けても夕方は窓を閉めないと肌寒い。
週末は各地から避暑に訪れる人や車で幹線道路や人の集まるスポットは混雑する。同時期、関東圏の出張では暑さと急な土砂降りなど天気の変化が激しかった。草木の生長の勢いはピークを過ぎ、ヤマアジサイは色を変える。キキョウやユウスゲの花が咲く。キジバトやホトトギス、ホオジロの声がよく聞こえる。
樹木:
19日には夏の土用に入った。土用が明ければ8月7日には立秋である。
出張で関東圏に移動する際に高速道路沿いの樹木を観察すると、夏至を過ぎた辺りから、1000メートルの高原と平地とで、草木の形勢が逆転するように見える。たとえば3月から5月は2ヶ月から1ヶ月ほど平地の方が葉の展開も花の開花も早いが、6月下旬の夏至頃に草木の勢いはピークを迎え、それを過ぎると、軽井沢の方が平地より秋の草木の特徴が早く出現するように見える。軽井沢ではハギはすでに3割ほど開花しているし、葉も黄色く黄葉して落ち始める木もある。マユミの実が成り、葉はすこしずつ落葉してすでに6月下旬の7割ほどになった。7月下旬にツリバナが紅葉して葉が落ちた年もあった。 草も生長の勢いはピークを過ぎ、草刈り後は新たに生える草はまばらである。ヤマアジサイは七変化の別名の通り、色を変えつつある。「紅(くれない)」は日に日に白から赤に染まり、青の花も咲き終わった花が裏返って、全体に薄緑に変化していく。
山野草、山菜、園芸種の草花:
ホタルブクロやオカトラノオにくわえ、当地では夏の花であるキキョウや優しいレモンイエローのユウスゲ、鮮やかなオレンジのヤブカンゾウ、ピンクのヤナギランの花が咲く。
鳥:
キジバトやウグイス、ホトトギス、ホオジロ、ガビチョウがよく鳴いている。ソフィアート・ガーデンの仕事場でのティータイムに、久しぶりにヤマガラが水場に来て水浴びをした後、明かりの灯った室内をのぞき込むようにデッキに入ってこちらを覗き込んで、さっと飛び立った。冬の間、手に乗ってヒマワリの種のプレゼントを受け取ってくれたヤマガラであろう。人間だけお茶を楽しむのではなく、羽のある友達の来訪にもヒマワリのプレゼントを用意しなければ、と一瞬思ったが、まだ彼らも人に近づく時期ではないため思うにとどめた。
虫:
アゲハチョウが飛んでいる。ガーデンにはサンショウやコクサギなどのミカン科の樹木が多いためアゲハチョウが育ちやすく、アゲハの巨大な頭でっかちの青虫も見かける。
その他:
ガーデンの仕事場でCDを聴いていて、あることに気がついた。(そもそも夏の昼間は窓を全開して、鳥の美声を聴くほうがメインで、窓を開けてCDを聴くことは、めったにない)
窓を開けて音楽を聴くと、無数の葉や湿気が音を吸音・消音するためか、響きが鈍く貧弱になってしまうのである。しかし同じ条件下で、鳥の美声というのは、どこまでも澄んだ響きが透り、しかも霧などの水分に満ちた森では、さらに余韻のある残響まで伴う。
『小鳥はなぜ歌うのか』(小西正一著 岩波新書)によれば、鳥の鳴き声の波長と環境との関連で「米国のモートンによると、パナマでは、森に棲む鳥は一般に(葉や樹木で吸音されにくい:スタッフM)低周波の歌をうたい、野原の鳥は高周波の歌を持っている。そして森の周辺に棲む鳥では、森と野原の中間の周波数を使っている」として、例外もあるが、環境の中で最も伝達しやすい音を発達させていることを述べている。鳥は、歌声を遠くまで伝達させることが生きるための重要な手段であり、環境の中でよく響くのは当然のこととはいえ、やはり自然の妙を感じさせる不思議な声の構造である。
樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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