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軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの観察記録− >>前の記録へ >>次の記録へ
■2014年9月7日(日曜日)
概況:
秋のさわやかな気候。雨もよく降り霧も出る。先週よりは暑く最高気温が25℃前後の日もある。晴れた日にはミンミンゼミが最後の力を振り絞って単独のソロを奏でる。もうすぐ最低気温が10℃を下回るようになると夏の虫達ともお別れである。ヤマボウシの大きな実が毎日うんざりするほど庭に落ちる。オナガやヒヨドリなどの中型の鳥、スズメバチ、スタッフMも参加してヤマボウシの実をいただく。実りの秋は軽井沢の至る所で鳥や虫たちを養っているようだ。
樹木:
ヤマボウシの大きな実が無数にみのり、ポトポトと庭に落ちる。軽くて長い果樹採取用のハサミで2階から収穫してジャム用に冷凍保存しておく。
山野草、山菜、園芸種の草花:
ソフィアート・ガーデンでは、例年この時期に咲くツルニンジン(別名ジイソブ)が咲いていた。たま、フシグロセンノウのオレンジ色の花が暗い林床に光るように目立って咲いている。ワレモコウも咲いていた。
野鳥:
オナガが集団でヤマボウシに訪れて、実をつついている。オナガの鳴き声と言えば「ギョエー!」や「ギュイ、ギュイ」などのようなダミ声が知られている。美しい容姿からは想像できない濁ったどら声である。カラスの仲間で、社会性の高い鳥であり集団行動をとる。またとても頭の良い鳥である。ヒヨドリとオナガは、ヤマボウシの実が大好きで、たいてい今頃の時期になると我が庭で鳴き合戦を繰り広げてかなりうるさい。「オナガが鳴くと雨が降る」という言い伝えがあると聞くが、実際に先日は、オナガがヤマボウシの木でひとしきり騒いだ後、たまたま大雨が降った。しかしオナガが鳴いたとて、その後に雨など降らない日もある。ところで、オナガが「キュイキュイ」「キョロン、キョロン」というかわいらしい声を出すことに、先日初めて気づいた。鈴なりのヤマボウシの実をつつきながら仲間と憩うとき、幸せそうに、小さくつぶやくように「キュイキュイ」などと鳴く。ヤマボウシの木は、オナガのそのような振る舞いの観察スポットとしても、なかなか良い木である。
虫:
晴れた日にはミンミンゼミが鳴く。しかも一匹の羽音しか聞こえない。孤独なセレナーデである。セミが羽化してからの命は一週間ほどと言われるが、軽井沢のような冷涼な土地ではミンミンゼミ自体の個体数も少ないだろうから、繁殖の相手を見つけるのも容易ではなさそうだ。肌寒いほどのこともある秋の軽井沢で、最後の力を振り絞って力強く響く「ミーンミンミン・・・」という蝉の声に、哀しみの混じった感傷的な気分になる。生きるということは、どのような生きものにとっても大変なことである。幸運を祈る!
車庫内に製作しはじめのスズメバチの巣は、その後、成長する様子がない。やはりあまりにも低いので、女王蜂も遠慮したのだろうか。ほっとするとともに、少し残念な気もする。スズメバチがヤマボウシにたくさん集って、実にかじりついている。ヤマボウシの木はカメムシが好むのか、カメムシの幼虫を見かけることが多い。アカスジキンカメムシという、宝石のように美しいカメムシもヤマボウシではよく見かける。「カメムシ」というだけで毛嫌いする人も少なくないようだが、きっと実際にアカスジキンカメムシを見たら、自然の造形や配色、光沢感など、どれ一つとっても人間では到達し得ない美的センスに驚くことは間違いない。
その他:
パートナーと私スタッフMは、それぞれの持って生まれた特徴的な性質について考えてみた。パートナーによればスタッフMの特徴は「明るさ」「楽しむ力」「放射(?)力」であり、一方のスタッフMはパートナーの特徴的な性質を「根張り(ねばり)強さ」「柔軟さ」「穏やかさ」「受け止める(受け流す)力」にあると見ている。こじつけて抽象化するならば、パートナーは「植物」や「水」の性質を持ち、スタッフMは「鉱物(金属)」や「太陽」あるいは「鳥」の性質を持つ、と考えてみた。だからどうした、という結論でしかないが、たまには人や自分自身を観察対象にして、自然観察の視点から眺めてみるのもおもしろく思った次第。
軽井沢 樹木と野鳥の庭 −100種の樹木と生きもの− 有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4 文章と写真:スタッフM
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